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パパ活撲滅を願う。父との二人旅に送られた冷たい視線が悲しくて

  • 2024.7.1
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私と父親は特別仲が良いというわけではない。それなりに口はきくけど、「お父さん、大好き!」というわけではない。そんな私と父だが、ひょんなことから二人きりで出かけることになった。

私の父は長らく単身赴任生活を送っていて、私が幼稚園生くらいの頃から、私は母と弟と三人暮らしだった。

だが、私が二十四歳くらいのときに、実家の家業を継ぐために父が、務めた会社を退職し、実家に戻ってきた。私達は、「家族との思い出」がほとんど母と私と弟だけしかなかったので、時々土日は家族みんなで出かけようということになった。

◎ ◎

ある日、弟は仕事で不在だったが、父と母と私の三人でお出かけをしようということになった。行先は車で一時間ほどの滋賀県の琵琶湖で、琵琶湖が見えるレストランだったり、薔薇園があるところだった。

そこを目指して行こうとしていた矢先、出発してすぐに、私と母が車内で大喧嘩になった。原因は大したことではなかったのだが、私が怒って、「もう帰る!行かへん!降りる!」と言って無理やり車を降りて、一人暮らしの自分の家へ歩き出した。

両親は渋々車を発進させ、実家へ帰っていった。せっかくのお出かけだったし、父は楽しみそうにしていたのに、申し訳ないことをしたなあと思ったが、その時は怒りで頭がいっぱいだった。

すると、母から「ママ抜きなら出かけられる?」と連絡が来た。私は父に申し訳ない気持ちでいっぱいだったので、「それならいいよ」と返信した。

すると数分後、父が家に迎えに来た。そこから私と父の初めての二人だけのお出かけが始まる。車の中では他愛もない話をして、目的地の琵琶湖に着いた。

◎ ◎

まず始めにレストランで腹ごしらえをしようということになり、琵琶湖が見渡せる綺麗なレストランに入った。
そこで私は店員さんの態度に少し違和感を感じた。ウエイトレスの皆さんは優しくて、気遣いのできる方々ばかりだったが、なぜか私達には当たりが強いようなそっけないような態度に感じた。また、ジロジロと視線を向けられているような感覚にも陥った。
私はその違和感の正体をすぐに導き出した。

“これってもしかしてパパ活のデートだと思われてる……?”

その時ちょうど世の中でパパ活が流行りはじめ、問題視されているときだった。そのため、若い子たちの間でこういう感じの見た目はパパ活女子だの、インスタで高級な食事と写真を撮っている相手は“パパ”だの、私は無駄に知識があった。

私の勘違いかもしれない、接客態度が違うのは敏感になりすぎたのかもしれない。
でも、確かに薄毛で小太りで少し小綺麗なお金持ちそうな六十代の男性と栗色のロングヘアにゆるく巻いた髪、タイトなワンピースを着てブランドバックを持った二十代半ばの女性、この二人の組み合わせでレストランに来たらもしかしたら疑われるのかもしれないと思ってしまった。おまけに私はインスタガチ勢で、映え写真を父に撮ってもらっていた。

私は、ネットで見たパパ活女子に、今の状況が当てはまっている……と冷や汗をかいた。お会計はもちろん父が出してくれたのだが、それもますます怪しい視線を送られた。

◎ ◎

私はこの体験を通して、実の父が娘と二人きりで食事をすることが怪しまれる世の中になってしまったのかと落胆した。

世の中の一部の人の“援助交際”で実の親子が被害を被るのがとても悲しかった。そして、父がもっとイケメンなら怪しまれなかったのかな、とか父が稼いでいなかったら怪しまれなかったのかな、とか私がお会計を出せば良かったのかな、など余計なことを考えてしまった。

せっかくの父とのお出かけが台無しな気持ちになってしまった。この出来事はただの私の思い過ごしだったのかもしれない。それは分からない。でももしも私の勘違いだったにせよ、世の中からパパ活がなくなってほしいと思った。

■リンチャのプロフィール
「美しさの中に毒っ気がある世界観」が好きです。趣味は音楽を聴くこと、タトゥーを彫ること。エリート家系に生まれ、厳しく育てられた優等生の自分とロックンロールに生きたい自分で揺れ動く人です。学習院女子大学卒。

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