スライサーは「左向き」がスクエア！真っすぐ構えるコツを人気コーチが解説

「目標に対してスクエアに構える」「向きのズレはミスのもと」といわれるが「真っすぐはアドレスの極みといっていいほど難しい。しかもスクエアが絶対ではありません！」とマスター今野。

スクエアにこだわりすぎるのは危険らしいけど、なぜ？

マスター今野が、今宵も店に訪れた迷えるゴルファーに希望の光を与えます。

真っすぐは右向きと左向きの間にある

トモ アドレスって「向き」が大事だっていうじゃない。なのに、この前のラウンドでは左を
向いているっていわれて、その前は右を向いてるっていわれたんだよね。

今野 まぁアドレス時の向きのズレは、プロでも起こることですからね。とくにコースでは、景色によっても簡単にズレてしまうものですから。

トモ でも、それをなんとかしたい。もう25年もやっているんだよ。スイングじゃなくて、いまだにアドレスがダメなのかと思うとショックだわ。

今野 完璧なスクエアはアドレスの極み。一番難しいんですよ。

トモ マスターはその極みにたどり着いた？

今野 いや。まだですが、その道のりは順調に歩んでいます。いや、順調ではないかな。スクエアにこだわりすぎて、迷走した時期もありましたから。完全に経験とサンプル不足でした。裸で真っすぐ富士山の頂上を目指した感じ。

トモ それうまいたとえなの？

今野 普通の人が富士山を直線的に登っていくのと、決められた登山ルートを登っていくのは、どちらが山頂に早くたどり着くと思います？

トモ 登山ルートだろうね。安全だし楽だし。

今野 そうですよね。しかも、靴や服などの装備もそろえたほうがいい。そういうのがなかったから遭難したんです。

トモ それは「急がば回れ」的なこと？

今野 はい。スクエアって、右向きと左向きの間にあったんですよ。

トモ そりゃそうだけど……。わかった！右と左がわからないから真ん中、つまり真っすぐがわからない！

今野 ご名答。右向き、左向きがわかるようになったら、スクエアもどこかわかるようになったんです。

トモ とはいえ、右を向いているか、左を向いているかもわからない俺だよ。

今野 真っすぐは1点、ピンポイントでしかないですが、左右は幅広くあります。ちょっとでも大きくでも「これは右、これは左向き」とわかるようになると、スクエアがどこかもわかりやすくなります。正解である真っすぐを探し当てる材料が増えることによって。

トモ 意図的にオープンやクローズに構えて打てってことか。

今野 向きを変えて打ったらどうなるか、というのを知ると早く上達できます。それにトモさんは、ターゲットに対してスクエアに構えないほうがいいじゃないですか。

トモ そりゃまたなんで？

今野 だって、フェードヒッター、ときどきスライサーでしたよね。

トモ そうだけど。

今野 でしたら、ターゲットとなる「最終的にボールを止めたいエリア」にスクエアに構えたらダメじゃないですか。スライサーのスクエアは打ち出したい方向の左。左を向いて、左サイ
ドに真っすぐ打つ！でいいんですよ。

トモ そうか！俺の真っすぐは左向きか！

今野 左向きのスクエアはアバウトでOKです。きちんと「左を向いている」という自覚さえあれば。左向きから持ち球のフェードか、ミスしてもスライスを打つ。逆球を出さずに持ち球と上手に付き合う。これはコースで戦略を立てたり、スコアをうまくまとめるコツです。

トモ 右向きはいつやればいいの？

今野 左サイドが迫っているなど、左を向けない、右に打ち出したいときですね。コースではこういうシチュエーションに必ず遭遇します。だから、練習のときから意図的に右向き、左向きの両方の向きで打っておくことが大事なんですよ。

目標ではなく「打ち出したい方向」に対して真っすぐ構えるのが持ち球なりのスクエア！

アドレスの向きの勘違いに注意！ ドローヒッターやフッカーの場合、「右に打ち出し→左に曲がって→真ん中（目標）をとらえる」が狙いどおりの結果になるので、スクエアな向きは真ん中ではなく右サイド。体を目標の真ん中に向けて右に打ち出そうとすると、結果が右にも左にもズレやすい。「球筋なりのスクエアな構えは、スタンスの向きは絶対で、肩の向きは状況によって変えてもOK。たとえば、持ち球どおりとはいえ、曲がりすぎるのが危険な状況は、両肩のラインだけを真ん中に向ける。このアレンジによって曲がり幅の調節も簡単だと気づくはず。上達するにはスクエアが絶対ではないんですよ」（今野）

マスター今野一哉

●こんの・かずや/1982年生まれ。本企画「スナックこんちゃん」のマスター兼ゴルフのプロコーチ。RainbowFM（88.5MHz）の「サタマニ♪」（第２土曜15:00-16:00オンエア）で、ラジオパーソナリティも務める。キッズゴルフクラブ代表。

イラスト=野村タケオ