北欧デザインの祭典「3daysofdesign」に潜入【FUMINAのデンマーク通信 vol.28】

2024.6.29
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毎年6月、初夏のコペンハーゲンで開催されるデザインの祭典「3daysofdesign（スリーデイズオブデザイン）」。ローカルはもちろん、世界各国からプレス、バイヤー、アーティストたちが集結するほか、誰でも気軽に立ち寄れるオープンなコンセプトで観光客の間でも人気のイベントに。インテリア、家電、テーブルウェア、ホームグッズなど展示内容は多岐にわたり、北欧デザインの“今”を体感できると、最近では日本や韓国から足を運ぶ人も急増している。

2023年に10周年を迎え、ますます進化＆盛り上がりを見せる「3daysofdesign」に、デンマーク在住エディターFUMINAが潜入！知っておくとツウぶれる注目ブランドをご紹介。

デンマーク発・注目ブランド①「NIKO JUNE（ニコジューン）」

デンマーク発・注目ブランド②「Helle Mardahl（ヘルマーダル）」

デンマーク発・注目ブランド③「Jacob Jensen（ヤコブイェンセン）」

デンマーク発・注目ブランド④「Griegst（グリース）」

3日間歩いて、話して、食べた！ FUMINAの「3daysofdesign」日記

【1】デンマーク発・注目ブランド①「NIKO JUNE（ニコジューン）」

2020年に誕生した気鋭デザインスタジオ「NIKO JUNE（ニコジューン）」。プラスチック素材をアップサイクルした花瓶“EROS TORSO”がヒットし、一躍話題に。日常使いしやすいアイテムとキャッチーなデザインをかけあわせた、遊び心あふれる世界観が魅力。

展示スペースに入ると、そこには巨大なダイニングテーブルが。食べかけのトーストやこぼれたジャムなどが散乱するカオティックなセッティングも、実は演出の一部。目玉アイテムとなったのは、海外の学校のカフェテリアを連想させるノスタルジックな“KANTINE CUP”と、ステンレス製でシンプルながら耐久性バツグンの“STEEL PLATE”。白いテーブルクロスに映えるレッドの“KANTINE CUP”は、コペンハーゲンを拠点にフォトグラファー、インディペンデントマガジンのクリエイティブディレクターなどマルチに活躍するフレイヤ・ウィーバーとのコラボカラーだそう。

「3daysofdesign」最終日には、ヒップな人気レストラン「Babylon」でプレスディナーも開催。展示で見た“STEEL PLATE”を実際に食器として使いながら、旬の海鮮料理に舌鼓。よく見ると、りんごのモチーフにブランドのイニシャル“NJ”をのせたロゴがかわいい！

公式インスタグラム

【2】デンマーク発・注目ブランド②「Helle Mardahl（ヘルマーダル）」

日本でも知名度が高まりつつあるガラスアーティスト＆デザインスタジオ「Helle Mardahl（ヘルマーダル）」。やさしい丸みや曲線を帯びたプロダクトの数々に、ポップなキャンディカラーをON。『不思議の国のアリス』や『チャーリーとチョコレート工場』などの作品にインスパイアされたコレクションは、魔法とデザインがクロスオーバーする夢見心地な仕上がりに。

「ヘルマーダル」といば、空間全体をダイナミックに使った没入型のインスタレーションが得意。外の喧騒から切り離されたような錯覚とともに、来場者をファンタジーの世界へ誘う。オフィス兼ショールームを舞台に公開された今回のテーマは、とびきりラグジュアリーかつ冒険好きな女性が暮らすグランドスイートルーム。

ヨガマットの上には色とりどりのガラスランプが吊るされ、ドレッサーの棚はころんとキュートなガラスコップでいっぱい。ダイニングテーブルにも美しいクリアプレートが並び、いかにも豪華絢爛な生活ぶりが伺えるけれど……陰影を強調したライティングが、ふと女性の心に潜む孤独やミステリアスな一面を感じさせる。ショールームを後にする頃には映画を1本鑑賞したような満足感と、「家に迎え入れるならどのアイテムがいいだろう？」という物欲が頭の中でせめぎあうのがお約束！

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【3】デンマーク発・注目ブランド③「Jacob Jensen（ヤコブイェンセン）」

今年の「3daysofdesign」でリブランディング後の初お披露目を迎えた「Jacob Jensen（ヤコブイェンセン）」。ヤコブ・イェンセンはデンマークを代表する世界的なプロダクトデザイナーで、同国発のオーディオ・ビジュアルブランド「Bang & Olufsen（バング＆オルフセン）」での長年にわたる功績が有名。

イェンセンが2015年に亡くなった後、自身の名前を冠したデザインブランドは未来に向けたアップデートへと踏み出す。“デンマークらしいシンプルさを基調にした、長く使えるダイナミックで個性的なデザイン”をコンセプトに、日常生活になじみながらアイコニックな存在感を放つ電気ケトルやトースター、ウォッチなどをローンチした。

「3daysofdesign」の初日には“スローモーニング”をテーマにしたブレックファストイベントを開催。コペンハーゲンのローカルたちに愛されるベジタリアンレストラン「Baka d' Busk」で腕を磨く若手シェフによる3コースメニューをいただきながら、向かいに座ったCEOのトーマスと、クリエイティブプロジェクトコーディネーターを務めるアマリエにご挨拶。時折おしゃべりに夢中になってしまったけれど、保温性の高い「ヤコブイェンセン」のグラスがフレンチプレスコーヒーの風味をキープしてくれた。

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【4】デンマーク発・注目ブランド④「Griegst（グリース）」

1963年、デンマークの金細工師兼アーティストのアージー・グリースによりファインジュエリーブランドとして誕生した「Griegst（グリース）」。ジュエリーのほか、カトラリーやキャンドルスタンド、花瓶のようなテーブルウェアも展開し、2024年1月に退位した元デンマーク女王マルグレーテ2世など世界中にファンやコレクターを抱える。特徴は、バロックと東洋にインスピレーションを受けた彫刻風のフォルム。液体のように溶けだしそうな有機的なシルエットと、一度見たら忘れられない鮮烈なインパクトで、デザインの歴史に名を刻んでいる。

今年の「3daysofdesign」にあわせて、「グリース」はコペンハーゲンにあるアトリエ兼ブティックで新しいアーカイブインスタレーション“Arje’s World”を発表。キュレーションを手がけたのは、パリを拠点にする新鋭デザインサロン「MATTER and SHAPE」のアーティスティックディレクター、ダン・ソーリー。2016年に亡くなったグリースの晩年の作品にフォーカスし、スターリングシルバーのアートワークと工房で使用された型などを同時に展示。作品が完成するまでの貴重なプロセスを垣間見ることができる。

インスタレーションの公開前日には、会場となるアトリエ兼ブティックでオープニングディナーを開催。地元デンマークのプレスやブランドと古くから交流のあるデザイン関係者はもちろん、フランス、アメリカ、韓国からもゲストが集い、にぎやかな一夜となった。

公式インスタグラム

【5】3日間歩いて、話して、食べた！ FUMINAの「3daysofdesign」日記

ブレックファスト、展示、トークショー、ワークショップ、ディナー、パーティなど、多種多様なイベントをはしごし続けた3日間。今年は参加ブランドのバリエーションも増え、さながらファッションウィークのよう！慌ただしいスケジュールのなかでも、デザイナーやアーティストとの新たな出会い、美しいモノづくりやユニークな発想への感動、そしておいしいごはんがエネルギー源に。回数を追うごとにパワーアップする「3daysofdesign」から、ますます目が離せない。