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『相棒』で最も面白い回は? 興奮必至…神戸尊編の神回(2)“神戸尊の育ての親”と名高い脚本家による逸品は?

  • 2024.6.29
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水谷豊&及川光博【Getty Images】

優秀だが変人の刑事・杉下右京が、相棒と共に事件を解決していくドラマ『相棒』。2000年から2024年現在まで続くシリーズは約400話を超え、テレビドラマの他にも映画や演劇としても親しまれている。今回は、2代目相棒・神戸尊(及川光博)の回の中でも伝説的なエピソードをセレクト。その面白さの真髄に迫る。第2回。(文・Naoki)

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シーズン8「ミス・グリーンの秘密」
放送日:2009年10月28日
脚本:太田愛
犯人役:草笛光子

本作は“神戸尊というキャラクターのターニングポイント”だと断言できる。

マンションで会社員の野村が殺害された事件が発生。特命係は事件日に野村宅へ訪問していた可能性のある“ミス・グリーン”こと二宮緑という老婦人へ接触。

二宮から不審な点を感じた右京は神戸へ監視を命令。監視の中で神戸は二宮と親しくなっていき、二宮も神戸を“新芽”と呼び可愛がる。しかし事件の犯人は二宮で、妹の復讐の為に殺人を犯していたのである。

野村はハプニング動画の撮影が趣味であった。二宮の妹が川へ落ちる瞬間の撮影を試み、その結果彼女は溺死していたのであった。

野村の仲間であり、妹の死にかかわった武井という男の存在を知った二宮は、爆弾で彼もろとも自爆を試みる。警察は二宮を止める為に狙撃班を配備するなど緊張が走る中、神戸は危険を顧みず二宮への説得を試みる。

神戸の説得に応じた二宮は武井と共に無事逮捕される。右京は神戸が狙撃班の射線上に立って二宮を守っていた事を指摘。神戸はその言葉を受けて不敵に微笑みながら語る。「偶然でしょ。ただのハプニングです」

本作は太田愛という『ウルトラマン』シリーズなどで秀逸な作品を数多く残し、現在は小説家としても活躍しているシナリオライターが執筆している。

太田氏はファンの間で“神戸尊の育ての親”とも呼ばれており、神戸尊を魅力的に描く事に定評がある。

そんな太田氏が神戸メインで描いたのは本作が初めて。この話が神戸尊というキャラクターの方向性を決定づけた節もある。

ここまでの神戸はキザでクールという魅力的ではあるも嫌味な面が強かったが、本作で内に秘める熱さというものが初めて現れた。

この物語は神戸尊が“相棒”になってから4本目で、序盤にこの話があったからこそ以降の脚本家も神戸尊を描きやすくなり神戸期全体の方向性が決まった。

本作があると無いとでは以降の『相棒』シリーズの方向性が変わっていた可能性すらある。内容の面白さもさることながら、それ以外の面でも意義深い一作である事は間違いない。

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