1. トップ
  2. レシピ
  3. プロが選ぶ! 種苗会社おすすめの珍しくておいしい野菜

プロが選ぶ! 種苗会社おすすめの珍しくておいしい野菜

  • 2024.6.28

埼玉県にある種苗会社・トキタ種苗株式会社 開発普及室の鈴木美貴さんが、上柳昌彦アナウンサーがパーソナリティを務める、ラジオ番組「上柳昌彦 あさぼらけ」内コーナー『食は生きる力 今朝も元気にいただきます』(ニッポン放送 毎週月・金曜 朝5時25分頃)にゲスト出演。種苗会社の仕事内容や、おすすめの珍しい野菜とその食べ方を紹介した。

種苗会社の開発普及室とは

上柳:トキタ種苗株式会社さんは、創業したのが大正6年だそうですね。事業内容は、野菜とか花の種とか苗の品種開発。そして、それを生産して販売して、輸出もして、農園の色々な資材も開発。なんと、関連会社が中国、インド、イタリア、アメリカ、チリにあるということには驚きました。

鈴木:そうですね、海外にも関連会社があるんです。

上柳:主な販売先は全国の農協さんとか、種苗会社、ホームセンター、さらに通販も結構されているんですよね。鈴木さんは普段はどういうお仕事をされているんですか?

鈴木:はい、私は開発普及室という部署で、農家さんを回り、世の中のニーズを捉えながら、農家さんが作った野菜の出荷先の支援をしております。トキタ種苗はヨーロッパ野菜など、日本では珍しい品種を多く扱っているため、お求めいただいた農家さんのフォローなどが重要です。

上柳:なるほど。

鈴木:たとえば、珍しいヨーロッパ野菜だと生産者さんがどうやって作るのかわからないこともあるので、実際に農家さんを回って野菜の栽培指導を行ったり、何十人かの生産者さんの前で講習会を行ったり、あとはマルシェなどのイベントに出て、一般消費者の方に『この野菜はこうやって食べるんですよ』『こうやって使ってくださいね』とお伝えしたりしています。

上柳:面白いお仕事ですね。

鈴木:そうですね。本当に多岐にわたって、いろいろやることができるので面白いです。

上柳:品種改良の研究をされている方もいらっしゃると思うんですけど、それだけでなくて、生産農家の方に理解していただき、ヨーロッパ野菜をよく知らない人たちにPRしなきゃいけないですもんね。

鈴木:そうですね、消費者さんがいろいろな野菜を食べることで、農家さんの野菜ももっと売れて、その野菜の種も農家さんに使っていただけますから、弊社としても種の売り上げが上がるということになります。

学生時代は「稲」の耐熱性を研究

上柳:そんな鈴木さんは学生時代、どんなことを学ばれていたのですか?

鈴木:応用生物科学部バイオサイエンス学科というところなので、実は野菜の栽培はしていませんでした。なので、本当に会社に入ってから初めて野菜の栽培に関わって、プロのベテランの農家さんに逆に教えていただくことが多かったです。

上柳:どんなことを研究されていたんですか?

鈴木:耐熱性の「稲」の研究をしておりました。

上柳:耐熱ということは、熱に強いものを?

鈴木:そうですね。熱に強い稲を育てるために熱試験を行って、35度、40度、42度、45度というように熱をかけて、そこで稲が育つかどうかという試験を行っていました。

上柳:まさに温暖化や猛暑で、米の収穫が大変なことになっていて、今年もおそらく大変だろうと言われていますもんね。

鈴木:はい。暑さが今どんどん加速しておりますので心配ですよね。

おすすめのヨーロッパ野菜「カリフローレ」

上柳:トキタ種苗さんは、珍しいヨーロッパ野菜をいっぱい作っていますが、鈴木さんが個人的に好きなヨーロッパ野菜はありますか? おすすめの料理方法とかあれば、教えていただきたいです。

鈴木:はい。私が好きなヨーロッパ野菜は、弊社の「カリフローレ」というスティックタイプのカリフラワーです。

上柳:(「カリフローレ」の写真を見て――)ああっ、見たことありますね! 茎が長いやつですね。

鈴木:はい。茎が長くて甘くておいしいです。食べ方としては、さっと茹でるだけでもおいしいですし、私は下茹でせずにそのまま焼いたり、炒めたりして食べます。「カリフローレ」は茎が長いので、豚バラ肉を巻いて食べると、上の方がカスミ草みたいなお花のような見た目をしているから料理映えもするので、おすすめの野菜です。

上柳:すごくヘルシーな感じですし、おいしそうですね!

鈴木:ピザの上に乗せたりしてもおいしいですよ。

「ブリーダー」「採種(さいしゅ)」という仕事

上柳:種苗会社さんは、新しい種とか新しい苗の品種を作るメーカーということで、「ブリーダー」というお仕事があるそうですね。

鈴木:基本は野菜の種や品種を作るメーカーなので、「ブリーダー」と呼ばれる仕事があります。もう1つは、作り出した種を販売するために種を増やす「採種(さいしゅ)」という仕事があります。

上柳:「ブリーダー」と聞くと、犬や猫の繁殖とか育てたりするイメージがありますね。

鈴木:植物のブリーダーは品種改良を行います。全社で10人ぐらいまして、新品種を作ったり改良を行ったりするので、会社の心臓部となっております。例えば、品種を掛け合わせる時は、年間100通り以上試して、おいしいけど外虫に弱い、病気に滅法強いけどおいしくないといった条件を1つずつクリアしていくんです。

正直、ブリーダーは人生で1つもヒット作に恵まれない方もいるので……。とても厳しいお仕事です。

上柳:厳しい世界なのですね。

鈴木:そうですね。10年とか、ものすごく長い時間がかかる仕事です。

上柳:そうやって本当に厳選された種を、農家の方が育ててくださって、私たち消費者は野菜を食べられるということですね。

種を増やす「採種(さいしゅ)」はどういう仕事なのでしょう?

鈴木:新しく作った種を増やす仕事なのですが、日本は採種に不向きな気候のため増やすのが難しいので、一旦イタリアやチリなど海外に輸出して海外で何百倍にも増やします。

上柳:海外に輸出を?

鈴木:はい。そのあと再び日本に輸入して、混じっているゴミや使えない種などを選別しています。

上柳:海外で栽培して、種をいっぱいとって日本に送り返すと?

鈴木:そうですね。

上柳:知らないことだらけです。

種苗業界の魅力

上柳:種苗業界のどんなところに魅力を感じて、働こうと思ったのですか?

鈴木:そもそも野菜が大好きだったこともありまして、そこから農業に興味を持ちました。就職活動をする上で種苗業界を知ったのですが、農業の根幹であり、さらに食の根幹といっても過言ではないなと感じてから、興味を持ちました。

しかもトキタ種苗会社は変わった野菜を扱っていて、他社さんとは異なった面白い魅力を感じたんです。そんな話を面接で話したところ、今の開発普及室という部署に配属になりました。

上柳:私が面接官でも、やっぱり採用すると思います(笑)

鈴木:ありがとうございます(笑)

――種苗会社は農業の基盤を支えるだけでなく、私たちの食卓にも直結している。種苗会社の活動を知ることはもちろん、いつもと違う野菜に興味を持って購入するだけでも、農業の発展や持続可能な食料供給に貢献することができるかもしれない。

元記事で読む
の記事をもっとみる