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腰が痛いときの眠り方とは? 睡眠スペシャリストと脳神経外科医が解説

  • 2024.7.4
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腰痛のタイプによって、おすすめの寝姿勢は変わるそう。

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BAONA

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校附属病院の睡眠医学エキスパート、キン・M・ユエン医学博士によると、人口の60%は生きているうちに一度は腰痛を経験する。でも、腰が痛いときに適切な姿勢で寝れば、それだけで症状が少しずつ改善することもあるという。

そこで今回は、ユエン博士を含む専門家集団が「腰が痛くてもぐっすり眠るためのアドバイス」をシェアしてくれた。ただし、私たちの体質や疼痛耐性、既往症は1人ひとり違うので、自分にとってなにが効果的かもひとりひとり異なることは忘れずに。

腰痛のタイプ

Oleg Breslavtsev

腰が痛くてもぐっすり眠れるようになるには、まず自分が抱えている腰痛のタイプを知ることが必要。ユエン博士によると、腰痛には主に2つのタイプがある。

1.急性の腰痛

急性の腰痛は突然現れ、数日から数週間続く。過去の事故やケガに起因することが多い。

2.慢性の腰痛

それに対して慢性の腰痛は進行性で、米国立医学図書館によると3ヶ月以上続く。よくある原因は関節炎、椎間板ヘルニア、手術、使いすぎなど。

痛みの種類

Tom Merton

米シンシナティ大学ガードナー神経科学研究所に所属する脳神経外科医のオウォイチョ・アドグワ医学博士によると、さらに痛みは“軸性疼痛”、“神経根痛”、“関連痛”の3種類に分けられる。

1つ目の軸性疼痛は「機械的な痛みとしても知られています。背骨に沿って生じ、筋肉の緊張、靭帯の捻挫、変形性関節症などの変性疾患によって引き起こされることが多いです」。

2つ目の神経根痛は「脊髄神経が圧迫されているときや炎症を起こしているときに生じるもので、問題の神経に沿って鋭い電撃痛が走ります。坐骨神経痛のような疾患で見られるような痛みですね」。

3つ目の関連痛は「原因の部位から離れた部位に生じる痛みで、内臓や身体構造に影響を及ぼす疾患に起因することが多いです」。

睡眠と腰痛の関連性

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前述の通り、多くの人が腰痛を抱えながら寝ていることを考えると、睡眠と腰痛は間違いなく関連している。さらに睡眠不足は、あらゆる種類の痛みを悪化させることが分かっている。「寝不足の日は必ず痛みがひどくなります」とユエン博士。アドグワ博士によると、睡眠不足は体の自己治癒・回復能力も低下させる

慢性的な腰痛を抱えていると、不快感で頻繁に目が覚めるため、睡眠が断片的になり、睡眠の質が低下する。慢性的な腰痛が精神的な負担となってストレスや不安を引き起こし、睡眠がさらに阻害されることもある。

腰が痛いときにオススメの寝姿勢

Bernhard Lang

これは、あなたの痛みの種類次第。ユエン博士によると、椎間板ヘルニアのような神経性の痛みを抱えている人は、仰向けでヒザを曲げ、背骨が安定するようにヒザの下に枕を置いて寝るのがベスト。

関節炎による腰痛などで神経損傷のリスクがない人は、横向きでヒザを90度に曲げた胎児のような姿勢で寝るといい。この場合は、ヒザの間に枕を挟むと安定感がアップする。アドグワ博士も、「ヒザの下に枕を置いて仰向けで寝ると、背骨の自然なカーブを保ちやすくなります。また、横向きでヒザの間に枕を挟むと、腰、骨盤、背骨がキレイに並ぶので、腰部にかかる負担を最小限に抑えられます」と、ユエン博士のアドバイスを支持している。

うつ伏せの姿勢は背骨を過度に伸ばすのでオススメできない。でも、アドグワ博士いわく、どうしてもうつ伏せで寝たいときは、おなかの下に枕を置いて背中が反りすぎないようにするといい。

マットレスが睡眠中の腰痛を引き起こすことはある?

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マットレスは、不適切な寝姿勢と同じ理由で腰痛を悪化させることがある。「マットレスが柔らかすぎると背骨がたるみ、背骨のアラインメントが崩れたり、腰にかかる負担が増したりします」とアドグワ博士。「逆にマットレスが硬すぎると、背骨の自然なカーブがサポートされず、不快感や体のコリが生じます」

これまでの研究から、サポート力、快適さ、背骨のアラインメントの点でもっともよいのは中程度の硬さのマットレスとされている。

腰痛を緩和して睡眠の質を高めるためにできること

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痛みを抱えた状態で眠るというのは、さまざまな調整と忍耐を要すること。大変なときもあるけれど、次の4つのアクションは腰痛を緩和して睡眠の質を高める上で役立つ可能性がある。

1.体幹エクササイズ

腰痛を防ぐカギは体幹の強化にあり。ユエン博士によると、腹部の筋肉は腰を支えているため、その筋肉が(年と共に)弱くなると腰が痛くなってくる。「クランチをしろとは言いませんが、プランクなどの体幹エクササイズで腰を支える腹筋などの筋肉を鍛えるのは間違いなく重要です」。体幹エクササイズは健康的な体重の維持にも役立つ。健康的な体重を維持すれば、腰痛と睡眠の質の低下も防げるので一石二鳥。

2.睡眠衛生の改善

リラックスして睡眠の質を高めるための夜の習慣がまだない人は、これを機に是非つくってほしい。アドグワ博士によると、就寝前はカフェインの摂取、スマホやテレビの使用を避けるべき。

3.メンタルヘルスのケア

アドグワ博士によると、ストレスや不安で眠れないときは、カウンセリングやセラピーを受けてみると心が落ち着き、痛みが減って、よく眠れるようになるかもしれない。

4.ストレッチ

就寝前は、腰痛に効くやさしいストレッチやヨガで「筋肉の緊張をほぐしましょう」とアドグワ博士。ヨガが腰痛の治療として有効であることは、これまでの研究で十分証明されている(もちろん、安全な方法で行った場合に限る)。

こんなときは病院へ

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ユエン博士によると、痛みが治まらない場合、とくに数週間以上続く場合は医師の診察を受けるべき。また、アドグワ博士いわく、しびれ、ピリピリする感覚、四肢の衰弱などの症状は、神経が圧迫されていることを示している可能性があるので要注意。

それに加えて「原因不明の体重減少、発熱、がんの病歴がある場合は、深刻な問題が潜んでいる可能性があるため、すぐに病院へ行きましょう」とアドグワ博士。「早期の医療介入は合併症の発生を防ぎ、疼痛管理を楽にするだけでなく、失われた睡眠を取り戻す上でも有効です」

※この記事は、アメリカ版『Prevention』から翻訳されました

Text: Kayla Blanton Translation: Ai Igamoto

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