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致死率の高い「人食いバクテリア」が日本で急増中!コロナ対策緩和の反動か?

  • 2024.6.28
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A 群連鎖球菌(化膿連鎖球菌)(黄色)とヒト好中球(青色)のカラー走査型電子顕微鏡写真
A 群連鎖球菌(化膿連鎖球菌)(黄色)とヒト好中球(青色)のカラー走査型電子顕微鏡写真 / Credit:Wikimedia Commons

最近、日本で「人食いバクテリア」が急増しています。

この正式名称は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)です。

この感染症は数十時間で進行して患者の命を脅かすものとなり、STSSを発症した人の死亡率は30%とも言われています。

では、どうして日本で人食いバクテリアの餌食になる人が急増したのでしょうか。

また、日本に住む私たちは、どのような対策を行うべきなのでしょうか。

目次

  • 人食いバクテリアとは?
  • 人食いバクテリアが日本で急増している!対策は?

人食いバクテリアとは?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)とは、突発的に発症する致死率の高い病気であり、「人食いバクテリア」と呼ばれることもあります。

このSTSSは、最初、腕や足の痛み・腫れ、発熱、血圧の低下から始まることが多く、その後、悪化していきます。

高熱になり、重度の筋肉痛、吐き気や嘔吐、さらには組織の壊死、呼吸状態の悪化、肝不全・臓器不全などの多臓器不全をきたすようになるのです。

死亡率は非常に高く、STSSを発症した患者の30%が死に至るとされます。

その原因の一つがこの病気は進行が非常に早い点にあります。感染後48時間以内に死亡するケースが多く、医師が病気を特定しても治療が間に合わないのです。

人食いという呼称をされる理由は、感染が急速に進行する過程で、まるでバクテリア(細菌)が人体を食い荒らすように感染部位の皮膚や筋肉が壊死していくためです。

「人食いバクテリア」として知られる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)の致死率は30%
「人食いバクテリア」として知られる劇症型溶血性レンサ球菌感染症(Streptococcal Toxic Shock Syndrome, STSS)の致死率は30% / Credit:Canva

では、STSSの原因はいったい何でしょうか?

STSSは、主にA群溶血性レンサ球菌(Group A Streptococcus, GAS)によって引き起こされます。

この細菌は通常、喉や皮膚に存在し、一般的には咽頭炎や皮膚感染症を引き起こしますが、症状は軽く無症状な場合もほとんどです。ところがごく稀に症状が重篤化し、これをSTSSと呼びます。

つまり、この細菌自体が致命的なレベルで危険なわけではなく、稀に起きる重篤化(劇症型)の症状が危険なのです。

ただなぜ稀に重篤化するのかというメカニズムは完全に解明されておらず、特に基礎疾患のない人でも発症が報告されています。

STSSは、1987年にアメリカで最初に報告されており、次第にヨーロッパやアジアでも報告が上がり、日本では1992年に最初の症例が報告されました。

そして現在、そのSTSSが世界的に増加傾向にあり、日本でも感染者数が急増しているのです。

人食いバクテリアが日本で急増している!対策は?

日本で人食いバクテリアが急増している
日本で人食いバクテリアが急増している / Credit:Canva

厚生労働省の報告によると、最近、日本で劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)が急増しています。

実際、感染者数は2021年で622人、2022年で708人でしたが、2023年には941人となり、統計を取り始めた1999年以降最多であった2019年の894人を上回りました。

しかも、状況はそれだけでは収まりませんでした。

なんと2024年は6月2日時点で、2023年の報告数を上回ってしまったのです。

たった半年で既に過去最多の年となる23年の報告数を上回ってしまったため、専門家は今年の感染者数が2500人に達するのではないかと懸念しています。

まさに今、日本では人食いバクテリアが急増しているのです。

では、どうしてこのような増加が見られたのでしょうか。

その理由は、現状明らかにはなっていません。

ただ厚生労働省は、COVID-19の対策緩和がなされた2022年から「A群溶血性レンサ球菌」による急性咽頭炎の患者数が増加していることが関係していると考えています。

STSSの予防には、基本的な感染症対策が有効
STSSの予防には、基本的な感染症対策が有効 / Credit:Canva

COVID-19の対策緩和以降のSTSSが増加は、日本に限った話ではなく世界的に確認されている傾向です。

「A群溶血性レンサ球菌」の感染経路は明らかではありませんが、急性咽頭炎という呼吸器疾患が特に増えていることから、COVID-19の対策が厳しかったことの反動で、対策緩和後はあらゆる感染対策が過剰に軽視されてしまっている可能性があるかもしれません。

例えば、多少風邪っぽくても絶対マスクをしない、手洗いやうがいはもうしなくて良い、などの本来はCOVID-19に関係なくやった方が良い感染対策を一切やらなくなってしまった人が多いのかもしれません。

そのためSTSSを予防するには、基本的な衛生管理をするだけでも十分有効な可能性があります。

例えば、手指衛生や咳エチケットを重視し、手足の傷に対して素早く清潔な処置を施すことが大切です。

(※劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となる菌種としては、A群、B群、C群、G群レンサ球菌が主なものとして知られており、呼吸器疾患に限らず怪我などの傷から菌が侵入し感染するケースもあります)

またもともとが軽症の風邪症状が急速に進行し、STSSとなるため、少しでも疑わしい症状を感じたら、すぐにでも医療機関を受診することが大切です。

今後、さらに日本で広まっていくであろう「人食いバクテリア」から身を守るためにも、改めて感染防止対策を意識するべきかもしれません。

参考文献

Streptococcal toxic shock syndrome: should I be worried if I’m travelling to Japan?
https://theconversation.com/streptococcal-toxic-shock-syndrome-should-i-be-worried-if-im-travelling-to-japan-232818

劇症型溶血性レンサ球菌感染症(STSS)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000137555_00003.html

ライター

大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。

編集者

ナゾロジー 編集部

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