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「最初のシーンは大混乱の地獄絵図」ルピタ・ニョンゴ&ジョセフ・クイン、『クワイエット・プレイス:DAY 1』の恐怖と緊張感を語る

  • 2024.6.27
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“音”を立てたら死ぬ。そんな不条理な世界で沈黙を守りながら生き抜こうとする家族の姿を描いてきた「クワイエット・プレイス」シリーズ。その最新作にして、すべての始まりとなる“DAY1”を描く『クワイエット・プレイス:DAY 1』(6月28日公開)で新たな主人公のサミラを演じたルピタ・ニョンゴは、このシリーズを生みだしたジョン・クラシンスキーから直々に本作へ誘われたことを振り返る。

【写真を見る】ニューヨークに謎の生命体が突如として襲来!“音”を立てないとか、もはや無理?

「彼から連絡をもらい、『クワイエット・プレイス』の新作を製作したい理由を聞きました。彼は元々シリーズ化するつもりはなかったようで、このユニバースのなかでストーリーを語り続けたいと願う唯一の理由は、新しい視点、新しいトーン、新しいテーマなど、世界になにか新しいことをもたらすことができる場合だけだと。だからこそ彼は、バトンをマイケル(・サルノスキ監督)に託したのでしょう」。

ルピタ・ニョンゴ&ジョセフ・クインが、本作でレベルアップした恐怖を語る! [c]SPLASH/AFLO
ルピタ・ニョンゴ&ジョセフ・クインが、本作でレベルアップした恐怖を語る! [c]SPLASH/AFLO

そんなサルノスキ監督と別件で打ち合わせをしている時に本作の存在を聞き、興味を示したのがエリック役のジョセフ・クインだ。かねてから「クワイエット・プレイス」シリーズのファンだったというクインは「ちょうどマイケルの『PIG/ピッグ』を観たばかりで、彼の高い感受性とこのファンタジックで恐ろしい世界を組み合わせたら絶対におもしろくなる。そう感じ、この作品への出演を決めました」と、期待感たっぷりにこの世界へと飛び込んだことを明かした。

「きっといい作品になるに違いないと直感した」(ニョンゴ)

新たな主人公のサミラを演じたルピタ・ニョンゴ [c]2024 PARAMOUNT PICTURES
新たな主人公のサミラを演じたルピタ・ニョンゴ [c]2024 PARAMOUNT PICTURES

本作で描かれるのは、シリーズ1作目のクライマックスから遡ること471日前。愛猫のフロドを抱えてニューヨークの街を歩いていたサミラの前に、突如として隕石が降り注ぐ。すると隕石と共に、音を立てるものすべてに襲いかかる謎の生命体が出現。街が阿鼻叫喚に包まれるなか路地裏に身を隠したサミラは、そこで出会ったエリックと共に荒廃したニューヨークからの脱出を計画する。

「この映画のスケールはさらに大きくなっています。私たちはニューヨークにいて、多くの人々が集い、騒音にあふれている。都市が沈黙せざるを得なくなった時にどうなるか。そのイメージを伝えることができるでしょう」とニョンゴが見どころを語ると、クインも新たな切り口でシリーズが進化を遂げたことを力強くアピール。「前2作にはすばらしいシーンがたくさん詰まっていました。映画的にすばらしいアイデアは心に響き、緊張感をもたらしてくれました。本作ではそれをさらにレベルアップさせ、スケールが拡大しています」。

ジョセフ・クインがエリック役を演じる [c]2024 PARAMOUNT PICTURES
ジョセフ・クインがエリック役を演じる [c]2024 PARAMOUNT PICTURES

『それでも夜は明ける』(13)でアカデミー賞助演女優賞に輝いて以降、「スター・ウォーズ」シリーズや「ブラックパンサー」シリーズ、さらにはジョーダン・ピール監督の『アス』(19)など話題作に立て続けに出演してきたニョンゴ。一方のクインは、テレビ作品でキャリアを積み、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のシーズン4で大ブレイクを果たしている。これが初共演となった2人は、撮影初日から意気投合したという。

「私たちの“DAY1”では、ジョセフはとても緊張していて、たくさんの質問をしてきてくれました。とてもオープンで好奇心旺盛で、撮影中も最高のエネルギーであらゆる表現を用いる大胆さを発揮していました。人としても役者としてもすばらしい人で、そんな人は滅多にいません。私たちはうまくやっていける、そしてきっといい作品になるに違いないと直感しました」とニョンゴが語ると、クインも「ルピタの仕事ぶりを見て多くを学びました。本当にすばらしい、真のプロフェッショナルです」と熱烈な賛辞で互いを褒め合う。

「信念や思いやり、恐れを知らない心に決断力。ルピタはそれらすべての資質を持ち合わせており、まさに本作のような大規模な作品を代表する存在といえるでしょう。彼女は自分の時間やアドバイス、経験を僕に惜しみなく与えてくれました。それがなによりうれしいことです。仕事で誰かに会う時は、お互いに他人から始まります。でも別れる時には一緒になにかを作りあげてる。もし友情も一緒に築けたのであれば、それは最高のご褒美です」ともクインは話し、まさに相思相愛のようだ。

「観客は登場人物の先を行っている」(ジョセフ・クイン)

そんな2人の劇中での関係性についてクインは、「エリックとサミラはまったく異なる立場からサバイバルに挑んでいきます。エリックは故郷から遠く離れ、仲間や指導を必要としている。対してサミラは様々な理由から、好意的に接したりそれに応えたりすることができません。しかし2人はお互いを理解するようになっていきます」と説明する。

前2作では家族の物語が描かれたが、本作では見知らぬ2人のサバイバルが描かれる [c]2024 PARAMOUNT PICTURES
前2作では家族の物語が描かれたが、本作では見知らぬ2人のサバイバルが描かれる [c]2024 PARAMOUNT PICTURES

「前2作では家族を中心に描いてきましたが、今回は見知らぬ者同士でサバイバルするからこそ、この世界におけるダイナミズムがまったく異なるものになっています」と、クインはシリーズファンならではの視点で熱弁。「この特異なシチュエーションのなかで2人の登場人物がぶつかり合い、そしてお互いを知るというのは、ある種神秘的とも言えるでしょう」。

そして「人々がそれぞれ異なる方法で自分の死と向き合うのを見ながら、観客はそれを一緒に体験することになる。多くの場合、人は死や死後の世界といった人生における大きなテーマについて偏った考えを持っているでしょう。本作は、ものすごい恐怖のなかでそれを探究しているのです」。

【写真を見る】ニューヨークに謎の生命体が突如として襲来!“音”を立てないとか、もはや無理? [c]2024 PARAMOUNT PICTURES
【写真を見る】ニューヨークに謎の生命体が突如として襲来!“音”を立てないとか、もはや無理? [c]2024 PARAMOUNT PICTURES

一方で、実際に12年間ニューヨークに住んでいたというニョンゴは「クリーチャーの襲来によってすべてが変化していくなかで、ニューヨークがどのように変わっていくのか描かれているのが興味深かった」と語り、このシリーズの“恐怖”の構造に言及。それは、ほとんどのシーンでクリーチャーの姿がはっきりと映されてこなかったことだ。

「特に1作目がそうでしたが、想像力というものがこのシリーズでは恐怖の大部分をになっていました。だからこそ緊張感があり、キャストの演技もすばらしいので観客は彼らの視点に立っているような気持ちを味わうことになりました」。そのうえで、本作におけるクリーチャー描写については「私たちは撮影でクリーチャーに遭遇した、言えるのはそれだけです(笑)。映画のなかでは、クリーチャーについてもっと深く知ることができるでしょう」と含みを持たせる。

それを受けてクインは、「観客はすでにこのクリーチャーの能力やこの世界のルールを知っている。その点で、登場人物の先を行っている。それは、より緊張感を高めることにつながるはずです」と語る。「最初のシーンは大混乱の地獄絵図で、ある意味ではディザスター映画のようでもあります。しかし事態が落ち着くにつれて、登場人物たちはクリーチャーを回避するルールを学んでいくことになる。そしてそこからまた、興味深い展開が待っているのです」と、観客の期待や想像を超える結末が待ち受けていることを予感させた。

『クワイエット・プレイス:DAY 1』は6月28日(金)公開! [c]2024 PARAMOUNT PICTURES
『クワイエット・プレイス:DAY 1』は6月28日(金)公開! [c]2024 PARAMOUNT PICTURES

構成・文/久保田 和馬

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