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【インタビュー】タイ代表石井正忠監督に聞く金崎夢生との握手拒否事件の真相、名将が考えるジーコスピリット

  • 2024.6.27
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督に聞く金崎夢生との握手拒否事件の真相、名将が考えるジーコスピリット
【インタビュー】タイ代表石井正忠監督に聞く金崎夢生との握手拒否事件の真相、名将が考えるジーコスピリット

Text by 高橋アオ

Jリーグ史上最強のチーム鹿島アントラーズを率いた石井正忠監督は、昨年11月23日にタイ代表指揮官に就任した。

1999年にアカデミーのコーチから指導者キャリアを始め、2017年5月まで常勝軍団鹿島を約19年支え続けた。

Jリーグ、天皇杯、ルヴァン杯を制覇し、2016年に開催されたクラブワールドカップではJリーグクラブ史上最高成績となる準優勝へ導いた。

2021年からタイ1部ブリーラム・ユナイテッドの指揮を執り、2年連続で国内三冠(リーグ、協会オープンカップ、リーグカップ)を達成して前人未到の金字塔を打ち立てた。8月13日にタイ代表のテクニカルディレクター(TD)へと就任するも、9月18日に退任した。

紆余曲折を経てタイ代表に指揮官に就任した石井監督をQolyが独占インタビュー。

第3弾は金崎夢生との握手拒否の真相、現在の鹿島への期待やジーコスピリットについて語った。

※諸事情により1年前に取材した内容を掲載いたします。

(取材日2023年6月15日)

握手拒否事件の真相

――金崎夢生選手(無所属)との握手拒否が過去に話題になりました。ただ試合中にアドレナリンが出ていてボルテージが上がっている状態だったから、誤解されるような場面になってしまったのかと私は思っています。真相としては、どういった経緯があったのでしょうか。

彼も優磨と一緒です。もう1分1秒でも長くピッチに立って、鹿島の勝利のために戦いたいという人間です。あの後、それで「ああいった態度を取ってしまって非常に申し訳ないです」という話をされました。そこを「僕も理解できる」と話をしましたね。

でも、そうやってああいった態度をあの場面で見せてしまったことで、見ている人からいろんな反応がありました。それこそ(日本)代表に呼ばれなくなったきっかけにもなってしまった。

だから彼自身も反省しなきゃいけない部分があると思いますけど、僕自身監督の経験が浅かった分、あそこで握手を求める必要もなかったかもしれない。そうしなければ(握手拒否は)起こらなかったので。僕の監督経験の少なさがああいうことを起こしてしまったという意味で、僕自身はあのとき非常に反省しました。

【インタビュー】タイ代表石井正忠監督に聞く金崎夢生との握手拒否事件の真相、名将が考えるジーコスピリット
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――いまも指導された選手の活躍を追っていますか。

そうですね。全員はなかなか追えていないすけど、追っています。僕が教えたとかはまったく思っていません。ただ本当に能力のある選手が鹿島にたくさんいます。だから、できるだけ長くプロの生活をやってもらいたいと思っています。

――石井さんは自主性を重んじるマネジメントをされていると以前お聞きしました。自主性を重んじるマネジメントで一番気を遣っている部分はどういったところでしょうか。

まず、チームでやらなきゃいけない決まりと枠組みはしっかりないといけない。その幅が他の監督よりも、多分僕はちょっと広いと思うんですね。その中であれば、選手の判断で「いろんなことをやっていいよ」ということです。

トレーニングも試合でも、監督に言われたからやるとかじゃなくて、実際にやるのは選手なので。最終的には選手の判断で、いろんなプレーができることが僕は理想的だと思っている。それを練習から思い切ってやってもらう。それでそれぞれの選手の良さがどんどん出てくるんじゃないかなと思っています。

鹿島の変化に思うこと

――鹿島はスイス人監督レネ・バイラーさん(現スイス1部セルヴェッテFC監督)の就任や、ナイジェリア出身のブレッシング・エレケ選手の獲得などブラジル人路線から新しい挑戦を始めました。いままでは監督が外国人ならブラジル人、選手もブラジル人かアジア人選手枠の関係で韓国人選手を獲っていましたけど、アフリカ、ヨーロッパ出身の方がクラブに加わることは、かなり大きな変化だと思います。20年近く鹿島で働いていた石井さんとしてはこの変化をどう受け止めていますか。

外から見た感じでは「こういう方向に進んでいくんだ」と、ただ思っていました。そこは、現段階で成功していたわけではないので。だからそれが「良かったのかな?」と思っています。

あとヨーロッパのほうに振れていくと、「ジーコさんとの関係もどうなっていくんだろうな?」と外から見て思っていました。

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――変化としては満さん(鈴木満さん)がフットボールダイレクター(強化責任者)から強化アドバイザーに移られました。外から見て、組織の内部構造の変化はどう捉えていますか。

いま世の中の変化が早いので、そういうタイミングでそういう形になったんだろうなと思います。満さんも現場に近いところから離れていますけど、クラブの中には多分いると思うので。

だからそういう点では、引き継ぐというところで、吉岡(宗重フットボールダイレクター)さんに任せるという形になったんじゃないかなと思います。うまく後任の人がしっかり方向性を付けてやっていけばいいんじゃないかと思っています。

強い鹿島を取り戻すには

――いまの鹿島はタイトルから少し遠ざかっている状況です。いまの鹿島に思うことを教えてください。

いまは僕が監督をしていたときよりも、選手がヨーロッパに出て行く選手が多かったりもするので。まずアントラーズ側としては出してあげたいという気持ちのほうが強いから、どんどん出て行ってしまうと思っています。

だからチームを安定的に強くする難しさがあると思う。そこで、監督選びにしても、選手補強にしても、いままでよりすごく難しくなっていると思います。

この不安定な感じがいま成績に出ているんじゃないかなと思いますけど、時間を追うごとに最近はチームも上向きです(2023年6月15日時点取材)。タイトルを取った経験のある選手が少なくなったというのも1つの原因だと思うので、近い将来タイトルを取っていけば、また変わっていくんじゃないかと思っていますけどね。

――岩政大樹監督とは現役時代に何年も一緒に指導者と選手の関係で仕事をされてきました。鹿島OBとして岩政監督への期待を教えてください。

僕が監督をやっていたときと選手の構成も違いますし、若い選手が多いと思います。

岩政自身も指導者としての経験がそんなにない状態から監督を引き受けた。だからすごく苦労していると思うんですよね。でも、そこをいましっかりコツコツと積み上げながらやっていくことがすごく大事だと思うので、そこは見守るしかないなと思っていますね。

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――選手時代にジーコさんともプレーされました。鹿島といえばジーコスピリットがこれまで大事にされてきました。石井さんの考える鹿島のジーコスピリットを教えてください。

チームのために戦えるかということが1番じゃないかと思います。個人の成長も当然あります。いまの選手でいえば、「鹿島で活躍してヨーロッパへ行きたい」と思うんですけど、そこは当然あっておかしくないです。

ただ1試合、1試合勝つために、チームの勝利のために、自分を犠牲にしてプレーすることが、やっぱりジーコスピリットの1番大事なところだと思いますね。

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次回は大宮アルディージャ監督時代、無所属期間に勤めていた意外な職業について語った。

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