1. トップ
  2. <響け!ユーフォニアム3>久美子と真由による最終オーディション。涙なしにはみられないクライマックスに「アニメ史に残る涙描写」と反響

<響け!ユーフォニアム3>久美子と真由による最終オーディション。涙なしにはみられないクライマックスに「アニメ史に残る涙描写」と反響

  • 2024.6.27
  • 61 views
アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回が放送 Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回が放送 Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

【写真】今話、過去とトラウマが明らかになった黒江真由(ほか、第十二回場面カット)

吹奏楽に青春を捧げ、全国大会での金賞を目指す高校生たちの姿を描いた「響け!ユーフォニアム」(毎週日曜昼5:00-5:25ほか、NHK Eテレ/NHKプラス・Lemino・ABEMA・ディズニープラス・FOD・Huluほかで配信)、シリーズの「最終楽章」となるTVシリーズ第3期。新部長に就任した黄前久美子(CV:黒沢ともよ)は3年生に進級し、部員たちとともに高校最後の大会へと臨んでいく。第十二回は、全国大会のソリをかけた最後のオーディションを描いた「さいごのソリスト」。(以下、ネタバレを含みます)

決まらないユーフォニアムのソリスト。久美子が提案した再オーディション方法とは

全国大会の演奏者を選ぶための最後のオーディションが行われ、ユーフォニアムは久美子と黒江真由(CV:戸松遥)が選出される。しかしここでソリは決まりきらず、後日、部員全員の投票による再オーディションが開かれることとなる。その後、職員室を訪ねた久美子は、滝昇(CV:櫻井孝宏)から再オーディションの意図を聞き、そのうえで部員からは演奏者が誰か分からないようにしてほしいと頼む。その言葉にハッとした滝は「みなさんのような生徒と出会えたことを幸運に思います」と、久美子の提案を受け入れるのだった。

職員室での久美子と滝の会話では、久美子の発言に対して驚いた表情を見せる滝が印象的で、解釈によっては色々な受け止め方ができる。滝の言う通り、ふたりの演奏は本当に甲乙つけがたいものだったのかもしれないし、もしくは紙一重の差がありつつも、部員からの信頼が厚い久美子の人間性や立場を加味したのか。そこに結論はないが、滝が久美子の心意気にハッと驚き、目頭を押さえたことを考えると、久美子は滝が思う以上に部長として成長していたということなのだろう。滝は最後、久美子たちと出会えたことに感謝の言葉を口にするが、これはとりわけ久美子個人に向けた言葉と言っても不思議ではないように感じる。これにはSNSでも「久美子本当に偉すぎる」などの声があがっていた。

真由の過去とトラウマが明らかに

帰り道、久美子が高坂麗奈(CV:安済知佳)に、オーディションで自分が負けたら嫌かどうか訪ねると、麗奈は「久美子とソリ吹くって決めてるから」と答え、久美子に「頑張って」とエールを送る。こうして、いよいよ久美子と真由による再オーディションが始まった。本番前の待ち時間、真由は再び久美子に「高坂さんと、ソリ、吹きたいよね」と辞退を意識した質問をするも、久美子は逆に、転校したてで不安なはずの真由に「実力主義を押し付けてきた」と謝罪した。真由と自分は根っこの部分が似ていると語ると、真由もまた、自分だけがコンクールに選ばれ続けた結果、友達が音楽をやめてしまった過去を打ち明け、改めてみんなで楽しく演奏できればいいという自分の考えを伝える。しかし久美子は「真由ちゃんの演奏は、どうでもいいって思ってる人の演奏じゃないよ」と、演奏には嘘をつきたくないという真由の本音を指摘し、「自分の信じるもののために吹いてほしい」と、堂々と宣戦布告をするのだった。

久美子と真由が、ついに本気で向き合う瞬間が描かれた。これまで、真由は幾度となく久美子にオーディションの辞退を申し入れ、その度に溝を深めてきたふたりだったが、じつのところふたりは根が似た者同士だったことを互いに再認識したところで、距離は一気に縮まったような気がする。真由としても、純粋に久美子の「麗奈とソリを吹きたい」という本心を感じ取っていただけで、余計な軋轢を生まないための行動だったのだろう。とは言え、ワザと下手に演奏することはできないというところが真由ならではの信念で、かつてワザと下手に演奏した経験のある久石奏(CV:雨宮天)には見抜けなかったのかもしれない。むしろそこは「似た者同士」の久美子だからこそ気づけたことで、だからこそふたりはやっとお互いの本音を話すことができたとも言える。ともかく、初めて真由の本心が明らかになったシーンで、ふたりの関係にいい意味で決着をつけるやり取りとなった。

久美子がソリ落選、三者三様の感情と涙が爆発

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回より Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回より Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

運命の再オーディションが始まった。部員たちには誰が吹いているか伏せた状態でふたりの演奏が終わり、どちらの演奏が良かったか挙手で票を数えるものの、票は同数となり、ソリを演奏していたため唯一挙手していなかった麗奈が最後の一票を託されることに。麗奈はしばらく逡巡しつつ一番目の演奏者を選択するが、それは久美子ではなく、真由だった。落選という事実にしばしショックを受ける久美子だったが、これが今の北宇治高校吹奏楽部の最強メンバーだと部員たちを鼓舞。そんな久美子を見た真由は、隣でただただ涙を流すのだった。

再オーディションの結果は、予想を裏切るものだったに違いないが、それゆえにこのシーンに漂う緊張感は、間違いなくシリーズ史上最高のものとなった。視聴者にも演奏者を見せないという徹底した演出がされており、SNSでも「我々も試されているw」「ずっと心臓が止まりそう!」と、叫びのコメントが飛び交っていた。ともあれ、ソリに選ばれなかったショックから自分を奮い立たせてすぐに前を向いた久美子と、その言葉に涙を流す真由のふたりがなんとも美しいシーンとなっている。

その日の夜、麗奈から大吉山で待っているとの連絡を受けた久美子は、いつもの東屋へと向かう。するとそこには、うずくまって泣いている麗奈の姿があった。麗奈は、久美子の演奏が二番目だと分かったうえで、それでも真由を選んだことを泣きながら謝ると、久美子もまた、「一番上手い人を選ぶ」という信念を貫いた麗奈のことを誇らしいと答える。久美子はまた、だからこそ実力で勝ちたかったと悔しい気持ちをあらわにし、最後は大泣きしながら「死ぬほど悔しい」と叫ぶのだった。

最後は、奏、麗奈、久美子と、3人それぞれの気持ちが爆発し、涙なしには見れないクライマックスとなった。なかでも大吉山での久美子と麗奈のシーンは、第一期第八回にて、初めてふたりに特別な絆が生まれた名シーンのセルフオマージュにもなっており、まさに久美子と麗奈の関係性の到達点とも言うべき特別なシーンに仕上がっている。シリーズ史上最高峰の芝居と作画、演出で、このシーンにかけるキャストやスタッフ陣の熱量の高さが伝わってくるとともに、改めてアニメーションの素晴らしさを感じさせてくれた。これにはSNSでも「アニメ史に残る涙描写な気がする」などの声があがっていた。さて今回は特殊OP&特殊EDと、尺をめいいっぱい使っての感動に溢れたエピソードだった。そしてシリーズもついに次が最終話。第十三回は6月30日(日)放送予定。期待して待とう!

■文/岡本大介

アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回より Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
アニメ「響け!ユーフォニアム3」第十二回より Ⓒ武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
元記事で読む
の記事をもっとみる