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木の実ナナ演じる誇り高きピアニストが「わきまえなさい!」と古畑をピシャリ<古畑任三郎>

  • 2024.6.27
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三谷幸喜脚本の「古畑任三郎」シリーズは、田村正和演じる主人公・古畑任三郎が、完全犯罪をもくろむ犯人たちの難解なトリックを卓越した推理力で解いていく、ミステリードラマの金字塔。FOD・TVerでは「#ドラ活 浸れ、超自分的ドラマ生活。」を開催中で、第1シリーズの「警部補・古畑任三郎」第1~3話は7月6日(土)まで無料公開されている。木の実ナナがピアニストの犯人役を演じた第6話を紹介する。(以下、ネタバレが含まれます)

【写真】「古畑任三郎 第3シリーズ」(左から)石井正則、田村正和、西村まさ彦

嫌われ者のピアニスト・薫が音楽葬で代奏を務める

第6話「ピアノ・レッスン」は、塩原音楽学院の理事で有名ピアニストの井口薫(木の実ナナ)が、理事長の川合(中丸新将)を心臓発作に見せかけて殺した回である。

翌日に控えた塩原・前理事長の葬儀でレクイエムを弾くことになっていた川合。薫は、リハーサルのため、ひとり舞台でピアノに向かう川合の首筋にスタンガンを押しつけ、電気ショックを与えた。発作を起こした川合は、ステージの床に倒れる。

何食わぬ顔で海外に旅立つところを学院に呼び戻される薫。川合に代わってレクイエムを弾くためだった。才能は川合より数段上と言われながら、塩原の家族に疎まれている薫は、川合の経営方針に批判的である。そして、予定通り行われた塩原の葬儀で、薫が弾いていた曲は、なぜかレクイエムではなかった。古畑(田村)は、持ち前の鋭い観察力と推理で、薫の擬装を打ち崩していく。

人望のないピアニストVS皮肉たっぷりの古畑

使う人が限られている日本語というのがある。「〇〇したまえ」、「わきまえなさい」など、上の立場から身分が下の人や部下に向かって使う言葉などがそうであり、発言する人によっては大層、偉ぶって見えてしまうため、現代では聞く機会が減った。

ところが、今回事件の犯人である薫はスタッフへの態度が大きく、若い楽団員のことを強く叱責し、周囲に恐れられている存在。古畑が薫への疑いを濃くしたのは、音楽葬の演奏であるのに亡くなった塩原・前理事長を悼むレクイエムを弾かず曲を変更したからである。

変更した理由は、葬儀の前に舞台上のピアノの弦が切れて出ない音があることを不安視した薫の機転が利いたからなのだが、誰よりも先にその事実を知るのは川合を殺した犯人しかいないという点で、薫は大きなミスをしてしまったのだ。

事件のクライマックスで古畑は、すべての罪を暴いた後で、ステージ上の薫に「聴かせてもらえませんか、井口さんのレクイエム」と発言するが、薫は古畑の少々失礼で軽々しい提案を拒否。「大それたこと言うのね、あなた。わきまえなさい」と言い残しステージを降りた。このセリフは薫の気の強さやプライドの高い性格を明確に表しており、往年のドラマファンの印象にも残っていることだろう。

古畑が指一本でピアノの黒鍵のみを使って「函館の女」を披露するなど、小ネタも散りばめられている。冒頭で「問題なのは、自分が人に嫌われているのが分かっていない人」と皮肉を言ったり、古畑の犯人へのあざとい追い込み方が光る第6話であった。

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