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【ネタバレ】機能不全な義家族と同居。夫は結婚直後から浮気していたことが判明! “腐りゆく家族”で妻が下した決断とは?

  • 2024.6.26
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知らなかったのは私だけだった (C)きむらかずよ
知らなかったのは私だけだった (C)きむらかずよ

きむらかずよさんによる漫画『腐りゆく家族』は、著者の身近であった出来事をベースに描かれたセミフィクション作品。

結婚したばかりの主人公・かりんですが、夫は婚前からの不倫をずるずると続けていました。そんな彼の実家には、家族をないがしろにし続けてきた義父を筆頭に、一筋縄ではいかない面々が…。

よどんだ空気が流れる腐った家で同居することになったかりんと嘘だらけの夫には、どんな未来が待っているのでしょうか?

記事の後半で、最終回のネタバレに触れています。ネタバレしてほしくない!という方はご注意ください。

結婚式はもう目の前なのに⁉夫の言葉に違和感

大学時代からの6年間の遠距離恋愛を実らせ、ついにゆずきと結婚したかりん。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

式の1週間前には妊娠していることも発覚し、これから仲睦まじい家庭を築けると信じていた彼女は、まさに幸せの絶頂にいました。

ただ、夫となるゆずきからは、式の直前にある心配な出来事の報告が…。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

「会社の子から告白された」という彼は、「今結婚していいのか迷っている」と言うのです。いささかの不安を覚えながらも、かりんは、いまさら戻れないからという理由でゆずきとの結婚式を決行。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

結婚式当日の夜も、うきうきしている彼女をよそに、心ここにあらずといった様子の夫。かりんは、ふたりの間にただよう不穏な空気を感じながらも、それをやり過ごすしかありませんでした。

新居では不気味な出来事が…

結婚を機に夫の住む京都に引っ越したかりんの新居は、夫の社宅でした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

噂好きの住人たちの井戸端会議には極力加わらないようにしていた彼女でしたが、新生活が始まったとたん、その身に不思議なことが降りかかってきます。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

玄関先に置いていたものが次々になくなっていくのです。干しておいたスニーカーだったり、大切に育てていたオリーブの木の枝だったり。しかも、オリーブの枝には刃物が使われた形跡が…。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

さらに、なくなったスニーカーがゴミ置き場に捨てられているのを見つけた彼女は、社宅の治安の悪さをなげくのでした。

相次いだ嫌がらせの犯人はあの人!

ある日、帰宅した夫から玄関先にゴミが大量に置いてあると言われ、かりんは驚愕します。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

その日の朝に掃き掃除をした際には何もなかったのに、どうして…。そう思いながらもしかたなく片付ける彼女。

こんな時でも夫は、片付けを手伝うことも、かりんの話を聞いてくれることもなく、誰かと電話をしているよう。そんな彼に違和感を感じつつも、何も言い出せないかりんなのでした。

別の日の夜、玄関先に人の気配を感じたかりんは、そっとインターホンのモニターを使って、外の様子を見てみることにしました。するとそこには衝撃的な光景が…。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

社宅の隣に住むナシノさんが、かりん宅の玄関の前にゴミをばらまいていたのです!

あまりのことに、かりんは帰ってきた夫に泣きながら社宅を出たいと訴えました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

ナシノさんの異常な行動は、どうやら息子が一人暮らしを始めたタイミングで顕著になったようです。彼女の夫が不倫をしており、彼女はさみしさを募らせていたのかもしれません。

ナシノさんにも事情があることは理解しましたが、その日以降、かりんの「早くこの異常な社宅を出たい」という思いは強くなるばかりでした。

自分だけが知らなかった夫の秘密

そんなある日、出社した夫がスマホを忘れたことに気づいたかりん。その画面には、怪しい文面が表示されています。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

彼女は、夫のスマホの中身を見てみることに…。その中にあったのは、夫と女性との、恋愛中としか思えないLINEのやりとりでした。

愕然としつつも、忘れ物を取りに帰った夫に自分の感情をぶつけるかりん。以前から感じていた違和感の正体は、これだったのです。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

結婚式直前に「会社の子から告白された」と言っていた夫は、あの時期からずっと不倫をしていて、何食わぬ顔で結婚式をし、新婚生活を送っていた…。その事実を前に、かりんは涙をこらえきれません。

「帰ったら説明するから!」と言っていた夫ですが、その日、彼が帰宅することはありませんでした。

もう何も信じられないのに…家を飛び出して行き着いた先

翌朝、かりんは家を出るつもりで荷造りをしていました。そのタイミングでやっと帰宅した夫と大げんかをした彼女は、そのまま部屋を飛び出します。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

衝動的に向かった先は、京都駅のホーム。実家のある東京行きの新幹線に乗った彼女は、夫に対する違和感を放置していた自分を心の中で責め続けていました。

勢いで帰ってきた彼女を、両親は温かく迎えてくれます。自分のホームでもある場所で、心が落ち着くのをかりんは実感するのでした。

別の日にかりんが向かったのは、実家近くの病院でした。妊婦健診のためでしたが、検査をしている医師から、胎児がモニターに写っていないことを告げられます。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

かりんのお腹から、赤ちゃんはいなくなっていました。後処置のため、かりんは手術を受けることになり、「連絡したところで…」と思いつつ夫にも事実を伝えました。

ところがその夜、かりんの実家に思わぬ来訪者が。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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なんとそれは夫のゆずきでした。彼は明日の手術に立ち合うと言います。

「一人で辛い思いばっかりさせてごめん…」

そう謝った彼は、浮気相手のモモについての話をし始めました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

モモは同じ部署の派遣社員で、残業の後に食事に行くようになり、いつしか一緒に出勤するのが日課に。そしてふたりは不倫関係に陥ったのでした。

引っ越し先は、複雑な事情のある義実家⁉

手術の後、かりんはゆずきとともに新幹線に乗り、社宅のある京都に戻りました。

日常が戻ってきたと思っていたある朝、夫が突然、社宅を出ることを提案してきました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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喜ぶかりんでしたが、引っ越し先を聞いて絶句…。それは夫の実家だと言うではありませんか。

かりんがそのような反応をしたのには理由がありました。

結婚前に夫の実家にあいさつに行ったとき、道中で夫からある話を聞きました。義父は気に入らないことがあると家族に怒鳴り散らすような人物で、近所の既婚女性に言い寄ったことが原因で、その女性の夫が家に抗議しに来たこともあったそうです。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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そんな父に愛想を尽かした義母は出ていきました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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そして義兄は、愛人を家に頻繁に連れこんで平気な顔をしている人でした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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さらに、スナックで働く義姉は客の男性と不倫関係になり、未婚のまま子どもを出産。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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夜はその子を祖母に預けて仕事に出ていくのだとか。

あまりに複雑なゆずきの家庭環境に言葉を失ったかりん。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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そうして初めて足を踏み入れた夫の実家では、義兄の妻よりもはやく愛人に会うはめに…。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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そして義父と義祖母、義姉に会い、義姉の子ども・ツムギにもあいさつを済ませました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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その後何度か夫の実家を訪ねる機会はありましたが、いつも夜は義祖母とツムギくんだけがひっそりと夜を過ごしているようです。

そんなことを思い出すと、あの家に自分が同居する未来が思い描けないかりんなのでした。

家にいちゃダメだ! 働きはじめた矢先に起きた事件

しかし、かりんの想いに反してあれよあれよと話が進んでしまい、夫の実家での同居生活をスタートさせることに。

そんなある日、かりんがツムギを呼ぶために彼の部屋を訪れたときのこと。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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部屋に入ると、机の上には大量のマッチとライターが…。不審に思いながらもかりんは彼を問い詰めることはできず、うやむやのままになってしまいました。

同居開始からしばらく経ち、かりんは家の外で働くことを決意します。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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勤務先である近隣で一番大きなスーパーで、彼女は靴売り場を担当することになりました。最初は緊張したものの、徐々に職場にも慣れ、働くことの楽しさを感じはじめていました。

その矢先、かりんの身にある事件が。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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以前からスーパーの職員の中で問題になっていた盗撮魔のターゲットになってしまったのです。

あまりの恐怖に声が出ず、硬直してしまったかりんでしたが、偶然そこを通りかかった配達員の男性のよって犯人は取り押さえられ、事なきを得ました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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手足が震えてしまったかりんは、助けてくれた配達員にお礼を言うこともできませんでした。

夫の不倫を指摘する謎の女性

12月になりました。

クリスマスイブは、夫・ゆずきと一緒に出掛けることになっていました。夫とのデートが嬉しくて気もそぞろなかりんの前に、一人の女性客がやってきます。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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印象的な香りの香水をまとったその客は、かりんの名前を知っているばかりでなく、夫の不倫についてもペラペラ話し出したのです!

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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その女性によると、不倫相手は結婚式の二次会に来ていて、かりんに花束を手渡したこともあるそうです。そういえば、花束を持ってきた若い女の子がいたことを、おぼろげながらかりんは覚えていました。

ただならぬかりんの様子に気づいた先輩店員のはからいでその場を離れることはできましたが、最悪なことは続きます。帰宅しようとした途端、どしゃぶりの雨が降り出したのです。

そこに来たのは、以前盗撮魔から助けてくれた配達員でした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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彼は彼女に、傘を差しだしました。遠慮するかりんになかば強引に傘を渡すと、彼は自分の連絡先を渡してきました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「お姉さんを初めて見たときから ずっとしゃべりたいって思ってたから」

そう照れながら話す配達員を前に、かりんは顔が赤くなるのを止められませんでした。

早く帰ると言った夫を信じて待ったのに…

配達員からの思いがけない告白に、謎の女性の出現…。現実味のない出来事が続き、かりんの心は揺れ動きます。

クリスマスイブ当日、ゆずきとちゃんと話をしよう、かりんはそう覚悟して帰宅しましたが、いくら待っても夫は帰ってきません。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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22時を過ぎ、落胆し辛い気持ちを持て余していたかりんは、連絡先をもらっていた配達員・オオガキくんに電話をしてみることにしました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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趣味で組んでいるバンドのクリスマスライブ前だという彼に、かりんは自分が既婚者であることを告げます。

「声が聞けて嬉しかった」

オオガキくんの言葉に、顔も胸も熱くなるかりん。そうこうしているうちに、夫が帰ってきました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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夫いわく、帰宅が遅くなったのは、別れようとしている不倫相手が会社の入り口で泣きながら抱きついてきて、それを振りほどけなかったからだと言います。

そこまで聞いたかりんは、夫との会話を打ち切りました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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彼女の耳の奥には、オオガキくんとの会話がよみがえっていました。

【ネタバレ】孤独だった私を癒やしてくれた人

その翌日、かりんは勤務先のスーパーでオオガキくんに話かけられます。かりんの耳に口を寄せてささやく彼と、まんざらでもないかりん。その様子を見たスーパーの先輩店員からはたしなめられましたが、かりんの心には届きません。その日の夜にも彼とメッセージのやりとりを交わし、恋に落ちたことを実感するかりんなのでした。

しばらくすると、オオガキくんと電話で話すことは、かりんの癒やしになっていました。家にいるのが辛かった彼女は、この日も京都駅の人ごみの中から彼に電話します。

京都駅では、同居するツムギとばったり。学校に通っていない彼は、母親のはからいで不登校の子どもを対象にしている塾に通うことになったそうで、この日はこれから塾に行くところだそうです。

そんな彼を見送って、自分も帰宅しようとしたその時――。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「よかった、まだいた」

それはオオガキくんでした。

ひと時の逢瀬を楽しんだかりんとオオガキくんでしたが、手をつないでいるところを、塾帰りのツムギに目撃されてしまいます。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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そんなツムギの心の中には、とある感情が渦巻いていました。それに気が付いたのは、ツムギの通う塾の講師。彼は生徒のためならその親を諭すこともためらいません。ツムギの母である義姉のスナックに出向き、ツムギがライターを持ち歩いていることを報告したうえで、カウンセリングを受けさせるべきだと提案します。

それを聞いた義姉は激怒し、帰宅してからツムギを問い詰めます。

「なんでこんな腐った家に俺を産んだんや」と涙ながらに話すツムギ。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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彼は、自分の部屋でライターを使って火遊びをしていたようです。それは彼の心のSOSだったのかもしれません。その後も蚊取り線香を燃やすなど、ツムギの火遊びは加速していきました。

【ネタバレ】謎の女性ふたたび! もしかして彼女が不倫相手?

ある日、職場の先輩から不倫話の不幸なてん末を聞いたかりんは、自分の気持ちがまだ夫にあり、その寂しさをオオガキくんの優しさで埋めていたことに思い当たります。

そんな自分が嫌になったかりんは、オオガキくんに連絡し、もう会うことも電話することも辞めると伝えました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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オオガキくんとの関係も清算し、夫であるゆずきと今後についての話し合いすることにしたかりん。将来的にはかりんと一緒にいたいと話す夫でしたが、不倫相手のこともすぐには切り捨てられないと言います。かりんは納得しきってはいないものの、夫との幸せな未来を想像し、話し合いは終了となりました。

夫の不倫相手のモモは、ゆずきとのデートを続けるなかで、彼への思いを強くしていました。自分がゆずきの二番目であるストレスからか、最近は胸やけもひどく熱っぽいのです。職場のトイレで真っ青になってしまった彼女は、病院を受診することに。

一方、かりんの職場には、あの香水をつけた謎の女性が再びやってきました! 女性はかりんの耳もとに口を寄せて、クリスマスイブの日に夫が帰ってきたかどうか尋ねるではありませんか。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「あの人がモモなの?」

その場をすぐに立ち去った女性に、かりんの怒りはあふれんばかり。その日に帰宅した夫のスマホの画面にモモからのメッセージが表示されているのを見るやいなや、彼女の連絡先を自分のスマホに送ったうえで、夫のSNSからモモへのメッセージを送信します。

そのことがゆずきにバレてしまったため、それ以降は自分のスマホでモモとのやりとりを続け、目的もないまま、近所のバス停で彼女と会う約束を取り付けてしまったのです!

しかし、近所のバス停に着いたところで偶然通りかかった職場の先輩店員に説得され、モモと会うのはやめることにしました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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【ネタバレ】破滅に向かう二人

バス停での約束をすっぽかされたモモでしたが、彼女にはとっておきの秘密がありました。ある晩ゆずきを居酒屋に呼び出したモモは、彼にそれを告げることに。

「赤ちゃんができたから」

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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モモは、ゆずきとの子どもを身ごもっていたのです。衝撃的な報告に、頭が真っ白になり、倒れこんでしまったゆずき。食事を中断し、モモは彼を病院に連れて行きました。

受診の結果、特に異常が見つからなかったため、モモはゆずきを送り届けることにしました。彼女は実家暮らしのため、ゆずきを連れ帰ることはできなかったのです。ゆずきを乗せた彼の車を駐車場に停め、その日はおとなしく帰ったモモ。

しかしその翌日、ゆずきの車のボンネットの上には花束が! それもモモからのメッセージつき。さらにゆずきのスマホにはモモからの着信があり、それを無視しているとついには自宅にまで電話をしてきました。

かりんが夫に代わってその電話にでると、その声は、職場に来た謎の女性の声ではありませんでした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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つまり、香水の女性とモモは別人だということです。

それからのゆずきには、出社してもふらふらになって帰宅するなど、明らかな異変が現れていました。自責の念に堪えかねた彼は、かりんにモモが妊娠したという事実を告白することにしました。

これ以上かりんを巻き込むわけにいかないという彼は、かりんに「離婚してほしい」と懇願してきたのです。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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それを聞いて家を飛び出したかりんでしたが、熟考のすえ「離婚しよう」と夫に告げたのでした。

そして、かりんたちは離婚することを義実家の面々に報告。夫のかりんへの慰謝料は、義兄が立て替えてすぐに払ってくれることになりました。東京の実家にも直接足を運んで報告したかりんは、京都に戻って職場にも退職の連絡を入れました。

同僚たちの中には、不倫相手を訴えるべきだと言う人もいました。そのアドバイスに従いかりんは不倫の証拠を集めることにしますが、作業の過程でメンタルを削られたことや、生まれてくる不倫相手の子どものことを思って、裁判をすることに迷いが生じてきます。

そんなかりんを心配した先輩が、知り合いのカウンセラーを紹介してくれました。そのカウンセリングを通して、かりんは、本当の自分を思いだすことになります。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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彼女は本来華やかで活動的な人間でしたが、幼少のころから、相手の望む自分になろうとする癖がありました。ゆずきと出会ってからもそれは変わらず、彼の好きなものを選ぶようになっていったのです。

自分がゆずきに依存していたことを思い知ったかりんは、誰かのために作った自分でいることを辞める決意をします。

こうして自分と向き合ったかりんは、不倫相手と裁判で争うことをあきらめたのでした。

【ネタバレ】謎の女性の目的は「復讐」!?

ある晩、かりんはゆずきと外食することに。行った先のレストランには、ゆずきの職場の同僚たちも来ていました。その一行から、以前職場に来た女性が付けていた香水の匂いを感じ取ったかりん。それを追うようにして入ったトイレで、ついに謎の女性と対面したのです。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「夫に浮気された女の顔を見るのは楽しかったですか?」

問い詰めるかりんに対し、その女性は、復讐したい相手がいることをにおわせて去って行ってしまいました。

帰宅する車のなかで夫に聞いたところによると、あの女性の名前はせとか。職場結婚した夫が経理課にいるとのこと。せとかの意図が分からず困惑するかりんでしたが、ここを離れる私には関係ない、と気持ちを切り替えるのでした。

そしてついにかりんが東京に引っ越す日がやってきました。荷造りも終わり、義祖母やツムギとのお別れを済ませ、あとは運送会社が来るのを待つばかり。その後やってきた集荷のトラックに乗っていたのは、なんとあのオオガキくんでした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「お幸せに」

代金の受け渡しの際にそうささやいた彼の後姿を見送って、かりんの涙は止まりませんでした。

京都駅まで見送りに来た夫。別れる間際に泣き始めた彼に、かりんは引導を渡します。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA

東京に帰ったきたかりん。夫の好きなロングヘアをばっさり切り、自分がもともと好きだった洋服を買い、旧友との再会を果たしました。今後の人生を、本当の自分で生きはじめたのです。

【ネタバレ】まさに因果応報…

ゆずきの実家では、ストレスを募らせたツムギがボヤさわぎを起こしていました。やがてその火は家全体に…。

その日スナックに出勤中だった義姉は、知らせを受けて実家に駆け付けます。そこで命からがら火から逃れたツムギを、義姉は必死に抱きしめました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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「無事で… よかった…」、絞りだすような声で言った義姉は、この日を境に、実家を出る決意をしました。これまでさんざん自由をしてきた父や、妻をないがしろにしてきた兄は捨てていくつもりです。

一方、ゆずき本人は、かりんとの離婚後、モモと籍を入れました。しかし差出人不明のメールにより、モモを妊娠させたことが原因で離婚したことや不倫現場の写真が暴露され、会社を辞めざるをえない状況に。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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しかしそれをモモには言い出せず、暗い表情で帰宅するゆずきからは、香水の匂いがします。その香りに覚えはあるものの、どこでかいだのかは思いだせないモモ。

臨月になったモモは、近所に散歩に出かけます。すると、通りの向こう側に、元先輩社員のせとかがいるのが見えました。すると彼女に一台の車が近づきます。その車に乗っているのは、なんとゆずきでした。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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ゆずきとせとかを乗せた車は、ホテルの中に吸い込まれるように入っていきます。その夜、ゆずきはモモの待つ家に帰ってきませんでした…。

翌日、ホテルから出ようとするゆずきの車を待ち伏せしていたモモは、ふたりを問い詰めます。するとせとかは「一緒の部屋に泊まった」と悪びれることもなく言うではありませんか。

「ゆずきくんと付き合う前 私の夫と付き合っていたわよね」

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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モモの過去の悪行を話しはじめたせとか。モモが優越感を感じるために、不倫相手の妻であるせとかに近づいたこと、そしてゆずきが会社をクビになったことも暴露しました。そして、あの差出人不明のメールは自分がやったものだとも…。

ショックと混乱で、固まることしかできないゆずきとモモをのこし、せとかは去っていきました。

『腐りゆく家族』より (C)きむらかずよ/KADOKAWA
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その直後にモモは産気づき、赤ちゃんは無事に産まれました。この一家はどんな運命をたどることになるのでしょう。

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実話がふんだんに盛り込まれたセミフィクションである本作。隣人からの嫌がらせに夫の裏切りといったリアリティのあるエピソードの数々、そして怒涛の展開にひきこまれます。不倫夫をスパッと捨て、自分の人生そのものと向き合った主人公・かりんには拍手を送りたい気持ちに!

しかし、本当の意味で恐ろしかったのは「腐りゆく家族」が反復するかもしれないと感じさせるラスト。この不幸な連鎖はどうしたら断ち切れるのか…深く考えさせられます。

文=山上由利子

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