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どんなに苦しくても離れられない…共依存恋愛のリアルを描くマンガ『モラクズ男との共依存恋愛から抜け出せた話』

  • 2024.6.26
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お互いが過剰に依存しあっている恋愛関係のことを「共依存恋愛」という。相手から必要とされていないと感じると自分の存在価値がわからなくなり、どんなに相手から傷つけられても離れられなくなってしまうのだ。

『モラクズ男との共依存恋愛から抜け出せた話』(笹川めめみ/KADOKAWA)は、共依存恋愛に苦しみながらも自らの力で乗り越えた女性が主人公の物語だ。相手からのモラハラにより段々恋人に依存していく様子が非常にリアルで、思わずハラハラさせられる。本作では、共依存恋愛から抜け出すまでの物語が描かれているので、ぜひ最後まで見届けてもらいたい。

主人公の笹村アイコはうつ病で寝たきりの日が多い母と2人で暮らす、ファーストフード店で働くフリーター。初めての彼氏である大学生のレンタローとの交際に心から浮かれる、かわいらしい女性だ。しかし、アイコはレンタローのモラハラ言動で少しずつ自尊心を折られていき、彼氏より自分を優先するべきではないと思うように。嫌われることを恐れるあまり、気づけば何でもレンタローのいうことを聞くようになってしまっていた。

レンタローに依存しきっているアイコは、どんなに酷い目に遭っても別れる選択を持つこともできなくなる。好みの外見をした新人バイトと浮気するレンタローを見ても、誕生日デートでスマホをいじられ続けてもレンタローの側にいたいと思ってしまうのだ。そんな不安定なアイコの姿に、「もっといい人はいるからさっさと別れなよ!」といいたくなるだろう。しかし、どんなに外野からそう声をかけられても行動も心も変えられないのが依存症の厄介さなのだ。

しかし、アイコが悩みすぎてバイト中に倒れてしまったことで、レンタローの態度は急変する。面倒ごとに巻き込まれたくないと浮気相手から関係を切られてしまい、依存先を失ったのだ。その結果、レンタローは露骨にアイコに依存するようになっていく。そんな態度に自分でも“都合の良い女扱い”されていると気づいているのに、それでもアイコはレンタローから離れられない。

「恋人を失ったら自分を保てない」と思うことが共依存恋愛の特徴なのだろう。別れたとしても自分を保てなくなることはないのだが、自分を削ってレンタローを優先してきたせいでアイコの視野は極端に狭くなっていた。依存していると恋人という存在が「自分の一部」だと感じて、自分と恋人の境界線が曖昧になってしまうのかもしれない。

どうあがいても苦しい恋愛に頭を悩ませるアイコ。一方、依存対象をアイコに戻したレンタローは、大学を辞めフリーターになっていた。いつでも会いたいときに会えるというレンタローに対し、本当にこのままでいいのかと思いはじめたアイコ。フリーターという事実がコンプレックスだと感じていたアイコは、正社員として働くために「職業訓練校」に通うことを決める。そして、職業訓練校での出会いや就職をきっかけに、アイコは自分を取り戻していく。

自分よりレンタローを優先するべきだと思い込んでいたアイコが少しずつ本当の笑顔を取り戻していく様子に、思わずホッとするはずだ。アイコが幸せになる未来をぜひ最後まで見届けてもらいたい。

文=ネゴト/ 押入れの人

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