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【インドの犬映画】『チャーリー』ラブラドールとチャップリン好きな孤独な男の旅 6/28公開【伊藤さとりのシネマでぷる肌‼】

  • 2024.6.26
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映画パーソナリティ・心理カウンセラーの伊藤さとりさんが、お肌も心もぷるっと潤う映画を紹介する連載。今回は、6月28日(金)公開のインド映画『チャーリー』。サンダルウッドと言われるカンナダ語の映画で、歴代5位の記録を樹立。主演とプロデュースを努めるのは、カンナダ語映画界の大スター、ラクシット・シェッティ。犬と男の絆を描いたストーリー。


ラブラドールと孤独な男のロードムービー

インド映画といっても一括りにしてはいけません。実は言語が違う作品で溢れているんです。例えば『きっと、うまくいく』(2009)はヒンディー語、『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)はタミル語、『RRR』(2022)はテルグ語、『グレート・インディアン・キッチン』(2021)はマラヤーラム語、『K.G.F』1&2(2018、2022)はカンナダ語という感じで、その他にも無数の言語が存在する多言語国家。ちなみに「ボリウッド」と呼ばれるのは、ムンバイ(ボンベイ)でのヒンディー語が主な映画産業、一方「トリウッド」はテランガーナ州のテルグ語の映画産業、「コリウッド」はチェンナイでのタミル語の映画産業です。

そんなインド映画から今回ご紹介するのは、「サンダルウッド」と呼ばれるカンナダ語映画で、第11回南インド国際映画賞カンナダ語映画部門最優秀映画賞&最優秀主演男優賞(ラクシット・シェッティ)と第69回インド ナショナル・フィルム・アワード カンナダ語長編映画部門作品賞を受賞した孤独な男と犬のロードムービー『チャーリー』です。

ちなみに有名な『ムトゥ 踊るマハラジャ』や『バーフバリ』シリーズ(2015、2017)などにある壮大なミュージカルシーンもないし、『RRR』や『K.G.F』のようなキレッキレのアクションシーンもない本作。何が多くの観客の心を掴んだかというと間違いなく“犬”と人との息の合った共演シーンなんです。タイトルにもなっている犬のチャーリーはラブラドール・レトリバーで、盲導犬としても知られる賢いワンちゃん。なので演技も達者で、劇中、小さな女の子からしつけを教わるシーンや、飼い主のダルマに抱きついたり、寝ているところを起こしたり、一緒にドッグショーに出て観客を魅了する芸まで披露。何より人嫌いの男が犬により旅先で様々な人と交流していく様子に観ているこちらも心がほぐれていくのです。

観客も一緒に旅をし、動物への愛を感じられる

更にスタッフの映画愛も随所に見受けられるのもポイント。まずチャーリーという名前の由来は名優チャーリー・チャップリンから付けられ、ダルマがチャップリンを好きでテレビで『独裁者』(1940)や『犬の生活』(1918)などを見ているシーンが映し出されます。それだけでなく『E.T.』(1982)がテレビに映るカットまで。そこはきっと、E.T.とエリオットさながら犬のチャーリーとダルマが外の世界(旅)に飛び出すという意味合いなのかもしれません。
しかも主演のラクシットの映画への思いは強く、制作も務め、5年以上の歳月をかけて映画を完成。お陰でサイドカーに犬を乗せてバイクで走りながら南インドから雪山を目指す物語に、観客も旅をしているような感覚を味わえてしまいます。ちなみにダンスはないけれど歌は随所に散りばめられていて、時にはミュージシャンも劇中に登場、チャーリーとダルマの思いを歌で代弁してくれます。そして何より忘れてはならないのは、本作では動物愛護のメッセージをハッキリ伝えていること。悪徳ブリーダーへの注意と犬への愛が詰まった癒され度MAXの映画に心も浄化されますよ。
--伊藤さとり

☑6月28日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー 『チャーリー』

【あらすじ】職場でも自宅の近所でも偏屈者として知られ、楽しみといえば酒と煙草とチャップリンの映画だけという孤独な日々を送るダルマ。そんな彼の家に、悪徳ブリーダーのもとから逃げ出してきた一匹のラブラドールの子犬が住み着くようになる。犬嫌いのダルマは何度も追い払おうとするが、やがて少しずつ心を通わせ、チャーリーと名付け自分の家に迎え入れる。やんちゃでイタズラ好きのチャーリーに振り回されながらも楽しい日々を送っていた矢先、チャーリーが血管肉腫で余命わずかだと判明する。ダルマは、雪が好きなチャーリーに本物の雪景色を見せようと、サイドカーにチャーリーを乗せ、南インド・マイスールからヒマラヤを目指し、インド縦断の旅に出る――。
2022年/インド/カンナダ語/カラー/シネスコ/164分/5.1ch
監督・脚本:キランラージ・K
出演:チャーリー、ラクシット・シェッティ、サンギータ・シュリンゲーリ、ラージ・B・シェッティ、ダニシュ・サイト、ボビー・シンハー
プロデューサー:G.S.グプタ、ラクシット・シェッティ
配給:インターフィルム
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