1. トップ
  2. ダイエット
  3. 「血糖値」と「内臓脂肪」の関係って? 栄養士に聞く、血糖値を急激にあげない食事法と食べ物

「血糖値」と「内臓脂肪」の関係って? 栄養士に聞く、血糖値を急激にあげない食事法と食べ物

  • 2024.7.13

結局のところ血糖値ってなに?

undefined
WE ARE

「血糖値が急激に上がらないようにしよう」とよく聞くけれど、なぜ? 実は血糖値が上がるのは普通のこと。でも、血糖値が急激に上がったり、高いままだったり、急激に下がると、体にあらゆる悪影響を及ぼすんだとか。そこで、栄養士の藤原朋未さんに、血糖値の急上昇が体に及ぼす影響や血糖値を急激に上げない食事法・食べ物などを詳しく伺った。

そもそも血糖値が上がることは問題なの?

Westend61

「血糖値は食事をすると上がるものなので、上がること自体は問題ではないです。しかし、血糖値が急激に上がったり、下がったりすること。上がった血糖値がなかなか下がらなかったり、血糖値が高い状態が続いたりすることが問題なんです 。

血糖値が上がると、肝臓からインスリンというホルモンが分泌され、そのホルモンが『血糖値を下げよ』という指令を出します。その後、肝臓や筋肉に糖が取り込まれ、体全体のエネルギー源として働くことによって、自然と血糖値が下がっていきます。しかし、急激に血糖値が上がると、体はインスリンを必要以上に出そうとしてしまうんです」

血糖値が急激に上がると、体脂肪が付きやすくなる!?

undefined
TARA MOORE

「インスリンは血糖値を下げてくれる役割をしていますが、使い切れなかった糖を脂肪として蓄える、という働きがあるのです。インスリンが必要以上に分泌されてしまうと、この働きに拍車をかけてしまうことに。同じ量の糖を取ったとしても、血糖値を緩やかに上げたほうが、インスリンは適切な量が分泌されるということになります。もちろん、食べ過ぎや必要以上に糖質を摂ることは体によくありません。

また、インスリンは膵臓から分泌されるのですが、休みを与えずに分泌が続くと、オーバーワークになってしまい、インスリンの作用が低下してしまうんです。このような症状が続き、うまく血糖が処理できなくなると、生活習慣病である糖尿病などのリスクにつながります」

undefined
ANON KRUDSUMLIT / EYEEM

「食事により体の中に糖質を摂り込むと、分解されて最終的にブドウ糖(グルコース)になります。そのブドウ糖がどのくらい血液の中に入りこんだか、その数値が血糖値です。

必要以上に糖質を摂ってしまうと、血糖値が上がってしまい余分なものがという脂肪として蓄えられてしまうので、摂りすぎはよくないということです 。また、急激な血糖値の上昇によってインスリンが大量に分泌されると、その結果として急激に血糖値が下がる(低血糖になる)ことによって眠気を生じることがあるようです。そのほか、低血糖によってぼーっとしたり、イライラしたり、集中力の低下なども引き起こされます」

内臓脂肪が多いと、インスリンが働きづらくなる!?

undefined
TBRADFORD

「脂肪肝や脂肪筋という言葉を聞いたことはありますか? これは、皮下脂肪ではなく、臓器や筋肉に付いている余分な脂肪のことです。運動量が少ない人や運動をせずに食事の量を減らしている人、余分に脂質を摂っている人は、脂肪が溜まり、脂肪肝になりやすくなります。

脂肪肝になると、インスリンが利きにくくなってしまうんです。食事をして、インスリンが分泌されているのに、インスリンがうまく働かず、糖をエネルギーとしてうまく使えない。うまく体の中をインスリンが回っていかないので、血糖値が上がりやすくなるんです。すなわち、血糖値の上昇を気にする以前に、もともと肥満とか、もともと肥満である、脂肪が内臓や筋肉についてしまっているという方は、まずは運動をして脂肪を減らすこと、筋肉をつけることで、血糖値をうまく下げる体にしていくことが大事です 」

undefined
CLAUDIA TOTIR

では、糖質じゃないものを食べればOK?

「基本的には、糖質が含まれない食べ物であれば血糖値は上がりません。よく炭水化物抜きダイエットなどを耳にすると思いますが、炭水化物を完全に抜いてしまうと、タンパク質や脂質の摂りすぎを招くケースもあります。たとえば脂質を摂りすぎると、脂肪肝になってしまうリスクも。

また、糖質はエネルギー源となるので、炭水化物を抜いてしまうと、血糖値は上がらないかもしれないですが、脳が働かず、うまく体が働かなくなってしまいます。やはり、炭水化物を適量摂って、タンパク質や脂質もバランスよく摂るというのが、健康な体作りには欠かせません 」

血糖値を急速に上げない、糖質の摂り方は?

undefined
PATCHARAPAT MARANGKOONJURAT / EYEEM

「白米をたくさん食べてしまったり、急いで食べてしまったりすると、血糖値は急激に上がりやすくなります。また、丼ものやカレーは要注意です。一般的に外食でご飯茶碗1杯は約150gの量ですが、丼ものやカレーは約200gくらい盛られています。ご飯の量が増えるので、ついつい糖質をたくさん摂ってしまうんですね。

あと、白砂糖や白米、麺類、パンなどの、精製度が高いものは、食物繊維などが少ないので、血糖値が急激に上がりやすいといわれています。たとえばご飯も、玄米や雑穀を混ぜたものにしたり、よく噛んでゆっくり吸収させてあげたりすると、血糖値は急激に上がりにくくなります」

undefined
WESTEND61

「たとえば食事で菓子パンを食べるのであれば、プラスしてたんぱく質やビタミン・ミネラル類を摂りたいですね。

また、毎日飲むコーヒーや紅茶なども、無糖のものを選びましょう。糖質を摂っているつもりでなくても、お砂糖が入っていれば、やはり血糖値は上がるので、飲んでいる間ずっと高い状態が続いているということになります 」

血糖値が上がりにくい食材は?

undefined
KSENIYA OVCHINNIKOVA

「糖質が少ないもので、食物繊維が多いものが挙げられると思います。たとえばキノコ、野菜、豆、海藻などです。食物繊維自体が、血糖値の上昇を緩やかにしてくれる、炭水化物の消化をゆっくりにしてくれる、という働きがあるので、ご飯を食べるなら玄米、パンを食べるなら全粒粉やライ麦を使用したものを選ぶといいですね」

どうしても炭水化物が食べたい! 血糖値を上がりにくくできる?

undefined
FCAFOTODIGITAL

「白米が好きなら、冷やして食べる、というのも一手です。白米は、冷やすことによって一部がレジスタントスターチに変わります。レジスタントスターチは食物繊維に似た働きをしてくれて、小腸で吸収されず、大腸まで行って食物繊維と同じように糖の吸収を緩やかにしてくれるという働きがあります。パンやそば、うどんも同様です。お弁当など、温めなくてもおいしいものはぜひそのまま食べてみてください。

また、酢の酢酸も血糖値の上昇を抑える働きがあるので、ご飯を酢飯にしたり、おかずに酢の物を入れたりするなど、炭水化物を食べるときに体に一緒に酢を取り込んであげると、血糖値は上がりにくくなります。あとは欠食をしないこと! 低血糖の時間が長ければ長いほど、食事をしたときに血糖値が急激に上がりやすくなってしまうので、朝・昼・晩、3食きっちり食べることも大切です!」


undefined
Headshot of 藤原朋未

藤原朋未
管理栄養士 健康・食育ジュニアマスター

プロの管理栄養士・料理研究家による「食 」のプロデュース・レシピ開発を手掛ける(株)エミッシュ所属。健康・美容・栄養などの切り口で管理栄養士ならではのレシピ提案・コラムの執筆を行う。乳幼児食指導士の資格を持ち、離乳食や幼児食に関する情報をブログにて発信中。

元記事で読む
の記事をもっとみる