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【コンビニ】商品買わずに「トイレ」使用 実は“違法”の可能性 理由を弁護士が解説

  • 2024.6.26
コンビニで商品を買わずにトイレだけ使用すると、法的に違法となる可能性も
コンビニで商品を買わずにトイレだけ使用すると、法的に違法となる可能性も

外出時に尿意や便意を催したときに、コンビニ店のトイレを使用したことがある人は多いのではないでしょうか。多くのコンビニ店は、基本的に利用客に対してトイレを開放しているため、トイレの使用前後に商品を購入するのがマナーとされています。

一方、コンビニ店のトイレを使用後、商品を買わずに立ち去ってしまう人もいますが、この場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

「緊急避難」が認められれば刑事責任を免れる場合も

Q.そもそも、コンビニ店でトイレの使用後に商品を買わずに立ち去った場合、法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。

牧野さん「コンビニ店のトイレは、あくまでコンビニの利用客のために用意されているものです。商品の購入のためにコンビニを利用するのではなく、トイレのみを使用する目的でコンビニのトイレに立ち入る行為は、『正当な理由がないのに、人の住居、人の看守する邸宅、建造物、艦船に侵入した』ことになり、刑法第130条(前段)の建造物侵入罪が成立する可能性があります。法定刑は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金です。

民事でも、民法709条の不法行為に該当し、清掃費用や合理的な使用料を支払う義務が発生する可能性があるでしょう。

ただし、コンビニのトイレに行かなければ、『自分の衣服や店内の施設を汚してしまう可能性』や『ぼうこう炎などの病気になってしまう可能性』があったため、それらを避ける目的で使用したのであれば、話は別です。この場合、刑事上は、自分や店側の財産保護のために刑法37条1項の『緊急避難』が認められ、建造物侵入罪に問われない場合もあります。

緊急避難とは、『自己または他人の生命、身体、自由または財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為について、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない』というものです」

Q.コンビニ店によっては、「トイレを使用する際は、店員に声を掛けてください」という内容の張り紙を掲示する店があります。こうした店でトイレを無断で使用し、商品を買わずに立ち去った場合、建造物侵入罪が成立する可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「コンビニが『トイレを使用する際はお声掛けください』と無断使用禁止の張り紙をしている場合、店の管理者は、張り紙を無視して無断でトイレを使用し、商品をまったく買わずに立ち去る行為を明確に許可していないことになります。

そのため、管理者の意思に反して店に立ち入る行為は『侵入』と解釈され、建造物侵入罪が成立する可能性があるでしょう。ただ、尿意や便意が我慢できずにトイレを使用した場合は、先述の緊急避難が認められる可能性があり、その場合は刑事責任を問われません」

Q.ちなみに、コンビニ店側が「商品を買わない人や店内のサービスを利用しない人のトイレの入室を禁じる」という張り紙を掲示したと仮定します。この張り紙は法的に有効なのでしょうか。

牧野さん「『商品を買わない人や店内のサービスを利用しない人のトイレの入室を禁じる』という張り紙が掲示されているだけでは、店側と客側でその旨の契約が成立しているとは言い切れません。そのため、張り紙自体は法的に有効ではありません。

ただ、こうした張り紙を無視してトイレを無断で使用し、商品を購入しなかった場合には、民事上の不法行為により、清掃費用や合理的な使用料を支払う義務が発生する可能性があるでしょう。

ただし、トイレに入らなければ、自身の排せつ物によって自分や店側に損害を与える可能性があった場合でも、民法709条の不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があるでしょう」

コンビニ店で商品を購入せずにトイレを使用する行為は、緊急避難が認められれば刑事責任を問われないということです。ただ、トイレの管理・維持には一定の費用がかかることから、民事責任を問われないために使用後はペットボトル飲料やガムといった少額な商品でもよいので、購入するのが望ましいかもしれません。

オトナンサー編集部

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