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【俳優・赤楚衛二さんインタビュー】「繊細さん」を自覚的に脱却して

  • 2024.6.25

思慮深く冷静、繊細で無邪気。多彩なピースを併せ持つ赤楚衛二さんの魅力をひと言で表現するのは難しい。でも、その土台にあるのは自分を飾らず正直に伝えようとする実直さ。〝俳優・赤楚衛二〟を形作るリアルな言葉を一語一句、じっくり刻んでください。

人として俳優として、これからも楽することなく生きていきたい

出典: 美人百花.com

――21歳で俳優を始めてから9年。赤楚さんはあっという間に頂点へ駆け上がり、順風満帆な役者人生を送っている人、輝かしい世界を走り続けている人、という印象がある。

「でも僕を昔から知っている人には『全然変わらない』って言われます。僕、今でもお菓子をばくばく食べたりとか、ガンプラ買って喜んだりとか、子供っぽい部分があって。それを見て変わらないって言うんだろうけど、自分としては30歳にもなって、そう思われるのはちょっとイヤですね(笑)」

――いや、超売れっ子になっても〝変わらない〟は最高の褒め言葉。人柄が垣間見えるエピソードでもあるけれど、本人は「メンタル的な部分は大きく変わった」と言う。

「元々感覚だけで生きていて、心の声なんて聞いたことがないというか。聞く前に動いているような人間だったんです。だから小学校の頃とか怒られまくっていたけど、最近は思考型の左脳寄りになってきました。昔はまっすぐ生きていたが故にノーガードで、いろんなことに敏感な〝繊細さん〟だったんです。でも、さまざまな経験を経たことで繊細な感覚がちょっと失われてきていて、ガードの仕方やいなし方を覚えてきた気がします」

――それを成長というのかもしれないけれど、ヴィヴィッドな感性や感覚が失われていくのは寂しくない?

「ちょっと寂しいけど、ある種の鈍感力は自分のメンタルを守り、維持するためには必要なもの。20代前半までの繊細さを今も持っていたら、多分いろんなことに耐えられないと思います。というのも以前の僕は人が発する空気感で『この人、僕のことが苦手だな』とか読めちゃうとこがあって。関わる人が増える中でそのままの感覚を持っていたら、すごくしんどいじゃないですか。でも最近はいい意味で鈍くなって、気にならなくなった。繊細な部分がよみがえらないようにしているので、このまま眠っていてほしいです」

出典: 美人百花.com

――誰もがどこかで自分の中の「繊細な子供」と折り合いをつけて生きているけど、ここまで自覚的に封印する人は珍しいかも。

「変わらざるを得ない壁が多くて、変化しないと状況についていけなかったんです。ありがたいことにいろんな仕事をやらせていただけるようになり、でも、その中で気持ち的なアップダウンはやっぱりあって。ダウンのピークが去年あったんですけど、それを経験したからこそ、すごく前向きに楽しめるようになった。完全に乗り越えたわけじゃないし、当時の感覚を思い出すと怖かったりはするけど、でも『結局、やるしかないよね』ってとこに落ち着いたんですよね」

――これまでの「自分」に区切りをつけ反転させ、新たな「自分」を築いた赤楚さん。その過程で激しい成長痛を味わったこと、光が強ければ陰もまた色濃いことに気づかされる。でもその痛みと陰がコクになり、俳優・赤楚衛二に奥行きを出しているのも確か。

「30代になって、今後は分厚い人間になりたいです。先輩方を見ていても、自分を信じて疑ってまた信じて……ってことを繰り返している方が多くて、そうやっていろんなことを感じ、考えながら人は厚くなっていくのかなと。そのために人として俳優として、これからも楽することなく生きていきたいです」

Profile

赤楚衛二(あかそえいじ)

1994年3月1日生まれ。2020年の主演ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』が大ヒットし、以後、数々の作品に出演。今年は『もしも徳川家康が総理大臣になったら』『六人の嘘つきな大学生』の2本の映画が待機中。

掲載:美人百花2024年6月号「#いま彼を知りたい」

撮影/中村完(f-me) スタイリング/壽村太一 ヘアメイク/牧瀬浩子 取材・文/若松正子 再構成/美人百花.com編集部

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