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【マネー講座】 [10月に所得税制度改正]「扶養の壁」を超えて働いたときのメリットは? 「社労士が解説③」

  • 2024.6.25

現在、扶養の範囲で働いているという人は、今年10月の制度改正を要チェック! また扶養から外れて働いたときはどうなるのか、社労士が解説します。

教えてくれた人

井戸美枝さんPROFILE

社会保険労務士&ファイナンシャル・プランナー

1990年に社会保険労務士、1993年にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。生活に身近な経済、年金・社会保障問題が専門。『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)がベストセラーに! 最新著書は『マンガでカンタン!社会保障で得するお金は7日間でわかります。』(Gakken)

今年10月の所得税制度改正でどう変わる?

現在の年収が106万円以上だけど、小さい会社なので社会保険に加入していないという人も、今年の10月以降は注意が必要です。勤務先の従業員数によっては社会保険の負担が増える可能性があります。 現在、社会保険が適用されるのは、以下の要件をすべて満たす人です。

①勤務先の従業員数が101人以上

②週の所定労働時間が20時間以上

③月額賃金が8万8000円以上

④2カ月を超える雇用の見込みがある

⑤学生ではない  

今年の10月からは社会保険の適用範囲が広がり、①の条件の従業員数が101人以上から51人以上に変わります。これによって多くの中小企業が社会保険適用の範囲に。勤務先の事業所が小規模の場合でも、会社全体の事業者数でカウントされるので注意して。  

例えば、現在パートで社会保険の加入対象とならないよう週30時間程度で働いている人でも、勤務先の従業員数51人以上の場合、同じ勤務時間を維持していても社会保険被保険者になるか、週20時間未満の働き方に変更するかの選択を迫られることになります。 社会保険の負担が増えると、手取り額が減る可能性があるので、当てはまる人は会社の規模や自分の手取り金額を確認しておきましょう。

扶養から外れて働くメリット

今後、「扶養の壁」は縮小していくと予測されています。パートやアルバイトなどの非正社員も含めて多くの人が自分で社会保険に加入することが当たり前になる時代もそう遠くないかも。社会保険に加入した場合のメリットも知っておきましょう。
 
 ●メリット1:健康保険の保障が受けられる
被扶養者で年収130万円未満の場合は、健康保険と国民年金保険の保険料がかかりませんが、健康保険で受けられる給付が制限されてしまいます。でも、自身で社会保険に加入すれば、傷病手当金や出産手当金を受けることが可能
病気やケガで休んだときや産休など休業中の保障が手厚くなります。また、障害を被った時にも、障害厚生年金が上乗せされます。
 
 ●メリット2:将来受け取れる年金が増える
扶養に入っている人が将来受け取れるのは国民年金だけですが、扶養から外れる働き方で厚生年金に加入すれば、将来国民年金と合わせて厚生年金も受け取れます。老後資金の備えがなかなかできないという場合、働き方を変えることで厚生年金を上乗せするという考え方もあります。
 
 ●メリット3:多様な働き方ができる
今後も社会情勢の変化や法改正などにより、扶養の条件は変化する可能性があります。「扶養の壁」の範囲内だと、制度改正があるたび、勤務時間などを気にして働かなければいけませんが、「扶養の壁」を超えた働き方であれば、条件を気にせず、多様な仕事が選べるようになります。
また、世帯年収が増えることも重要なポイント。収入が増えれば、貯蓄やお楽しみ費に回せ、気持ちにも余裕が生まれます。

<まとめ>
今回の社会保険制度の改正は、自分らしい働き方を考えるチャンスともいえます。一番大切なのは、「将来、自分や家族がどう暮らしたいか」ということ。そのためにどう働くかを考えていけば、もし制度が変わっても慌てることはありません。
 
※このページで掲載している情報は、2024年6月15日現在のものです

リポートした人 Profile
マネーライター みとも はやみ

 
編集プロダクション、出版社の勤務を経て、2011年よりフリーランスで活動。20年以上、生活情報誌を中心に家計やりくりにまつわる記事の編集・取材・執筆に携わる。これまでに取材した実例は、延べ1000件以上。

Illustration:Eri Kojima text & web edit:Hayami Mitomo
 
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