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日本の学校は優秀? フランスは子育てする人に優しい? 日本で子育て中のフランス人記者が解説

  • 2024.6.25
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出典:シティリビングWeb

日本の子育て、フランスの子育て、どちらがいいの?(写真はイメージ)

日本は少子化問題から、妊娠・出産、子育てに対して支援を広げようとしています。では、ほかの国はどうなのでしょう? 「フランス人記者、日本の学校に驚く」(大和書房)の著者、西村カリンさんに、日本とフランスの子育て環境の違いについて聞いてみました。

出典:シティリビングWeb

「フランス人記者、日本の学校に驚く」(著者 西村カリン/大和書房)

西村カリンさん

1970年生まれ。パリ第8大学を経た後、ラジオ局やテレビ局にて勤務し、1997年に来日。2000年からフリージャーナリストとして活動。2004年から2020年までAFP通信東京特派員。2008年「LesJaponais 日本人」出版。2009年、同著書が渋沢・クローデル賞受賞。2023年「Japon, la face cachée de la perfection (日本、完璧さの隠れた裏側)」、2024年には初の小説「L’affaire Midori(みどり事件)」を出版。国家功労勲章シュヴァリエを受章。現在、フランスの公共ラジオグループ「ラジオ・フランス」および日刊リベラシオン紙の特派員。日本での著書に「フランス人ママ記者、東京で子育てする」「不便でも気にしないフランス人、便利なのに不安な日本人」(ともに大和書房)、「フランス語っぽい日々」(白水社)などがある。

子育てにお金がかかる日本
フランスはお金がなくても子育てできる?

―フランスは高度な社会保障制度を有しており、妊娠中や出産後の健康管理、子育て支援などが包括的に提供されています。お金がなくても子育てできるのはフランス?

西村さん 確かにフランスの社会保障制度は優れた部分があります。それは数十年に渡って国民や労働組合は戦いながら得た制度です。ただ、最近の政府の政策により、悪化する部分があります。例えば、家族手当は減少しつつあります。従って、フランスの出生率も下がっています。それでも、EUの中でフランスの出生率が最も高いです。

フランスでの子育て環境は住んでいる場所によって大きく異なると思います。社会格差も激しいので、日本より子育てしやすいところがあれば、全くそうではない場所もあります。なので、大都市であるパリと東京に限って比較すれば、ハード面(施設や設備など)では東京がいいですが、ソフト面(雰囲気、人との関り方など)ではパリです。例えば、東京は大抵の駅にエレベーターがあるのでベビーカーでも地下鉄や電車に乗れますが、パリの場合は95%の駅はエレベーターがありません。

しかもスリが多くて安全なところではありません。その反面、困った時にはたくさんの人が手伝ってくれます。例えば、ベビーカーを持って階段を降りてくれるなどです。また。パリではベビーシッター以外にも友人や近所の方、親戚に一時的に子どもの面倒を見てもらえるように頼む事ができます。フランスでも子育ては男性より女性の負担の方が重いが、日本に比べたら男性の労働時間が短いので、もっと子育てに参加できます。企業や社会も子育てに理解があります。

教育に関して柔軟なフランス
日本は厳しすぎる?

―フランスでは教育システムが比較的柔軟であり、芸術やスポーツなど、多様な分野において才能を伸ばすことが重視されているイメージがあります。

西村さん 教育環境において、日本の学校は最も大事なミッションを果たしていると思います。それは基本的な知識を子どもにきちんと教える場所である、ということです。読む、書く、数える。つまり国語と算数です。日本では、小学校を卒業した子どもの国語・算数の学力レベルは大抵同じです。

ところが、残念なことにフランスはそのミッションを果たしていない状況です。小学校5年が終わっても、まだきちんと読めない子どもは1割以上います。この状況も社会格差と強い関係があります。

ただ、小学校からフランスの教育の方が子どもの表現力、議論できる能力を発展させると思います。先生が言ったことを事実として学ぶよりも、先生が言ったことが考えることのきっかけで、自分が思う疑問、自分の意見、理解できないことなどをきちんと表現できるようになる教え方です。学校でのテストがその違いをよく示します。日本では問題があって、3つの回答で正しいと思う1つを選ぶのに対し、フランスの場合は問題があって、回答は提案された回答の中で選ぶことではなく、自分で全文を書かないといけません。

また、日本よりフランスの方が芸能やスポーツなど、多様な分野において才能を伸ばすとは私は思っていません。裕福な子どもが通う学校ならできるかもしれないけど、多くの学校では設備も足りておらず、人材不足の状況だから不可能です。貧しいところのパリ郊外の一部でも、スポーツや音楽などをもっと教える事ができれば、不良になる子どもが少なくなると思います。

“物を大切にする精神”は日本のすばらしさ

日本の学校は設備がすごいと思います。うちの子の公立学校では、ものすごい良い楽器がいっぱいあります。体育館もプールも整備されて本当にすごいです。初めて見たときはびっくりしました。子どもたちは使っているものと場所を大事にしていることも素晴らしいです。フランスの場合はいい設備があったとしても、大事にされずにいつか故障し、崩壊されてしまいます。大人も共有設備を大事にしない限り、子どもも共有設備を大事にしません。

孤立しがちな日本の子育て
フランスは子育ての悩みはない?

―「子育てと仕事の両立が難しい」と多くの人が感じています 仕事を優先すれば子どもにさみしい思いをさせていないか心配。子どもを優先すれば会社の同僚に負担をかけているのではないかと心配など、悩みが絶えません。

西村さん フランスの女性にとっても子育てと仕事の両立は難しいものです。よって、社会の理解が必要です。フランスの社会の方が女性として自分の悩みを表現できる社会だと思います。日本の女性は泣き寝入りして我慢してしまいます。社会の圧力や周りの目を気にし過ぎています。日本の女性は完璧なお母さんと同時に完璧な社員を目指しています。その目標を達成するために自分で自分に過剰な圧力をかけています。

制度が変わることを待つよりも、自分の権利は自分で守る

そんな状況で子育てと仕事の両立は不可能です。なので、もっとマイペースにする事が必要です。そのためにはまず周りの理解を得ることが大事です。そして今日できなかった家事は明日、明後日か週末にする。家が少し汚いけど寝る。そういった小さい変化だけでも楽になります。仕事場でも、限界を感じた時にそれを上司に言わないと何も変わりません。権力者が制度を変えて良くなる事を待つっても何も良くなりません。悩んでいる女性、男性、社員などがその悩みを明らかにした上で、何をすれば改善できるかを自分で提案し、その改善策を実現するために戦う事が必要です。日本の政府や企業の経営者は数十年前から日本人の優しさを利用しています。自分の権利は自分で守る事が大事です。

日本で男性の働き方(長時間労働)が変わらない限り、女性の負担が軽くなりません。また、女性も管理職、企業経営者、あるいは政治家になりたい気持ちが強くなるためにも、男性の働き方を改善すべきです。今のままだと、日本の責任者の日常生活及び人生を見たら、全く魅力的ではありませんので、多くの女性はそんな人生・生活は欲しくないでしょう。

日本に住んで20年、2人の子どもを子育て中のフランス人ジャーナリスト

親目線+ジャーナリスト目線で日本とフランスの教育を解説

出典:シティリビングWeb

「フランス人記者、日本の学校に驚く」(著者 西村カリン/大和書房)

日本の小学校って! フランス人の私が驚いたこと

日本に来日し、東京で暮らし始めて20年を超える西村カリンさん。夫は漫画家のじゃんぽ~る西さん。そして、西村さんには小学生の男の子が2人います。子どもが日本の公立小学校に通いだすと、学校や先生がフランスとは全然違い驚いたそうです。

フランスと日本の教育、学校、先生、子どもたちを、親目線とジャーナリスト目線で比較し、調べ、感じたことをまとめたのが書籍「フランス人記者、日本の学校に驚く」です。

●なぜフランスの子は「違う意見です」が平気で言えるのか

●人生で初めての「入学式」

●日本の子は道徳を、フランスの子は哲学を学ぶ

●フランスの先生も日本の先生もつらい事情

など

ただ、本書はフランスの学校はスゴイ、という本ではありません。子どものこと、教育のこと、学校のことなど、語り合い、理解し合いたいという西村さんからの提案をまとめた本なのです。

「フランス人記者、日本の学校に驚く」(著者 西村カリン/大和書房)は、全国書店、で販売中。電子書籍も販売中です。

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