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芸歴25年目、スターであり続ける柚希礼音の志「人生は修行」

  • 2024.6.23
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1999年に宝塚歌劇団の85期生として初舞台を踏み、その後、星組トップスターとして活躍した柚希礼音。そんな柚希にとって、2015年の退団後、代名詞的なソロコンサートになっているのが『REON JACK』シリーズだ。

芸能生活25年目を迎える柚希礼音。そんな彼女のこれまでを語る上で欠かせないのが『REON JACK』

8月29〜31日まで「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で開催される『REON JACK5』には、元宝塚歌劇団星組トップ娘役の夢咲ねね、俳優の井上芳雄、大貫勇輔らも登場。今回は柚希に同公演の見どころはもちろんのこと、芸能生活25年についても改めて振りかえってもらった。

取材・文/田辺ユウキ
写真/木村正史

◆ 宝塚時代から「自分を超える」を目標に

──『REON JACK』シリーズは宝塚退団後の柚希さんの歴史そのものですが、2017年の『REON JACK2』後は「宝塚時代に自分がやりたかったことが全部できた」と燃え尽きた感覚になったとおっしゃっていましたね。

第1弾は手探りな部分が多かったのですが、『REON JACK2』の「パシフィコ横浜国立大ホール」(神奈川)での公演で、照明、演出などすべての面で眩いものができあがり、「自分はこういうステージに憧れていたんだ」と思えたんです。同時に「ここまでのことができたら、この先はどういうコンサートをやっていけば良いか分からない」となりました。

「どういうコンサートをやっていけば良いか分からない」と、悩んだ時期もあったと明かす柚希

──そうなったら『REON JACK』を一旦完結させて、別の企画をやる道も出てきますよね。

そうなんです、頭を抱えて「次はどうするべきか」とすごく悩んで・・・。ただ、踊りの面も含めて「もっとその先へ行こう」と自分のレベルアップを考えました。「私はそうやってここまで歩んできたじゃないか」と。宝塚時代からコンサートに限らず「自分を超える」を目標にやっていましたし、周りの存在がどうこうではなく、自分とどのように向き合うかを第一に考えてきたので。『REON JACK』はまさにそういう気持ちで取り組んでいるコンサートなんです。

宝塚時代から「もっとその先へ行こう」と、常に自分と向き合い続けてきた

──2016年の作詞曲「希望の空」でも、周りと自分を比べることをやめようと書いていらっしゃいましたね。

今でもなにかに迷ったときは「希望の空」の歌詞を見ると、背中を押してもらえる気持ちになります。なにごとも「ライバルがいた方が伸びる」とよく言われるじゃないですか。もちろん、意識する存在はいた方が良いかもしれません。だけど私は性格的に自分自身との戦いの方が向いている気がしていました。その理由は幼少期からバレエをやっていて、誰かと比べられてきたことにあるかもしれません。だから余計「私は私だ」という気持ちが強くなりました。なにより「あの人みたいになりたい」と思ってもできないじゃないですか。

──たとえば宝塚歌劇団であれば、トップスターなど絶対的な存在が常にいますよね。

私たちの時代だと、そのお1人が真矢ミキさんです。稽古のときも、真矢さんにタオルや飲みものを渡しに行く人がたくさんいて、とにかくリスペクトがすごかった。私たちも「いつか真矢さんのような大きな存在になりなさい」と言われていました。だから真矢さんをイメージしてちょっとクールに振る舞ってみたら、逆に「え、不機嫌なの?」「今日、なんか暗くない」とか言われたことがあって!

──ハハハ(笑)。

私としては、クールに振る舞ったら真矢さんみたいに「キャー」ってなるかなと思っていたら、なにも起こらず(笑)。当たり前のことですけど、そのとき改めて「真矢さんのような振る舞いは、真矢さんにしかできない」と気づきました。私には私のキャラがあるので、「誰かのようにしようと思わないでおこう」って。

ライバルと競うより、「私は私だ」という気持ちを忘れないことが大切だったと柚希は語る

◆ あっという間の25年、まだ見ぬ世界をもっと見たい

──同じく作詞曲「I miss you」(2021年)は「自分はこれからどのように生きていくか」を考えさせられる内容でもありました。先ほどのお話然り、そして『REON JACK』の趣旨もそうですが、柚希さんは自分というものを模索し続けている芸能生活25年なのかなって。

そのようにおっしゃっていただいて、ちょっと思い当たることがあるんです。よく「死ぬまでにやりたい100のこと」とかあるじゃないですか。私はそういうものがすごく響くタイプ。「私もなにか書いてみよう」とリストアップしたことがあって、そのなかで一番やりたいことは世界一周でした。つまり、まだ見ぬ世界をもっと見たいんです。もし今と違う人生を歩んでいたらきっと世界中を旅していたと思います。

「まだ見ぬ世界を見たい」柚希の言葉には力がある

現在もいろんな場所へ行きますが、「こういう場所もあるんだ」と発見ばかり。宝塚退団後に単身でニューヨークに数カ月行き、その後も行くたびに刺激をもらえます。

──そんな柚希さんですが、25年も芸能生活を送れると思っていましたか。

まったく思っていませんでした。宝塚歌劇団へ入団したときも、毎日踊れることへのうれしさはありながら、お芝居と歌は初めてだったので「難しいな」とずっと試行錯誤していましたし。でもそのたびに「私はまだまだ」と思って、その積み重ねでここまで続けてくることができました。小さいことを積み上げていけば「もっとこうしたい」と欲も生まれてくる。「じゃあ次はそれを目指してがんばろう」という風にやっていたら、あっという間に25年が経っていました。

宝塚時代を経て今に至るまで、改めて25年の芸能生活を振りかえる

──そうやって「次はこういうことを目指してがんばろう」と活動しながら、一方で「I miss you」では、「生きてるだけでつらくなったときは 何も がんばらなくていいから」とも歌っていらっしゃいますね。

自分に向けて言っているところもあるんだと思います。私もそうですけど、みんなついついがんばりすぎちゃうじゃないですか。特に私は「人生は修行」とずっと考えていて、1人で1000本ノックを受けている気分でやってきて、だけどその成果が出るのって1回あるかないか。そういう生き方のなかで必要なのは、自分の労り方なんです。人生を楽しんで、自分のことをちゃんとケアしてあげなきゃいけない。30代後半から特にそういう風に思うようになりました。

「I miss you」はコロナ禍の気持ちを歌ったものですが、そういう状況を通して自分を労ることの大事さも伝えています。ですからこの曲は、自分はもちろんのこといろんな人の心の支えになってほしいです。

「人生を楽しんで、自分のことをちゃんとケアしてあげなきゃいけない」

──『REON JACK5』はそんな柚希さんの生き方が詰まった公演になりそうですね。

毎回「これで終わりにしよう」と思ったりもするけど、でもやっぱり終われない。もっともっとみなさんに楽しんで欲しいし、伝えたいこともあります。ですからこれから先も、いろいろ形を変えながら『REON JACK』をやっていきたいです。

◇◇

『REON JACK5』は8月29〜31日に「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ』にて上演される。チケットは全席1万2500円で、一般発売は7月20日。

『REON JACK5』

期間:2024年8月29日(木)~8月31日(土)
会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ(大阪市北区茶屋町19-1)
料金:1万2500円

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