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「風呂キャンセル界隈」は本当だった…娘(20歳)はせいぜい週2で「髪の毛ベタベタ」

  • 2024.6.24
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「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題だ。若い世代の女性たちは、意外なほど風呂に入らないらしい。「面倒くさい」という気持ちはわからないでもないが、注意しても「みんなもそうだから」といってどこ吹く風だ。
「風呂キャンセル界隈」という言葉が話題だ。若い世代の女性たちは、意外なほど風呂に入らないらしい。「面倒くさい」という気持ちはわからないでもないが、注意しても「みんなもそうだから」といってどこ吹く風だ。

令和世代の若い女性タレントたちが、「普段、あまり風呂に入らない」と言っていることが話題になった。

彼女たち同様、「面倒だから風呂やシャワーはパス」する人たちを、「風呂キャンセル界隈」というそうだ。若者の言葉のチョイスはおもしろい。

こうやってカテゴライズ風にすることで、「お風呂に入らない不潔な人」というイメージが薄れてしまう。実際、疲れているときに風呂やシャワーは年代問わず、パスしたいこともある。

娘(20歳)が風呂に入らない

「今年20歳になる娘と16歳の息子がいるんですが、この娘が風呂に入らなくて……」

そう言うのはサキさん(47歳)だ。娘は現在、専門学校生だが、技術習得に必死で朝から晩まで学校にいるらしい。

「しかも自宅から学校まで1時間半はかかる。帰ってくるだけで疲れてしまうみたいで、食事をとりながらうつらうつらしていることもある。かわいそうだなと思う半面、お風呂に入ったほうが疲れがとれるのにとも思います」

ときどき遅く家を出る日もあり、出がけにシャワーを浴びているが、週に1回、せいぜい2回がいいところ。汗ばむ季節になるとサキさんのほうが気が気でない。

「あの子臭いねって思われたら嫌でしょうと娘に言ったら、『そんなの香水でも振っておけば大丈夫。みんなそうだし』と衝撃的な答えが返ってきました。息子は『ねえちゃん髪の毛がベタベタしてるように見える』って。

そうしたら娘、頭に水を振りかけてドライヤーでセットだけして出て行きました。一見、きれいになっていたけど、私たち世代から見たら、どうなってるんだろうって感じです」

「風呂キャンセル界隈」に母は困惑

しかも、一生懸命、勉強しているように見えていた娘が、週に1度は朝まで遊んでいることも発覚、「まだ学生の分際で」と怒った父親に対して「遊ぶのも社会勉強」と言い切った。

大人になる上での通過儀礼のようなものだから、親への反抗に対してサキさんはそれほど心配していないが、衛生面から見ても「風呂キャンセル界隈」には困惑しているという。

「寝ているときだって汗はかくのだから、面倒でもせめてシャワーで汗を流しなさい。それに若い女の子が髪が臭いと思われたら、友だちだっていなくなるよと言ったら、友だちもみんな入ってないから大丈夫と言われてめまいがしました(笑)」

打つ手はない、臭い臭いと言って危機感を煽るしかないのかもしれないとサキさんは言った。

「お母さんだって、いろいろキャンセルしてる」

24歳の娘と同居しているアイコさん(50歳)も、娘の「あまりきれいとは言えない生活ぶり」に手を焼いている。

「娘が4歳のときに離婚して、私の母と女3人で暮らしてきました。母はパートをしながら家事育児をしてくれた。私はひたすら外で働いてきました。娘も昨年から社会人になり、ようやくホッとしたところなんですが」

これからはみんな自分のことは自分でやろうと決めたのだが、娘の部屋に洗濯物が山のようになっているのを見て、アイコさんの母は我慢できずに洗濯してしまった。以来、娘の分の洗濯物はアイコさんの母がそれまで通りやっている。

「母は孫が心配だから、いろいろやってしまうんです。私が外で働いてばかりいたから、娘はまったく家事をしつけられてこなかった。せめてトイレや風呂掃除くらいしてよ、休日にはリビングの片づけくらいしてよと言っても娘は逃げてしまう」

そしてやはり、娘はめったに風呂に入らない。週に2度ほど会社近くの美容院でシャンプードライをしてもらっているから大丈夫、体ふきシートもあるからと、アイコさんの「風呂入れ攻撃」をかわしている。

娘に反撃された母「心が痛みます」

「春先、母がケガをして2カ月近く入院していたんです。私が早く帰れるときは帰って、食事の支度をしていたんですが、娘はコンビニで適当なものを買って帰ってきて部屋にこもってしまう。

たまには一緒に食事しようと誘って食卓を囲んだら、『やっぱりお母さんの料理はおいしくない』と言われてしまいました。確かに慣れてないから、自分でもおいしいとは思わなかった。

『お母さんは料理キャンセル界隈だね』と娘に笑われて、私は自らキャンセルしたわけじゃないとムッとしました」

思わず、あなたを育てるために仕事を掛け持ちしたりして大変だったんだからと言ってしまった。

恩を着せるつもりはなかったのだが、娘はさらりと「私が産んでくれって言ったわけじゃないよ。離婚してほしいとも思ってなかったよ」とつぶやいた。

「それまで親の離婚に一言も文句を言わなかった娘の、あれが本音なのかもしれないと心が痛みました。あれからずっと娘との距離のとり方がわからなくなっています」

風呂キャンセル界隈という軽めの話から思わぬ方向に飛んでしまったが、日常生活、ちょっと面倒だなと思うことは多々ある。家事も含め、「丁寧にきれいに暮らす」ことは理想だが、人間、なかなかそうはいかないものかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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