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監督が語る『アンメット』が“特別なドラマ”になったワケ。Yuki Saitoインタビュー(3)千葉雄大の名シーンの裏側

  • 2024.6.24
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『アンメット』第5話より ©カンテレ

―――お話を伺っていて、『アンメット』が特別である所以みたいなものがわかってきました。

「嬉しいです。今って、ネットの感想がすぐに見られますよね。僕も見ているし、杉咲さんも若葉さんもちゃんと見ています。特に若葉くんなんて、絶対に気にしなさそうだと思いませんか? 実はちゃんと気にしていますよ。あんまり言うと怒られそうですけど(笑)。こんな感想があったよと、お互いに共有しあって、それが本当に糧になりました。

ドラマは映画と違って、感想が出てもまだ先の撮影が終わっていませんから、意見を踏まえて反映も出来るし、もっと頑張ろうってやりがいも生まれます。これは連続ドラマならではの醍醐味だと思いますね」

―――それこそSNSで話題になったエピソードの1つが、星前役の千葉雄大さんがセリフを少し噛まれたのをそのまま使った第5話です。あのシーン、現場ではどのような判断で採用されたでしょうか?

「従来のドラマのやり方であれば、少しであっても噛んだり、イントネーションが違うと、すぐに『はいカット! 』って撮り直すのが当たり前です。ただ僕個人としては、人が喋っていたら時には噛むこともある、それが普通じゃないかと思っていて。

このシーンで星前は、なぜ全科で専門医レベルを目指しているのか、ミヤビのためを思って自身の母親について話す。そういう重要な場面だからこそ、千葉さんは星前と強くシンクロして、声も震えて、言葉に詰まったわけです。あれこそがリアルだと思って、生のまま残しました」

―――千葉さんご本人は「もう一回撮りたい」と仰らなかったのでしょうか?

「それはなかったですね。雄大くんは、昔から知っているんですけど、すごく明るい一方、シャイな一面も持っていて。現場では演出家を信頼してくれていて、自分から撮り直そうとかはあまり言わないタイプです。

このシーンに関しては、オンエアを観た若葉くんが千葉くんのお芝居を絶賛したんです。『あそこの芝居めちゃくちゃ良かった』って。本人にも言っていました。若葉くんみたいなストイックな人から芝居を褒められるなんて、千葉くんもすごく嬉しかったのではないかな。

仮にあの場面をもう1回撮ったとしても、きっとあのお芝居は出てこない。撮れて良かったと心から思いますね」

(取材・文:あさかしき)

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