1. トップ
  2. レシピ
  3. 石橋静河、小津映画『お茶漬の味』の舞台へ。伊豆最古の湯処、修善寺温泉

石橋静河、小津映画『お茶漬の味』の舞台へ。伊豆最古の湯処、修善寺温泉

  • 2024.6.23
静岡・修善寺〈羅漢〉池泉庭園と内観

修善寺温泉でお茶漬けを味わい、小津作品の世界へ

「小津監督がここにいて映画を撮ったと思うと、とても感慨深いです」

小津安二郎作品のリメイクに参加し、時代が変わっても揺るがない芯の強さ、丁寧な生活の描き方に日本的な感覚の美しさを感じたという石橋静河さん。小津監督作『お茶漬の味』に登場した宿が当時のままだと聞き、修善寺温泉へと連れ立った。

ただし足を延ばしておいしい店にも立ち寄りたい。まずは、修善寺駅から車で20分ほどの古民家料理店、〈羅漢〉へ。地元でとれる旬の食材を用い、素朴ながら美しい料理の数々を。〆には炭火でじっくりと焼いたおにぎりをだし茶漬けにし、地産のワサビを擦り入れる。「人生で一番おいしい焼きおにぎりです」

静岡・修善寺〈羅漢〉内観2
土間のテーブルで。
静岡・修善寺〈羅漢〉前菜
美しく板に盛り付けられた前菜。サンマの南蛮漬け、温泉卵の柿見立て、ホウレン草と春菊の湯葉巻き、ムカゴのしんじょ蒸し、ジャガイモのペーストにゆずこしょう、菊型ナガイモ筋子のせ、ギンナンの握り揚げなど。
俳優・石橋静河
お茶漬けに、近くのワサビ田でとれたワサビを擦り入れて、自家製の漬物とともに。
静岡・修善寺〈羅漢〉内観
〈羅漢〉の囲炉裏の炭火で焼いたおにぎりを海苔(のり)に包む。香ばしい香りが広がる。
静岡・修善寺〈羅漢〉焼きおに茶漬け
だしをかけて焼きおに茶漬けに。

Information

羅漢

らかん/加藤敦子さんが陶芸家の夫とともに暮らした築170年の古民家で営む、1日1組限定の料理店。伊豆の山海でとれる自然の恵みを、周辺の自然を感じながら味わえる。夫妻がかつて暮らしたメキシコの調度品との折衷も見どころ。3名まで1名13,200円、4名以上1名11,000円。

住所:静岡県伊豆市地蔵堂299-2 
TEL:0558-83-0529
※ 要予約
Instagram:@rakan.izu

昼餉(ひるげ)を終え、件(くだん)の宿〈新井旅館〉に着くと、早速温泉へ。天平大浴堂など、館内の建築に色褪(あ)せない美を感じると話しながら、くつろぐ石橋さんが漏らしたのが、冒頭の言葉。

その後、浴衣に着替えて街へ。名産のどんこ専門店に掲げられたシイタケの写真を見て「売り物のシイタケを神聖なものとして扱うような姿勢に、心が洗われます」。

修善寺のおいしい温泉旅には、身も心も清める、思わぬ効能があった。

静岡〈新井旅館〉池泉庭園
〈新井旅館〉では桂川から水を引いた池泉庭園を建物が囲む。登録文化財・桐の棟で『お茶漬の味』登場人物さながらコイに餌をやる。
静岡〈新井旅館〉温泉
法隆寺の食堂に着想を得た天平大浴堂。柱には樹齢1,000年級の台湾ヒノキを使用。入浴すると目線の高さに池のコイが。
静岡〈新井旅館〉外観
桂川沿いに立つ〈新井旅館〉。
どんこ専門店〈こめや しいたけ店〉
どんこ専門店〈こめや しいたけ店〉でお土産も購入。「どんこだけとは潔い」と感心。

Information

新井旅館

明治5(1872)年〈養気館新井〉として創業。修善寺には珍しかった擬洋風建築で、明治30年代前半(1900年前後)には高浜虚子や幸田露伴、尾崎紅葉など文人が逗留。3代目の相原寛太郎(号・沐芳)が東京美術学校(現・東京藝術大学)出身であった縁で、横山大観をはじめ、小林古径や前田青邨ら若き画家たちを泊め、顧客にも紹介するなどパトロン的な役割を果たした。扁額の「あらゐ」の揮毫(きごう)は修禅寺の天井画を描いた川端龍子の手による。天平大浴堂ほか、館内に15件を有する登録文化財の意匠の多くに安田靱彦が携わった。

住所:静岡県伊豆市修善寺970
TEL:0558-72-2007
1泊2食付き29,700円~。(日帰り昼食付きプラン7,150円~)
♨アルカリ性単純泉。

・ドレス 720,000円、ピアス 70,000円*片耳のみ着用(共にディオール/クリスチャン ディオールTEL:0120-02-1947)
・浴衣 39,600円*反物価格、帯 50,600円(共に竺仙 TEL:03-5202-0991)、その他スタイリスト私物

profile

石橋静河(俳優)

いしばし・しずか/1994年東京都生まれ。出演作に映画『きみの鳥はうたえる』、ドラマ『鎌倉殿の13人』など。
Instagram:@shizuka_isbs

元記事で読む
の記事をもっとみる