1. トップ
  2. お仕事
  3. 【マネー講座】 6月から実施の「定額減税」。わが家の収入への影響は? 「社労士が解説①」

【マネー講座】 6月から実施の「定額減税」。わが家の収入への影響は? 「社労士が解説①」

  • 2024.6.23

今年6月から「定額減税」が実施されています。でも、「実際のところ、どんな制度なのかよくわからない」「わが家の収入はどう変化するの?」という人も多いはず。社会保険労務士(社労士)がわかりやすく解説します。

教えてくれた人

井戸美枝さんPROFILE

社会保険労務士&ファイナンシャル・プランナー

1990年に社会保険労務士、1993年にファイナンシャル・プランナーの資格を取得。生活に身近な経済、年金・社会保障問題が専門。『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP)がベストセラーに! 最新著書は『マンガでカンタン!社会保障で得するお金は7日間でわかります。』(Gakken)

そもそも「定額減税」ってどういうもの?

物価上昇続きで多くの家庭にとって大きな負担に。こうした状況を踏まえ、国民の家計負担を軽減するため、政府が経済政策の一環として導入したのが「定額減税」です。
 
この制度は、2024年6月から1年限りの施策となります。
 
対象となるのは、納税者本人と同一生計配偶者(※1)、扶養親族(※2)で、1人当たり所得税3万円・住民税1万円の計4万円が減税されます。
 
減税の時期や方法は、所得税と住民税で異なるほか、会社員か個人事業主かといった働き方によっても違います。会社員の場合は、月々の給与から天引きされている源泉所得税から減税されるので、特に手続きは必要ありません(給与明細で確認を)。
 
ただし、年収(額面)が2000万円(子育て世帯や特別障がい者がいる世帯は年収2015万円)を超える人は「定額減税」の対象外となります。
 
また、「定額減税」は住民税・所得税を納めている課税世帯のみが対象のため、非課税世帯や低所得者は当てはまりません。所得が基準以下で納税していない人、住民税非課税世帯、住民税の均等割のみの場合は、10万円の給付金が支払われます。
 
※1 納税者と生計を一つにする配偶者で合計所得金額が48万円以下の方
※2 同一生計配偶者以外の親族で、合計所得金額が48万円以下の方

<定額減税の減税額例>
 納税者本人(夫)と扶養家族(妻、子ども2人)の4人家族の場合
 
所得税の減税額 1人当たり3万円×4人
 
住民税の減税額 1人当たり1万円×4人
 
世帯全体で合計12万円の減税に!
(夫の給与から減税)

*妻が会社員(配偶者控除の適用外)の場合は、妻が納税者となるので、妻の給与から1人分の定額減税が適用されます。

減税はいつから? 所得はどれくらい変わる?

「所得税」と「住民税」で減税される時期や方法が異なります。
会社員は6月の給与から控除対象となるので、6月分の手取り額が多くなります。ただし、所得が低いと、7月以降何回かに分けて所得税が控除されます。一気に世帯全体の減税額が反映されるわけではないので、7月以降の減税効果は実感しにくくなるかもしれません。
 
控除額は給与明細に記載されているので、しっかりチェックしましょう。
 
 <所得税の定額減税の実施方法>
会社員の場合、2024年6月1日以降に支給される給与の源泉徴収額から対象となります。
控除される金額が3万円(1人分のみ)で、6月に源泉徴収される所得税が3万円以上の場合は、6月で控除は終了します。
 
でも、扶養家族の人数や所得によっては、6月分の納税額から減税額すべてを差し引けないことが。その場合、7月以降の所得税から順次差し引くことになります。
 
例えば、納税者本人と扶養家族3人の場合、所得税の定額減税額は計12万円。毎月の給与にかかる所得税が1万1750円、6月のボーナスにかかる所得税が9万3000円だと仮定すると、6月の給与とボーナスが支払われる際に合わせて10万4750円減税されますが、12万円には届きません。このため、7月の給与でも1万1750円減税され、それでも残る3500円分は8月に減税されるという流れになります。

<住民税の定額減税の実施方法>
会社員の場合、2024年6月分は住民税の徴収がなく、7月以降、2025年5月までの11カ月間で、納税者本人と扶養家族分(1人当たり1万円)の減税分を均等して控除される形になります。

個人事業主の場合はどういう方法で減税される?

個人事業主(自営業、フリーランスなど)で、年間所得が1805万円を超える人は定額減税が受けられません。 定額減税の対象となる人の所得税、住民税の定額減税実施方法は、以下になります。  

<所得税の定額減税の実施方法>

個人事業主の場合は、2025年の2~3月に確定申告をすることで定額減税が適用されます。2024年中は所得税の定額減税の恩恵はなく、実際に恩恵が受けられるのは2025年2月以降になります。

<住民税の定額減税の実施方法>

住民税分(1人当たり1万円)については、2024年6月分から減税されます。自治体が計算しているので、個別に調整する必要はありません。住民税決定通知書に記載されているので、そちらをチェックして。

リポートした人 Profile
 マネーライター みとも はやみ
編集プロダクション、出版社の勤務を経て、2011年よりフリーランスで活動。
20年以上、生活情報誌を中心に家計やりくりにまつわる記事の編集・取材・執筆に携わる。これまでに取材した実例は、延べ1000件以上。

illustration:Eri Kojima text & web edit:Hayami Mitomo
※写真・イラスト・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
次の記事
の記事をもっとみる