1. トップ
  2. レシピ
  3. 【オクラの栄養】夏野菜・インゲンとも比較!ヌメリとネバネバ成分の“正体”など 栄養士ライターが解説

【オクラの栄養】夏野菜・インゲンとも比較!ヌメリとネバネバ成分の“正体”など 栄養士ライターが解説

  • 2024.6.22

夏に食べたい「オクラ」

オクラのイメージ
オクラのイメージ

北アフリカ生まれのオクラが日本に伝わったのは、江戸末期の幕末。ハイビスカスに似た美しい花をつけることから、昔は観賞用として親しまれていたとか。現在は、ハウス栽培の発展で一年を通して食べられるようになりましたが、本来の旬は夏です。生命力の強い野菜とされ、暑い夏を乗り切るための栄養が詰まっています。そんなオクラの栄養について取り上げたいと思います。

栄養ポイント(1)夏に摂りたい抗酸化パワー

▲暑さに負けない生命力の強さを感じるオクラ。その栄養を丸ごといただけるのがオクラの魅力。
▲暑さに負けない生命力の強さを感じるオクラ。その栄養を丸ごといただけるのがオクラの魅力。

オクラは、緑黄色野菜の一つ。体内でビタミンAに変わり、皮膚や目の健康を守る働きや抗酸化力の高さで知られるβ(ベータ)-カロテンが豊富です。骨や歯を丈夫にするビタミンK、正常なDNAを作る手助けをする葉酸、免疫力を高めるビタミンC、お互いに協働しあって筋肉や内臓を動かすカルシウムとカリウム、腸内環境を整える食物繊維については、同じ夏が旬のインゲン豆(さやいんげん)よりも多く含まれています。また、旬の夏採りのオクラに含まれるビタミンCは、ほかの季節に収穫されるものよりも多いとされています。

オクラとインゲン(さやいんげん)の栄養比較(可食部100gあたり)
オクラとインゲン(さやいんげん)の栄養比較(可食部100gあたり)

(※)オクラ・インゲン豆ともに、緑黄色野菜の基準である「可食部(食べられる部分)100gあたりのカロテン含有量が600μg(マイクログラム)以上」にはわずかに届いていませんが、食べる回数や量の多さなどから緑黄色野菜に分類されています。

栄養ポイント(2)ネバネバ成分が“腸活”をサポート

▲オクラ×山芋は、ネバネバ相乗効果の好コンビネーション。
▲オクラ×山芋は、ネバネバ相乗効果の好コンビネーション。

オクラの特長として外せないのが、独特のヌメリとネバネバ成分。実は、この粘性物質については、まだ全てが解明されていません。水溶性食物繊維の一つであるペクチン、糖たんぱく質の一種(プロテオグリカン)、ガラクタンなどの多糖が混在しているとされています。わかっているのは野菜の中でもペクチンが多いこと。腸内を掃除して有害物質を外に出したり、短鎖脂肪酸の産生を増やして腸運動の活性化を促したりする整腸作用が期待されています。

このネバネバ成分は、オクラを細かくみじん切りにして細胞壁を壊すことで引き出されます。さらに、刻んだオクラに大さじ1~2杯の水を加えると水溶性の食物繊維が溶け出してネバネバ感がアップ。逆に、酢と合わせると、せっかくのネバネバが半減してしまうので注意しましょう。また、あのネバネバが苦手という人はオクラを切らずに調理をするとヌメリが出にくいですよ。

劣化が早いので早めに使い切りを

オクラの数少ない欠点は、鮮度が落ちやすいこと。購入時のネットに入ったままの状態で冷蔵保存すると、表面が乾燥してガクや細い先が黒く変色しやすくなります。ポリ袋に移すかラップに包んで野菜室で保存し、数日中に使い切るようにしましょう。

まとめ

▲脂溶性の栄養成分が多いので豚肉の薄切りを巻いたソテーもおすすめ!
▲脂溶性の栄養成分が多いので豚肉の薄切りを巻いたソテーもおすすめ!

脂溶性のβ-カロテンやビタミンE、水溶性の食物繊維、ビタミンC、葉酸、カリウムがバランスよく含まれ、ゆでる・炒める・焼く、どの調理とも相性が良いオールラウンダーのオクラ。丸ごと1本をガーリックバターで炒めたり、軽くグリルしてカレーの“のっけ具”にしたり、ゆでて刻んだネバネバのオクラを好みの味付けで楽しんだり、薬味代わりに冷奴にのせたり。たくさん量を多彩な料理で食べやすい点も嬉しいポイント。夏バテや日焼けに対抗するためにも、小まめに食べるようにしてはいかがでしょう。

※参考文献:杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、上西一弘ほか監修『健やかな毎日のための栄養大全』NHK出版,2022、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、中村宣督著『からだにいいってホント?食品でひく 機能性成分の事典』女子栄養出版部,2022

(野村ゆき)

元記事で読む
の記事をもっとみる