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仕事や家事で「今日も疲れている」日本女性たちへ! 休養学のススメ【ヴォーグなお悩み外来】

  • 2024.6.22

20代女性の89.5%、30代女性の90.7%が疲れている

Tired businesswoman yawning while traveling in tram

片野秀樹先生が代表理事を務める日本リカバリー協会の調査によると、「日本の20代の女性の89.5%、30代の女性の90.7%が『疲れている』あるいは『慢性的に疲れている』と回答」したそう。

「年代別で見ると若い人ほど疲れていて、60代・70代の方が元気です。また、どの世代でも、男性よりも女性の方が疲れている傾向があります」

なぜ、日本の若い女性はここまで疲れているのか? 今の20代30代の女性は結婚や出産後も仕事を続けているケースが多く、仕事、家事、育児と忙しくて大変な生活を送っていることがひとつの理由だと、先生は指摘。さらに、日本の女性は忍耐強く、頑張り屋であることも影響していると述べる。

「男性より女性の方が、仕事や家事を区切りなく無理をして頑張り、緻密で完璧を目指す傾向があると感じます。女性も捨てる勇気、つまりできない仕事はNOと断る勇気などが必要だと思います。また、女性の方が協調性があり、コミュニケーション能力が高いため、周りに合わせて精神的に疲れてしまうこともあると考えられます」

“疲労のマスキング”を続けると病気になることも

Woman covered in blanket sleeps at home when feeling sick, having hot tea, used tissues and pills on the table next to her.

肉体の疲れに比べると、メンタルの疲れは“頑張りがきいてしまう”ので、より注意が必要だと先生は警鐘を鳴らす。

「100メートルを走った後にすぐ、もう一度100メートルを走ると、明らかに速度は遅くなります。このように、肉体的な疲れは目に見えやすい。一方で、精神的な疲れは『気合を入れれば大丈夫』、『この仕事は楽しいから』などと、責任感ややりがいから無理がきいてしまうことがあるのです」

カフェインが含まれるコーヒーや栄養ドリンクなどで、疲労感をマスキングして仕事を頑張ってしまうという女性もいるだろうが、それはNG。

「マスキングをして十分な休養を取らずに活動を続けていると、疲労はどんどん蓄積します。疲労が回復するまでに時間がかかり、病気になってしまうことも。そうなる前に対策を取ることが大切です」

「疲れたから、休養する」では、実は不十分

Afternoon napping

では、お疲れ気味の日本女性たちは、どのような対策を取ればいいのだろう? 片野先生は、大きくふたつの意識改革をおすすめする。

一つ目は、「疲れたら休む」のではなく、「疲れたら活力を得る」と意識すること。

「疲労の反対語は何だと思いますか? 『休養』ですか? 辞書を引くと、疲労の反対語は『活力』であると書いてあります。多くの人は、疲れを感じたら休もうとします。つまり、『活動→疲労→休養』というサイクルを回そうとします。しかし、本当は、ここに活力を加えた『活動→疲労→休養→活力』というサイクルを回す必要があるのです」

スマホの充電に例えると、考えやすいそう。

「疲れたときに休養しても、スマホのバッテリーでいうと50%程度しか充電できていません。そのまま活動すると、それは20%くらいまで減ってしまいます。そして電池切れになりそうだからと慌てて休養しても、バッテリーは50%の充電に戻るだけ。充電100%の状態にするには、休養だけでなく活力を加える必要があるのです」

「平日に疲れたから土日で休む」という考え方を変えよう

Young woman relaxing in wicker hammock on the sandy beach on Mauritius coast and enjoying sunset light over Indian ocean waves. Exotic countries vacation and mental health concept image.

疲労の対策の二つ目としては、「疲れた→休んで活力を得る」という順番を考え直すこと。「これから疲れそうだから、先に休養し活力を得ておく」、といういわば先手を打つ意識が大切なのだと先生は話す。その方が、疲れが溜まって仕事が行き詰まってしまった、などの危機を回避することができる。

「今週は重要なプレゼンがあるから、週末のうちにしっかり体と心を元気にしておこうなど、工夫するのです。オンタイムの計画をする人は多いでしょう。しかし、『土日は睡眠時間8時間は確保しよう』など、オフタイムもきちんと計画しておくことが非常に大切です。そのためには、仕事を部下にふったり、家事を外部に発注するなど、オンタイムから“捨てる”ものも発生するかもしれません」

このような意識の転換は、なかなか難しいという人もいるかもしれない。その場合は、「日曜日や月曜日を起点として、1週間の日程を俯瞰する」のではなく、「週末が始まる土曜日を起点として、次の月曜日からの1週間の日程を俯瞰する」のがコツだという。

「平日の5日が忙しくなりそうだから、この土日はゆっくりしよう。この週末は子どもの行事が入っていつもより疲れそうだから、次の平日の仕事の一部は翌週に移そう、他の人に頼もう、などと調整するのです。『平日のあとの土日で休養して活力を得る』のではなく、『土日に休養して活力を得た分で、平日働く』と考えるようにしてみてください」

後半では、どのように休養して活力を得ればいいのか、具体的な方法をお伝えする。

話を聞いたのは……

片野秀樹先生

日本リカバリー協会代表理事、博士(医学)

東海大学大学院医学研究科研究員などを経て、現在は一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)や、株式会社ベネクス執行役員を務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。近著に『休養学:あなたを疲れから救う』(東洋経済新報社)。

Text:Kyoko Takahashi Editor:Kyoko Muramatsu

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