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【女子旅 台湾】 パイナップルケーキを求めて台北近郊の「新荘」へ:エッセイスト柳沢小実さんの台湾旅行記 第4話

  • 2024.6.22

リンネルの創刊から誌面を一緒に盛り上げてくれている、エッセイストの柳沢小実さん。旅行がライフワークで、旅に関する著書も多い小実さんが、久しぶりに台湾へ行ってきました。今回は、台北から少し足を延ばして行ける郊外の旅について綴っていただきました。

台湾の旅について綴ってくれるのは…

柳沢小実さん

エッセイスト。リンネルの創刊当時より、インテリア、丁寧な暮らし方、旅について、多数取材。暮らしや旅についての著書は30冊以上。最新刊『わたしのごほうび時間 大人のゆったり旅』(大和書房)が発売中。

数年前に、台北に住むセンスのいい方にいただいたパイナップルケーキ。パイナップルケーキは四角いものが一般的ですが、こちらは一風変わった平たい小判型で、食べてみると生地と餡のバランスが絶妙。リッチすぎないから、普段のおやつにもほどよくて。素朴なパッケージも愛おしく、すぐさまお気に入りに仲間入りしました。

それから数年後、それが友達の謝さんのご実家近くのお店のものと判明して、パイナップルケーキを買いに行きつつ街を案内してもらいました。

台湾郊外の街・新荘を案内してくれたのは…

謝喬伃さん

35歳 日本を紹介する雑誌「秋刀魚」のエディトリアルデザイナー。33歳から一年間、キャリアを中断して韓国に留学していた、中・日・韓のトリリンガル。前回登場の許さんと同じく、東京に住む台湾ガールが紹介してくれて出会いました。

今日の服装は、
トップス:SPAO(韓国のユニクロ的な店)
ボトム:niko and ...
リュック:PAN AM(韓国)
シューズ:FILA

「動きやすい服装がラクだから、パンツが多いです」

新荘はどんな街?

歩くにはこぢんまりとした街がいい。活気あるエリアがコンパクトにまとまっていて、住人たちも徒歩で出かけてそのへんで立ち話をしたりしているから、生活の様子が垣間見られます。

新北市新荘区は、台北市の西に位置する新興都市。もともとは農業や商業がさかんでしたが、のちに機械や部品などの生産を担う工業都市になりました。2010年にMRT(地下鉄)の中和新蘆線が開通して、台北へのアクセスが飛躍的に向上したことから、現在は台北市内へ通勤・通学する人も多く住んでいます。

待ち合わせはMRT新荘駅。今日は新荘の街を徒歩で巡ります。

台北駅から新荘駅の行き方

①所要時間:約30分
台北駅
↓ MRT 淡水線
民権西路駅
↓ MRT 中和新蘆線
新荘駅

②所要時間:約30分
台北駅
↓ MRT 空港線
三重駅
↓ MRT 中和新蘆線
新荘駅

まずは米苔目を食べに

ちょうどお昼どきだったので、メインストリートを曲がった新泰路にある、米苔目(ミータイムゥ)の店に案内してもらいました。米苔目は、細めのうどんのような軽めの米麺。米(または米粉)とタピオカ粉が原料の押し出し式の麺で、モチモチしているが弾力がありすぎない。スープに入れて食事として、はたまた甘いシロップをかけておやつとしても食べられています。サイドメニューは、豚の各部位を切ったもの。指さしでオーダーすることもできますよ。

※米苔目のデザートVer.は台北市内・迪化街近くの「呷二嘴」で食べることができます。

新荘廟街の二つの廟へ ①「新荘武聖廟」

新荘は昔は港で、それは物とお金が動いて繁栄していたことを示しています。新荘廟街には有名な廟(お寺)が二つあって、新荘を訪れる人はみな、必ずこの二か所を巡っているよう。ちなみに、廟の周辺には参拝土産のお菓子屋さんも必ずあります。

「新荘武聖廟」は260年以上の歴史がある国家三級古跡の廟で、商売や富の神様である関羽を祀っています。廟の正面は神様が通るので、参拝者は右手の龍門から入って、左手の虎門から出るようにと教えてもらいました。

龍が入口

虎が出口

これは十二支の中で最も高潔なのが龍で、その逆が虎とされているため、龍から入って虎から出るとこれまでの悪い行いが浄化されるのだそう。廟を訪れる際には、龍と虎を探してみてくださいね。

お守りを買いました

新荘廟街の二つの廟へ ②「新荘慈祐宮」

もうひとつの見どころ「新荘慈祐宮」には、航海する船を守る媽祖様が祀られています。ここは新荘で最も古い廟で、平安と財運を願う地元の人も多く参拝しています。建物の精巧な彫刻は必見。

台湾ではひとつの廟に複数の神様が祀られていて、様々なご利益のある神様をまとめてお参りできるのは旅行者にはありがたい。新荘廟街夜市の入口に位置するため、夜も賑やかです。

パイナップルケーキの店「老順香餅店」へ

「老順香餅店」は1870年に創業し、150年以上の歴史をもつ地元の老舗。餅は、中国語では小麦粉を練って円形にしたものを指し、日本のお餅とは異なります。かつて、この周辺には200軒ほどのお菓子屋があったそうですが、現在ではほんの数軒だけだそうです。

こちらのお店は保存料を使わず、店に長く伝わる木型などを用いてお菓子作りを続けています。鹹光餅(イェングァンビン)という、中央に穴の開いた塩味のお菓子がシグニチャー。これは謝さんによるとお供え用のお菓子で、訪れる人はみんなこれを買っていました。そして、平たいパイナップルケーキは、韓国のテレビで取材されて若い人に人気になったそうです。

鹹光餅

パイナップルケーキ

日本統治時代にパイナップルの生産が本格的に始まり、その加工品としてパイナップルケーキが作られて、今では台湾を代表する銘菓になりました。「老順香餅店」の金牌鳳梨酥(ジンパイフォンリース―)の原料はパイナップル、小麦粉、砂糖、バターとごくシンプルで、賞味期限は30日。添加物も入っていない、安心して食べられるやさしいお菓子です。

台北からほんの少し足を延ばすだけで、懐かしい街並みや豊かな文化にふれることができます。リピーターの方にこそおすすめしたい、ちいさな街歩き。老街や伝統的な食べものなどを目当てに、訪れてみてはいかがでしょう。

さて、次回は台北へ戻って、ローカルっ子たちのおすすめアドレスを巡ります。どうぞお楽しみに。

text&photo : Konomi Yanagisawa
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

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