1. トップ
  2. 恋愛
  3. 「僕の手になってほしい」夫が脳出血で倒れて右半身まひに→すれ違っていた夫婦の絆が深まった出来事は

「僕の手になってほしい」夫が脳出血で倒れて右半身まひに→すれ違っていた夫婦の絆が深まった出来事は

  • 2024.6.21

当時49歳の友人の話です。ある日突然、友人の夫が病気で倒れて働けなくなってしまいました。稼ぎ頭の夫が働けなくなり、途方にくれる友人。夫の介護やお金のこと、いろいろな問題が出てくる中で、いかに夫が家族を守ってきてくれていたかを知ります。内心では、夫への気持ちが冷めてきていた友人でしたが、この出来事をきっかけに心境の変化が起こるのです。

突然、脳出血で倒れた夫

当時49歳の友人には、年上の夫がいました。友人夫婦は美容室を経営しており、友人の夫がスタイリストで、友人はアシスタント業務を担当。2人だけで営業していました。

そんなある日の朝、朝の支度でバタバタしていた友人は、地べたに倒れ込んだ夫の姿を発見。慌てて救急車を呼び、夫とともに病院へ。診断の結果、脳出血(脳内にある非常に細い血管が破れることで脳内出血し、出血に巻き込まれた神経細胞が障害される病気)であることがわかりました。

脳出血により、右半身まひになってしまった友人の夫。友人は当初、リハビリで治るだろうと信じていました。良いリハビリができる病院を探して転院したり、家から何時間もかけて病院へお見舞いに行ったり、「とにかく夫を助けたい」その気持ちが強かったと言います。

一方で、不安だったのがお金のこと。友人は美容師免許こそあるものの、アシスタント業務しか経験がありません。当時まだ高校生の末っ子の学費も必要な中、お店を畳むべきか悩んでいました。しかし、夫から「絶対復帰するから、あの店だけは続けて欲しい」と懇願され、店を続ける決意を固めます。

夫が働けなくなり、夫の気持ちを知った

それからは貯金を切り崩して生活しながら、夫がいる病院と家との往復の毎日。その合間で、毎月の収支や貯蓄額、保険やローン、年金など、お金周りのことを調べ始めました。

今までお金の管理はすべて夫に任せていた友人。裕福ではないけれど、わが家はお金に困っていないと思っていました。ところがそれは、夫がうまくやりくりしてくれていたおかげだったこと、そして、そこまでお金に余裕がないこともわかりました。夫はずっと、家族を不安にさせないようにひとりで頑張っていたのです。

こんなに夫に頼りっぱなしだったのかとがく然としながらも、家族を守るため必死に調べてお金周りを整理しました。

1カ月がたち、夫が病院を退院して、自宅療養になりました。夫はまだ自分で生活できるレベルには程遠く、夫の自宅介護が始まった友人。今思えば、そのときが一番大変だったと言います。動けなくなった夫の現実を突きつけられ、不安に押しつぶされそうになりながらも「それでも信じるしかない」と、必死にお金のやりくりと介護、リハビリ補助を頑張りました。

そのかいあって、徐々にできることが増えてきた夫。しかしそれは、生活に必要な最低限の動き程度のもの。繊細な手の動きが必要である美容師に復帰することは、奇跡みたいなものだと、生活の中で容易に察することができました。

そんなある日、夫から「自分が隣で指示をするから、僕の手になってほしい」と頼まれた友人。カット経験はほとんどありませんでしたが、友人もそれしかないと思っていました。それから2人で特訓する日々が始まります。少しずつお客様も取れるようになり、なんとか営業を再開できました。

夫の頼みにより、友人の心境に変化が…

実は倒れる以前、夫への愛情が薄れてきていると感じていた友人。また、仕事や家族のことをうまくやってのける夫と比べて、自分はひとりで稼ぐこともできず、お金のことも全部夫任せ……夫に生かされている自分は、無価値な人間だとも思っていたそう。ところが、今回のことで友人の心境に変化が起こります。

友人は、倒れる以前にも何度か「スタイリストになるための勉強をしてみないか」と夫から提案されたことがありました。しかし、自分にできる訳がないと断って逃げてばかり。かつては自分もプロの美容師を目指していたのに、情けない気持ちがありました。

そんな中で今回、夫から「君に負担をかけたくなくて、弱音を言わないようにしていた。でも僕はもうこんな体だから、家族のために力を貸してほしい。君ならできるとずっと思っていた」と言われた友人。自分にも役割があったこと、夫はずっと期待してくれていたことを、初めて実感したそう。

「元の生活には戻れないけど、悪いことばかりではなかった。ずっと暗闇だった気持ちがやっと前向きになれて、こんな状況だけど頑張れる気がする」と語っていた友人は、明るい表情をしていました。

まとめ

それから5年以上たった今も、友人夫婦は美容室を続けています。夫の指示通りに友人が手を動かすスタイルはそのままですが、友人の夫はできることが少しずつ増えているようです。夫が倒れたことをきっかけに、ささいな幸せに気付けるようになったと言う友人。倒れてから少々後ろ向きだった夫も、最近はパン作りにハマっているようです。「作ったパンの試食係を任されている」と言う友人はうれしそうでした。

夫が倒れて働けなくなるという大事件でしたが、それを乗り越え美容室と家族を守っている友人夫婦に、私もパートナーとの絆を大事にしようと思いました。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

マンガ/山口がたこ

ウーマンカレンダー編集室ではアンチエイジングやダイエットなどオトナ女子の心と体の不調を解決する記事を配信中。ぜひチェックしてハッピーな毎日になりますように!


著者:小林 かなで


監修者:医師 医療法人ONE きくち総合診療クリニック 理事長・院長 菊池大和先生

地域密着の総合診療かかりつけ医として、内科から整形外科、アレルギー科や心療内科など、ほぼすべての診療科目を扱っている。日本の医療体制や課題についての書籍出版もしており、地上波メディアにも出演中。

ベビーカレンダー/ウーマンカレンダー編集室

元記事で読む
の記事をもっとみる