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こんな人を絶対入社させてはいけない…採用面接で「モンスター社員」を見極めるキラー質問

  • 2024.6.21

中途採用で、「ヤバい人」を見極めるには、どうしたらいいのか。キャリアカウンセラーの中谷充宏さんは「転職回数と退職理由を確認するといい。『理由がハラオチするか』が最大のポイントだ」という――。(第2回/全3回)

※本稿は、中谷充宏『小さな会社の採用お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム)の一部を再編集したものです。

赤い人形を選ぶ人の指と選ばれなかった白い人形
※写真はイメージです
「ヤバい人」を見極めるにはどこを見るべきか

「人手不足の上に、中小零細企業だと、思うような人材なんて来てくれない。多少ハードルを下げてでも採用しないと」という気持ちは、よくわかります。

とはいえ、過去に何度も痛い目に遭っているなら、同じ失敗の繰り返しになり、全然進歩しません。

ここは中小零細企業といえども、「自社なりの採用基準を設け、満たさない人は落とす」で良いでしょう。

たとえば、わかりやすいのが「転職回数の多い人」。最近、短期で何回も勤務先が変わっている人は特に要注意です。もちろん、それだけで即NGにはしないとしても、理由を聞いてハラオチしないなら、やはり見送るべきでしょう。

「理由はともあれ、早急に欠員補充しなければならなかったので、採用したけど、やっぱり当社も短期で辞めた」といった過去の苦い経験(実のところ弊所もあります)があれば、その人の転職回数を下回ることを採用基準とすべきでしょう。

「退職理由」がハラオチするか?

転職回数の多さに加えてチェックすべきなのが、前職(現職)の退職理由です。これも「ハラオチするか」が最大のポイントです。

前職の誹謗中傷に走るのは論外として、たとえば「長時間労働がきつかったから」との理由でも、それが月30時間程度の残業なら、当社でも十分起こりうる。

「仕事と処遇(給与)が見合わないから」も、当社でも十分起こりうる、となると、入社しても同じ事象になりますので、見送りが妥当でしょう。

「パワハラがあったから」も、事実かは実際のところわからないのと、適法な厳しめの指導をパワハラと主張する人も多くなってきているので要注意です。

こうした際は詳細を深掘りし、本当にパワハラなのか、被害妄想か、当社でも起こりうることかを見極めましょう。

「ヤバい人」を見極めるキラー質問
「なぜ前職を辞めた(現職を辞める)のですか?」

これは「ヤバい人」を見極めるキラー質問なので、詳細を説明します。

「本当の退職理由」を尋ねるアンケートによると、職場の人間関係が悪い、給与が安い、会社の将来性が不安、仕事内容が合わない、残業・休日出勤が多い等が代表例となっています。

たとえば「職場の人間関係が悪い」は本音としては理解できますし、実際、統計上でも上位にランキングされています。

とはいえ、それだけではハラオチしないでしょう。

退職を決断するということは、どれだけ悪かったのか? それを単なる悪口ではなく、具体的かつ丁寧に話して、「さすがにそういった状況なら、私も辞めるな」と企業側(面接官)が納得するくらいの説明力が求められます。

そして「その退職理由なら、当社に入っても同じことにならないか?」をチェックする必要があります。

退職理由を深掘りする

そこで退職理由を一通り聞いた後に、「当社でも同じような状態は起こりうる」と前置きした上で、「それなら、当社も同じように辞めてしまうのではありませんか?」と、深掘りしてみましょう。

回答に窮してしまうのか? それとも「いや、そうはならない。なぜなら~」と納得のいく回答を展開できるのかで、当人の本当の姿が見えてきます。

特にこうした追及の場合は、回答内容以外にも、不満げだったり、逆に感情をおくびにも出さないで飄々としているといった、表情や仕草にも表れてきます。

そうしたサインも逃さず、言葉と行動が一致しているかという視点からも、当人をよく観察してください。

「自動車や自転車の事故歴、違反歴はありますか?」

事故歴、違反歴があるからといって、ただちに「当社では使えない、ヤバい人」と認定するわけにはいきません。

ただ、コンプライアンス遵守が叫ばれる今、こうした歴が多い人はそういった傾向がある、と見て良いでしょう。

特に仕事で運転をする仕事、たとえばドライバー職や郊外の外回りの営業職などの場合は注視すべきですし、それ以外でも通勤で自動車、もしくは自転車を使う人も多いでしょうから、会社側としては聞いておきたい質問でしょう。

特に社有車で事故を起こしたりすると、その事後処理だけで社内に大変な労力がかかります。解決まで長引けば、その分の負担も大きくなります。事前にチェックしておきましょう。

交通事故に遭った女性
※写真はイメージです
違反を軽く見る向きの人は、不採用も

ここも前項と同じで、質問の意図や主旨を事前に伝えておいた方が円滑に進むでしょう。つまり「仕事上で運転するシーンがあるから」とか「毎日の通勤で使うでしょうから」の後に、「念のため事前に確認させてください」といった感じです。

もちろん、虚偽申告は絶対にNGで、ここも入社後に発覚したら解雇を検討しなければならないシーンも出てくるでしょう。

虚偽申告はないという前提で、そもそもそうした歴がない、あるいは乏しいなら、不採用要因にはならないでしょう。

一方で、「あるけど、スピード違反(駐車禁止違反)くらい、誰もやるでしょ?」とか「私はペーパードライバーじゃなく、頻繁にクルマに乗るので、そりゃそれなりの数の切符も切られてますよ」といった舐めた態度だったり、歯切れが悪かったり、隠す様子があれば、不採用を前向きに検討して良いと考えます。

逆質問を活用する

「何か質問はありますか? どんなことでも結構です」

こちらから一通り質問したら、逆質問を受ける流れになります。ここは、「何を聞いてもらっても大丈夫ですよ」と、応募者の質問するハードルを下げてください。

実際に何を聞いてもらっても良いのですが、これから担当する仕事の詳細やその進め方、職場のメンバー構成、日常業務のルーティンなどを一切聞かずに、

「休みの申請は何日前までですか?」
「夏休みや年末年始休暇は、何日あるのですか?」
「○○手当は、私にも付きますか?」

といった福利厚生や処遇ばかり聞いてくる人は要注意です。

説明会や面接でいくら説明しても、仕事のすべては理解できないし、日常業務のルーティンとして、細かい話ですが、たとえば「貴社の社員は始業時間のどれくらい前から出勤しているのか? 新人もそれで良いのか?」といったことも気になるはずです。

もちろん、福利厚生や処遇の質問すべてがNGというわけではありません。完全歩合制の営業職の募集なら、「何をどれだけ売ったら、どれだけ給与に反映されるのか?」といったことは、プロの営業として当然質問するでしょう。しかし、これも給与のことだけを聞いているのではなく、先に仕事の詳細(何を、どれだけ)を聞いた上での話になっていることをお忘れなく。

給与や休みは、就職先を決めるのに重要な要素であるのは間違いないし、事前にきちんと確認したい心理もよくわかります。

一方で、会社にぶら下がっていられさえすれば、こうしたものが手に入るという甘い考えの人が一定数存在するのも事実です。

処遇や福利厚生についてのやりとりが終わったら、「担当する仕事や働き方とかについて質問はないですか? 大丈夫ですか?」と、念押ししてください。筆者の経験では、ぶら下がり系の人は「大丈夫です」と回答するケースが多いです。

反応で違和感を抱くか確認する
「この面接での虚偽の発言は懲戒の対象になりますが、よろしいですね?」

受かろうと必死で、面接でつい大きく見せたり嘘をついてしまうのは、実際に良くある話です。たとえば、面接で「御社への志望度は高いです!」と言っていた人が、入社後に「実は、それほどでもなかったんです」とカミングアウトしたとしても、まぁ一般的には許容範囲でしょう。

一方で、これから就く仕事に必要な資格やスキル、経験がないのに「ある」と嘘をついていたとすると、なければ採用しなかったわけですから、入社後は懲戒解雇になる可能性が高いと言えます。

そういう事態を避けるために、この質問をぶつけてみます。

動揺した表情を見せるのか、はたまた「全然大丈夫です!」と涼しい顔をしているのか等、その反応で違和感を抱くかどうかをチェックしましょう。

「平気で嘘をつく人」を入社させないための質問

こうした念押しをしておくのは、入社後のトラブル防止に非常に効果的です。

「(求人の職種について)充分な経験がある」とのPRを鵜呑みにして採用するも、経験などない、あるいは経験はおろか知識すらないという人を、筆者は直に見た経験が複数あります。

中谷充宏『小さな会社の採用お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム)
中谷充宏『小さな会社の採用お金をかけなくてもここまでできる!』(秀和システム)

こうした人は嘘をついている自覚が乏しく、

「少しかじった程度でも、経験は経験じゃないですか?」
「この程度の給与でそこまでのレベルを要求する方が、そもそもおかしい」

と、反駁してきます。こうなった時に、「面接でこうした主旨を伝えましたよね? 大丈夫と回答しましたよね?」と、論理的に詰めることができます。

なお、嘘をついたから何でもかんでもすべて懲戒解雇ではなく、「それが真実(たとえば必須条件を満たしていない)だったら採用しなかった」という点が懲戒解雇の基準になりますので、覚えておいてください。

中谷 充宏(なかや・みつひろ)
キャリアカウンセラー(キャリアコンサルタント)、社会保険労務士
同志社大学法学部法律学科卒。新卒入社したNTT(日本電信電話株式会社)勤務後、1社転職を経て2004年にキャリアカウンセラーとして独立。マンツーマンで依頼者の転職を支援する「就職&転職のパーソナルキャリアコーチ」。米国MBAホルダーや代表取締役といったエグゼクティブ層から、転職回数が多い等のハンデを背負った層まで、幅広い方々の転職支援の実績がある。また社会保険労務士として人事採用コンサルティングの経験も豊富で、人事部長として企業人事を一任されるケースもあり、生々しい採用現場や面接シーンも熟知。 著書に『20代~30代前半のための転職「面接」受かる答え方』、『30代後半~40代のための 転職「書類」受かる書き方』『30代後半~40代のための 転職「面接」受かる答え方』『20代~30代前半のための転職「書類」受かる書き方』(秀和システム)等多数。M&Nコンサルティング

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