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イップスを簡単に予防する方法!佐藤信人プロが解説

  • 2024.6.21
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〝イップス〞は 「自分はならない」と思っていませんか?

決して他人事ではなく、ゴルファーなら誰でもかかる。しかもゴルフを一生懸命やるほどかかりやすいんです!

なぜイップスにかかるのか、どんな症状が現れ、どうやって克服するのか。それを事前に知ることが、イップス予防の最善策になります。

イップス予防のためにシンプルなスイングを目指す!

あらゆる対策を試しても完治しなかった

私のパッティングでのイップスは、強くヒットしようとすると体が勝手に反応して、ヘッドが出せなくなってほとんどショートしてしまうことでした。患ってからは、考えられるさまざまな対策を講じ、長尺や中尺パターはもちろん試しましたし、極太のグリップもテストしましたね。パター形状もいろいろ試して、練習では「これなら大丈夫! イップスは出ない!」と確信できたこともあったのですが、試合になるとまた発症するという繰り返しでした。

アドバイスもいろいろな人がしてくれましたが、私をはじめ、イップス仲間はほぼみな、技術でなんとか解決しようとするんです。でも、どうしてもうまくいきませんでした。

プレッシャーを感じなければいいプレーができた

そこで技術面だけではなく、メンタルトレーナーにアドバイスを受けながら、イップスを受け入れる努力をしました。症状を許すこと、冷静に振り返って「自分に何が起きて、どう取り組んだのか」のプロセスを見直したりしました。悪い想像を巡らせたり、将来への不安を感じたりすると、イップスのスイッチも入りやすいのです。

私の個人的な考えですが、やはり日本人の国民性として〝うまくいかないのは、自分の責任〞と感じてしまう傾向が強いと思います。

その点、キリスト教の信仰をもつ海外の選手は、自分を信じる力が強く、あまり気に病まない人が多い。これはトーナメントで優勝争いをしているときにも感じる傾向です。国民性や宗教観が与える影響は、決して小さくないものだと思います。

シンプルな動きがイップスの克服や予防につながる

私の場合、イップスはメンタル面の影響がとても大きく、心理的なプレッシャーを感じることでスイッチが入っていました。結果にこだわりのなかった欧州ツアーのQTや引退試合のつもりで出場した2011年の日本オープンで、好成績を出せたのは、いうまでもなくプレッシャーを感じることがなかったからです。

一方、技術的な取り組みもやはり重要でしょう。イップスを軽減する技術もあれば、イップスを予防する技術もあると思います。

スイングにおいて私が痛感しているのは、オーソドックスなスイングを身につけることが大事だということです。具体的には、クラブがプレーンに沿って動き、スクエアに動くゾーンが長い、シンプルな動きのスイングです。ショットの安定感が増すだけでなく、不自然な動きがないので、イップスの防止にもつながるのではないかと考えて
います。また調子の悪いときやイップスになったときにも、修正を行ないやすいでしょう。

逆に個性的なクラブの動きをするスイングは、イップスになりやすく、修正も難しくなりそうです。プロのなかには個性的なスイングでも、ナチュラルで息の長い選手がいますが、そういう選手は、自分のスイングに揺るぎない自信をもっているでしょう。

メンタルと技術の両輪で取り組むことが、イップス克服と予防につながると考えています。

信仰心があつく自己肯定感が高い海外選手はメンタルが強い

佐藤自身、もともと特徴のあるスイングだったが、今もよりシンプルな動作に改造中だという

Lesson

[症状]個性的なスイング軌道

プレーンから大きく外れる個性的なスイング軌道のゴルファーは、インパクトでスクエアに戻すための補正動作が大きく、イップスになると脱却しにくい

[対策]オーソドックスでシンプルな動きへ

バックスイングでもダウンスイングでもプレーンに沿っていて、フェースの動きも管理されたオーソドックスでシンプルな動きなら、イップスを回避しやすい

解説 = 佐藤信人

●さとう・のぶひと / 1970年生まれ、千葉県出身。パッティングの名手として90年代後半から活躍。ツアー通算9勝をあげた。2004年ころからイップスに悩まされ、現在も完治せず苦闘中だという。近年は解説者としても活躍。JGTOの理事も務める。ミズノ所属。

構成=コヤマカズヒロ
写真=田中宏幸

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