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夫からのモラハラと心ないセックス。疲弊した妻は女性風俗セラピストに癒しを求めた

  • 2024.6.20
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『妻で母ですが、女性風俗にハマりました』(三松真由美:原作、ぺぷり:漫画/KADOKAWA)は、2児の母である主人公が女性風俗のセラピストとの出会いによって自分らしい姿を取り戻していく物語だ。

暴言を吐くモラハラ夫と迷惑な義母によって、日常的に強いストレスにさらされている主人公の葵。

夫から葵への攻撃はモラハラな態度だけにとどまらず、同意のない強引な性行為にも発展。家族としても女性としても尊厳を踏みにじられた彼女は、極限状態まで追い詰められてしまう。

やがて葵は知り合いたちからの勧めで女性風俗の存在を知り、勇気を出して利用してみることに。そうして出会った女性風俗のセラピスト・セイヤとの交流の中で芽生えた充足感が、葵の心を満たしてゆく。

夫からのモラハラと心のないセックス。屈辱を受け続ける自分が惨めで、嫌気がさす。

深い自己否定に陥った葵が女性として大切に扱われる女性風俗にハマってしまったのは、必然だったのかもしれない。

本作では心に傷を負った葵が女性風俗のセラピストの力を借りて精神的にも肉体的にも解放されていく姿を描いていくが、全ての女性にとって女性風俗がそういう存在になれるのか、と問われれば必ずしも答えはイエスではないだろう。

スポーツでも読書でも推し活でも、心の底から没頭できリラックスできる時間を作ること。そして他人軸ではなく自分軸で楽しむこと。そういう充実した時間を得ることこそが傷ついた自分を救い、自分らしさを守るための道なのではないだろうか、と本作を読んで強く感じた。

物語の中では、葵以外にもさまざまな背景を持つ女性たちのストーリーが展開していく。

同僚の七恵は過干渉な実母とセックスレスの夫との関係に悩み、ママ友の結奈は夫だけでは満たされない乾きを子どもの同級生の父親とセフレになることで解消している。親しいカフェバーのオーナーは、お客とセラピストという境界線を越えるほど女性風俗にのめり込んでしまった。

葵が「苦悩を抱え自己を見失った女性」であるように、彼女たちも現代の性や愛、家族との関係における女性たちの複雑な問題を象徴している存在だろう。それぞれの女性がどのような結末を迎えるのかにもぜひ注目していただきたい。

世間的な注目は集まりつつも、利用するとなるとまだまだハードルの高さを感じる「女性風俗」。

既婚女性が風俗を利用するというセンセーショナルな姿を描いた本作だが、女性が自分の幸せと満足を追求することの重要性を説いているように感じられる。

「妻ならこれぐらい受け入れて当然」「母親だからできて当たり前」が前提の日常の中で、女性たちは減点方式でジャッジされてしまいがち。だからこそ、自分だけは自分を受け入れ、肯定してあげたい。どれだけ周りに冷やかされようが、大切な自分を1番に愛してあげたい。

本作は迷える女性たちに、そんな前向きなメッセージを届けてくれるはずだ。

文=ネゴト/ あまみん

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