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Cody・Lee (李)さん「あたり前の暮らしを大切にしたくなる作品になりました」/アルバム『最後の初恋』インタビュー

  • 2024.6.21

暮らしの風景をていねいに描きながらも、なにげない瞬間をドラマに変えてくれるようなバンド・サウンドで人気のCody・Lee (李)のみなさん。最近は、海外でのライブ活動も精力的にこなし、人気をさらに拡大させている彼らが、メジャー2作めとなるアルバム『最後の初恋』をリリースしました。毎日の生活をより愛おしく感じられるような、聴きごたえのある仕上がりになっています。

4人でできることを妥協なく表現したアルバム

━━最近は海外でのライブ活動も精力的なみなさん。その反響に、日本との違いを感じることはありますか?
 
高橋響さん(以下高橋):最初に気づいたのは、曲の盛り上がりどころが地域ごとに違うなって。 日本はサビで手を上げて盛り上がるみたいな感じだと思うんですけど、タイだとエフェクティブで空間的な要素を感じる部分だったり、台湾はイントロみたいな。なぜかわかりませんが、盛り上がるポイントが異なるのは興味深いですね。
 
ニシマケイさん(以下ニシマ):僕は海外でライブするのが夢で、去年初めて台湾でパフォーマンスして以降、広州や上海、タイなどで公演が実現して、現地の友人もできました。そこで、さまざまな音楽に触れることもできて、今後の活動にいい刺激を与えてくれましたね。
 
 ━━さまざまな地域の生活ぶりを見ることで、日本の暮らしの特色を感じることもありましたか?
 
力毅さん(以下力毅):衣食住は、基本的に日本とは異なると思いましたね。 特にタイはご飯も美味しかったし、ファッションもリネンで作られた民族衣装みたいなものがあって。それは現地の生活や気候にあわせた理にかなったものであることを知ることができた。そういう暮らしの違いを体感できることも海外ツアーでできる喜びのひとつですね。
 
原汰輝さん(以下原):僕もご飯が好きなんで、食を通じて地域の民族・国民性を知ることができたのは収穫だったというか。いろんなカルチャーを吸収できた気がします。
 
高橋:彼(原さん)は、ひとりで朝ごはんを食べに地元の食堂に行っていたし、一番いろんなカルチャーを吸収していたと思いますよ(笑)。
 
 ━━でも、楽曲はどちらかと言えば日本の生活に根ざしているというか。グローバルなことを意識して作られているような印象がしませんでした。それらを海外のリスナーの方は、どうとらえているのでしょう?
 
高橋:海外のリスナーの方からは<聴いていると、自分は恋愛をする必要があると思うようになった>などのメッセージをいただくこともあって、暮らしぶりは異なる部分があるものの、根幹にある生活感、暮らしっていうのは大きくはそう違わないんだろうなって気づきましたし、それが海を越えて共感されるのは気持ちがいいなって思います。
 
 ━━そしてメジャー第2弾アルバム『最後の初恋』も、これまでと変わらない暮らしに根ざしたスタンスで制作されている雰囲気が伝わってきました。このアルバム・タイトルにはどんな思いがこめられているのですか?
 
高橋:タイトルに関しては、メンバーそれぞれに解釈を持っているのですが、それを誰かと共有する気持ちはなくて。リスナーそれぞれが自由に解釈してくれるのが、僕たちの理想。だから、あえて答えを明確にせず、考える余白を与えるようなタイトルをつけました。
 
 ━━本作では、バンドのどういう部分を表現しようと思いましたか?
 
原:メンバーがひとり減って4人編成になって、心境的に大きな変化がありながらも、これまでのバンドらしさを変わらずに表現していこうという覚悟を表現できた作品になったと思います。
 
力毅:制作当初は、それこそメンバーの抜けた穴をなんとか塞いでいこうという気持ちがあったのですが、レコーディングしていく過程で、この4人でできること、それを最大限に表現しようという気持ちに変化していきましたね。
 
 ━━気持ちのスイッチの切り替わりって、自然に起こったものだったのですか?
 
力毅:7曲めに収録されている『さよuなら』という楽曲が完成したときに、4人で制作して納得のいくいい音楽ができたと、声をそろえて言えたので、それが自信につながったというか。やりたいことを楽しんでやろうという心境に気持ちが切り替わって、バンドがよりよい方向に進んでいったと思います。
 
ニシマ:また、メンバーそれぞれが出す音に、強いこだわりをもって制作に臨めたような気がします。僕自身も、さまざまなベースやアンプを試しながら、楽曲にいちばんあう音色を妥協することなく追求しました。結果、自分のイメージしている音像をうまく描くことができたと思います。
 
 ━━確かに、楽曲にはそれぞれ色があって、強く個性を主張しあいながらも、全体を通すと不思議な調和がある気がしました。冒頭の「NOT WAR, MORE SEIKATSU」からラストの先行トラックにもなっている「生活」まで、<生活>というキーワードで構成されているような。
 
高橋:まさにその通りで。最初に、1曲目と12曲目を収録することが決まって、その間を埋めるものをどうしようかと話をしながら制作が進んでいきました。特にテーマを決めて作ったわけじゃないですけど、自然とこの2曲が今回のアルバムを集約するものになった気がします。

「生活」に根ざした音楽を追求している

右より高橋響さん、ニシマケイさん。

━━みなさんにとって<生活>というのは、楽曲制作におけるキーワードなのでしょうか?
 
高橋:ずっと僕たちは暮らし・生活に根ざした楽曲を制作していて、だから「生活」をタイトルにした楽曲を発表することに、ハードルの高さを感じていました。それを名乗るためには、自分たちが納得のいく生活の音を表現しなくてはいけないと。ここでようやく、今まで表現したくてできなかったことを、納得するカタチで描くことができたと思えるようになれた。この楽曲を完成できたことが、バンドにとって大きなターニング・ポイントになったのかなって。
 
 ━━すると、描く生活の視点も変化があったのですか?
 
高橋:今までと変わらない視点を持ちながら、どう音にしたらみなさんに届くかっていうことをすごく考えるようになれました。結果、アルバム前半は淡々とした雰囲気で、後半になるにつれ景色が展開されていき、最後にまた静かに戻っていくという構成になりました。それは、(意識せずに)自分の生活を表しているみたいだなって思いましたね。
 
力毅:前作から比べると、より身近な出来事や感情にフォーカスしているというか。自分が大切にしたいこと、リスナーに届けたい思いがより伝わってくる歌詞になっているのかなと。
 
 ━━原さんは「真夏のジャイガンティック」を作詞・作曲されていますね。
 
原:響(高橋さん)とは異なる、生活の歌を作ろうと思って制作したものです。前作に収録した「冷やしネギ蕎麦」のアンサー・ソングというか。そこから歌詞を発展させた、楽曲の主人公がいま思っていることを表現したというものになりますね。
 
 ━━また、「ほんの気持ちですが!」は、お笑い芸人のアルコ&ピースさんとの番組共演がきっかけで作られたものだとか。
 
高橋:僕が、いま今生きている人間の中でいちばん好きと言えるくらい、アルコ&ピースさんのファン。あるときに、番組にゲスト出演するにあたり、弾き語りで楽曲を披露しませんか?と言われて演奏したのですが、緊張で力が入ってしまいまして……。ちゃんと思いを伝えることができなかった。きちんと気持ちを伝えなければと思い、書いたのがこの楽曲です。完成したものを、平子祐希さんに聴いていただいたところ、大変お褒めいただいたので、なんかもうそれで心が満たされた気分になったので、今回収録しました(笑)。
 
 ━━ほかにも、バンドのさまざまな表情や可能性が伝わってくるアルバムに仕上がっていますね。
 
ニシマ:収録曲に「ストロベリーエンジェル ~Don’t Say Goodbye~」という楽曲があるのですが、個人的にはいちばん攻めている感じがします。今までにないキャラクターを表現できたような気がしていて、これができたら今後なんでもできそうだなって自信が生まれました。まだまだやっていないジャンルの音楽にも挑戦したいですね。
 
 ━━ちょっと昭和ポップスな雰囲気もありますよね。また、アートワークにもこだわりを感じます。
 
力毅:今回は、スマホで聴いていただくだけでなく、実際に手にとって楽しんでいただきたい思いが強いので、作品を手にすることによって、より生活になじむようなものにしたかった。なので、ジャケットを含めたアートワークにもこだわっています。ぜひCDでも楽しんでいただきたいですね。

それぞれの<暮らし>へのこだわりは?

右より力毅さん、原汰輝さん。

━━暮らしと密接したアルバム。どんなシチュエーションで楽しめそうですか?
 
高橋:あたり前と思っている日々の暮らしにおいても、視点を変えると面白いと感じる場面はたくさんあると思う。それに気づき、もっと暮らしを大切にしたくなる気分になっていただけたら幸いです。
 
 ━━最後に。みなさんのふだんの暮らしで大切にしていることはありますか?
 
力毅:僕は服が好きで、ミュージック・ビデオの衣装など全て自分でスタイリングしています。だから、毎日着るものも大切に考えていて、洋服に執着と愛着を持つことによって、生活が彩り豊かになるような気がします。
 
 ━━洋服の管理とか大変そうですね。
 
力毅:メンズやレディース問わずたくさんあります。基本しわになっていいものはたたんで、そうでないものはタンク付きのスチームアイロンをかけて、収納しています。タンク付きは、脱臭効果も高いので、みなさんにもおすすめしたいですね。
 
ニシマ:僕は、家族とのコミュニケーションを大切にするようになったりだとか。些細なことでも、今まで面倒で後まわしにしてきたことに対してていねいに接するようになりましたね。
 
原:最近は、食べ物、飲み物、音楽、光、香り、この5つを大切にしていて。たとえば、休日の午後ならばお気に入りのコーヒーを自分で淹れて、光を浴びながらレコードを聴くみたいな。心がときめく時間を作るように心がけていますね。
 
高橋:最近、お酒を飲むのをやめてから、体の調子がよくて。お酒を飲むことで、リラックスできるならばそれはそれで素晴らしいことだと思いますが、僕はやめたことで自分を深く理解できたし、ねぎらえるようになれた。それがいい効果をもたらしていると思います。

アルバム『最後の初恋』

Cody・Lee(李)
¥5,600/ソニー・ミュージックレーベルズ
now on sale

メジャー第2弾となるアルバム。ドラマの主題歌に起用された「涙を隠して(Boys Don't Cry)」や「さよuなら」、映画主題歌「イエロー」といった話題曲なども収録された、バラエティに富んだ構成。スタジオ・ライブ・セッションなどを収録したブルーレイ付きの完全生産限定盤。

PROFILE

こーでぃ・りー/メンバーは、高橋響(Vo&G) 、力毅(G) 、ニシマケイ(B)、原汰輝(Dr)。2022年にメジャーデビュー。9/29~全国ツアー 「Cody・Lee(李) Major 2nd Album Release TOUR “I want to be a flower”」がスタート。11月17日には、東京・EX THEATER ROPPONGIにて公演。  

https://codyleeofficial.com/ 

Photograph:Miho Kakuta hair&make-up:Takahiro Suganuma text:Takahisa Matsunaga
 
リンネル2024年8月号より
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