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【30代のお悩み】「結婚してない、仕事も普通、子どももいない。何者でもない自分にモヤモヤ」【臨床心理士が解決】

  • 2024.6.20

世の中の「幸せとはこう!」は気にせずに、自分にとって良い選択を。

Yuri_Arcurs

妻、母、キャリアウーマン。そのどれでもない私......

相談者Hさん:何者でもない自分にモヤモヤする時があります

30代前半の会社員で事務職をしています。私は特に何か資格を持っているわけではなく、これが強み!といったものもありません。プライベートでは、お付き合いしている人はいますが、結婚はしていませんし、今のところその予定もありません。年齢的に、周囲の友人たちは、結婚したり、出産する人も増えてきました。妻でもなければ、母でもない。でも、だからといって、現状に大きな不満があるわけではありません。でも、30代にもなると、家族を作るのか、仕事で出世などステップアップを目指すのかなど、みんな変化が出てくる頃だと思うのですが、何者にもなれない、進む方向が見えていない自分に対してモヤモヤする時があります。どうすればこのモヤモヤから抜け出せるのでしょうか?

臨床心理士・南さん:「自分はどうありたいのか」を考えてみよう

Hさん、お悩みを寄せてくださりありがとうございました。女性の場合は、20代中盤あたりからライフイベントが枝分かれしてくる時期ですよね。

妻や母、キャリアウーマンなど「何者か」という肩書きを手にしている人たちを目の前にして、「私はこれでいいのか?」という気持ちになるのも共感できます。

しかし、普段いろんな女性のお悩みを聞く中で感じるのは、世の中のいう「何者か」になった人であっても、何かしら悩みやモヤモヤを抱えていたり、一見幸せそうに見えていても、表には出していないだけで葛藤しながら日常を送っている人が多いんだなぁということです。そういったお悩みを聞いていると、何者かになること=幸せとは限らない、大事なのは、「自分はどうありたいと思っているのか」ということなのではないかと感じます。なんだか哲学的な問いになってしまっていますが(笑)。

もしHさんが今、モヤモヤの気持ちを感じているのであれば、一度「自分はどうありたいのか」というのを考えてみると、少し気持ちが晴れてくるのではないかなと思います。そこで、自分がどうありたいのかを考える上でサポートになりそうなことをいくつかご紹介したいと思います。

blackCAT

自分のあり方を考える上でサポートになること

(1) そこそこ良いところ、そこそこ楽しいことを明らかにする

紙に書き出してみてもいいし、スマホを活用するのでもなんでも良いのですが、自分の良いところ、やっていて楽しいこと・心地よいことを書き出してみてください。ここでポイントになるのが「そこそこ」のレベルで考えてみること。良いところや楽しいことって考えるとハードルが上がってしまいがちですが、「そこそこ」という言葉がつくだけで、浮かびやすくなってくると思います。

(2) これまでを振り返ってみる

自分を理解するために、時には一度立ち止まってこれまでを振り返ってみることも大切です。これまでの生きてきた中で、どんなことをしている時が充実していたか、楽しいと思える時の共通点は何かについて考えてみたり、反対に、モヤモヤした時にどのように乗り切ってきたのか、今回のモヤモヤとの違いや共通点はないか、といった視点で振り返りをしてみると、今後どのように過ごしていくかに役立つヒントがえられるかもしれません。

(3) 価値を見つける

心理療法のひとつであるACT(アクセプタンス・コミットメント・セラピー)では、人生の満足度を高めるために、自分の価値観に沿った行動を取ることが大切だと言われています。価値観が明確になっていないと、迷うことが多く、不安になったりストレスを感じる機会が増えてしまいますよね。そこで、ACTの中で使われるワークのひとつ、【80歳の誕生日】をご紹介します。

【80歳の誕生日のワーク】

1.気持ちがリラックスでき、落ち着いて行える環境を整えましょう。

2.あなたが80歳の誕生日を迎えた場面を想像します。誕生日パーティーが開かれていて、家族や友人、同僚など、あなたにとって大切な人たちが目の前に集まっています。その場で知り合いの数人が、「あなたはどんな人だったか」「どんなことを大切にしてきた人だったのか」「他の人にどんな影響を与えてきたのか」とった内容でスピーチをしてくれることになりました。その時に、あなたはどんな風に彼・彼女らにスピーチしてもらいたいと思いますが?書き出してみましょう。なるべく具体的に書くと良いです。

2で書き出した内容は、自分の中に持っている、「こうありたい」という価値観であることが多いです。書き出したら、その価値観と現在の自分の行動と比べてみたりして、どのような行動を取るとそのスピーチの内容の自分に近づくのか、考えてみましょう。

(4) ロールモデルを見つける

ロールモデルとは、仕事やプライベートを送る上で、考え方や発言、行動など「この人のようになりたい!」と思うようなお手本になる人のことです。ロールモデルがいることで、自分がどうなりたいのか、そのために何をするといいのかが明確になるというメリットも。例えば、職場の上司や先輩、家族や友人、学生時代の先輩といった身近な人を観察したり、実際に話を聞いてみる。あるいは、気になる人の書籍や講演を聞いてみるのもいいと思います。また、できるだけ複数のロールモデルを見つけることで、より自分にフィットする価値観を見つけられるかもしれません。

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自分にとって良い選択をしていこう

SNSなど他人の生活を知るのが身近になっているからこそ、人と自分を比べてモヤモヤする機会も一度や二度ではありませんよね。そんな時代だからこそ、周囲の状況と境界線を設けて、「私はどうしたいのか」とか「私にとって良い選択は? 」など、【私】を主語にして問いかけていくことを習慣にする必要があるのかも。Hさんの中で大切にしたことが分かり、それに合った過ごし方をしていけると良いですね。応援しています!

 

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