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“ホラー愛”あふれるセントチヒロ・チッチが「想像を超えてきた!」と語る『ザ・ウォッチャーズ』とは?

  • 2024.6.19
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M.ナイト・シャマラン監督がプロデューサーを務め、彼の愛娘イシャナ・ナイト・シャマランが長編映画監督デビューを飾る『ザ・ウォッチャーズ』(6月21日公開)。謎に包まれた本作をひと足先に鑑賞したアーティストのセントチヒロ・チッチは、「なにからなにまで想像を超えてきて、『こんな展開もあったんだ』とずっとワクワクが止まりませんでした!」と大興奮の様子で魅力を語り始める。「実は、予告編を観た時からずっと楽しみにしてきたんです。ホラー映画としてしっかり恐怖を与えてくれるし、まったく期待を裏切らない。かなり満足度が高かったです」。

【写真を見る】絶句…“ウォッチャーズ”のおぞましい正体は●●●●!

※以下、物語の核心に触れる部分は、「●●●●」のように伏せ字で表記いたします。

「未知のものへの恐怖心を大事にしています」

2015年に“楽器を持たないパンクバンド”BiSHのメンバーとして活動を開始したチッチは、2023年6月の同グループ解散後、加藤千尋名義で女優としても活動。またグループ在籍中からCENT名義でソロプロジェクトにも勤しむなどマルチに才能を発揮している。そんな彼女には、自他共に認める無類のホラー好きというもう一つの顔がある。

M.ナイト・シャマランの娘イシャナが長編監督デビュー!ガラス張りの部屋で待つ恐怖とは [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
M.ナイト・シャマランの娘イシャナが長編監督デビュー!ガラス張りの部屋で待つ恐怖とは [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

「私にとってホラー映画は“電子レンジ”のような存在。加熱しないと得られないような感覚や知り得ないものがあって、それを温めてくれるものがホラー映画なんです」と独自の表現で愛をあらわに。「未知のものを観ることで味わう恐怖心は、人間にとって本来あるべき衝動のようなもの。そこで湧きでてくる喜怒哀楽の感情や、怖いものをちゃんと怖がることを特に大事にしているんです」。

もちろん四半世紀にわたってホラージャンルを牽引してきたM.ナイト・シャマラン監督の作品に対しても愛情たっぷり。「お父さま(M.ナイト)の作品は全作品観ているぐらい大好きです。なかでもお気に入りは『ヴィジット』で、祖父母という身近にいる存在であっても、想像できないことをしていると恐怖につながるんだと知りました」と声を弾ませる。

【写真を見る】絶句…“ウォッチャーズ”のおぞましい正体は●●●●!
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熱心なシャマラン監督好き=“シャマラー”であるチッチは、娘のイシャナ監督が手掛けた本作を観るにあたって、いわゆる“シャマラン節”をしっかりと受け継いでいるのか注目していたのだとか。「物語の奥深さや、ただ怖いことをしようとしていない感じはお父さまの作品からの影響を感じる部分です」と太鼓判。

「お父さまの作品では聖書や歴史といったアカデミックなものを織り交ぜていることが多いと思いますが、本作でも●●●●と●●●●の歴史がカギになる。もちろん映画のなかでのことなのですが、私は『どこかの国で本当にあったことなんじゃないか?』と感じ、遠い国の歴史に触れたような気持ちにさせられました」。

サプライズに次ぐサプライズに、“シャマラー”も大満足! [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
サプライズに次ぐサプライズに、“シャマラー”も大満足! [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

そして「お父さまはよくご自分の映画に出てくるので、イシャナ監督もどこかに出ているはずと探したのですが、見つからなかったですね…(笑)。もしかしたら私が気付けなかっただけなのかも」と、“シャマラー”らしい楽しみ方も欠かさなかったようだ。

「もし死ぬのを待つだけだとしたら、生き残る術を探していきます」

イシャナ監督はまだ10代の頃に、父が製作総指揮を務めたApple TV+シリーズ「サーヴァント ターナー家の子守」で脚本と監督を務めて映像業界デビュー。『オールド』(21)と『ノック 終末の訪問者』(23)では、第二班監督を務めて経験を積んだ。まだ24歳である彼女の才能に、チッチは特に大きな驚きを味わったと明かす。

現在24歳のイシャナ・ナイト・シャマランは父の現場でその才能を磨いてきた [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
現在24歳のイシャナ・ナイト・シャマランは父の現場でその才能を磨いてきた [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

「本当にその年齢で撮ったの!?と思ってしまうほど感性が大人びていて、ストーリーも想像以上に壮大。やっぱりお父さまのことを尊敬していて、現場で多くのことを学んできたのかなと感じました。同時に、序盤での主人公の行動に若い女性としてのリアルさが感じられたり、音楽の使い方にカルチャーへの造詣の深さがあらわれていたり、20代だからというよりもイシャナ監督自身のセンスのよさが発揮されていたように思いました」。

森のなかに佇む“ガラス張りの部屋”に閉じ込められた4人の男女が、毎夜現れる謎の“監視者”の恐怖に襲われるさまを描く本作は、父譲りのサプライズに満ちた展開の妙味も相まって、既存のホラージャンルの常識を覆すような一本だ。物語はダコタ・ファニング演じるミナが届け物をするために車を走らせ、森のなかへ彷徨い込んでしまうところから始まる。日が落ちかけ、周囲に不穏な空気がただよいはじめた時、声に導かれてとある部屋の中に逃げ込むミナ。そこで彼女は3人の見知らぬ男女と出会う。そして「“監視者”に背を向けてはいけない」「決してドアを開けてはいけない」「常に光の中にいろ」という3つのルールを一つでも破ったら死に至るという、不条理な恐怖を味わうことになる。

彼らには守らねばならない3つのルールが… [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
彼らには守らねばならない3つのルールが… [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

「部屋の外に閉め出されるシーンがあるのですが、徐々になにかが迫ってくる感じが特に怖くて、ああいった鬼気迫る瞬間は映画館で観ていると自分も登場人物の一人になったような気がして心臓がバクバクしてくるんですよね」と、恐怖を感じながらもすっかり本作の世界へと没入していたチッチ。

「中盤以降の●●●●に入ってからのシーンもかなり怖くて、なにもはっきりしていないまま進んでいく不安感。ずっと『なにかが出てきたらどうしよう…』と思いながらスクリーンに釘付けになっていました。途中までほとんど人が●●●●から逆に不安になってしまったり…。ここで終わっちゃうのかな?と思ったらまた二転三転。でも『こうなってほしい!』という方向に全部行ってくれるので、ホラー好きとしてうれしいことずくめでした」と満面の笑み。

もしも本作の世界に入り込んで、ミナと同じ状況になったら?と訊ねてみると、チッチは「ミナと同じような行動を取るかもしれません」と即答。「同じことを繰り返したままで平凡に死にたくはない。もしこの3つのルールを守りながらただ死ぬのを待つだけなら、ゲームを攻略するような気持ちで生き残る術を探していきます。まずはルールをどうやって破るかと、破ったらどうなるのか試してみるところからですね(笑)」。

「映画が怖かった時の“喜び”は、誰かと分かち合いたい!」

幼少期からホラーの魅力に取り憑かれていたというチッチ。「ホラーを苦手だという人も多いですが、相手が好きか嫌いか関係なく話題を振ってしまうので、嫌がられることもあります(笑)」と、ホラー好きならではの悩みを吐露。「でも、たまにホラー好きな人を見つけるとすごくうれしくて。最近は同じ趣味の仲間が少しずつ増えてきたように感じています」。

観たら誰かと話したくなるかも!ホラー好きに刺さる要素がいたるところに [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
観たら誰かと話したくなるかも!ホラー好きに刺さる要素がいたるところに [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

彼女はM.ナイト・シャマラン監督以外にも、清水崇監督やアリ・アスター監督、ブラムハウス・プロダクションズの作品のファンでもあるという。「学生の頃にレンタルビデオショップでアルバイトをしていて、その頃に清水監督の『呪怨』のオリジナル版と出会いました。当時はとにかく怖いものを求めていたんですが、その期待を上回るぐらいの衝撃があって。最近の清水監督の作品だと、『恐怖の村』シリーズも好きですけど、昨年の『ミンナのウタ』は『呪怨』っぽい要素がたくさんあって、本当に怖いと思いました」。

さらに「いまはアジアのホラー映画にも注目しています。タイと韓国の合作だった『女神の継承』とか、笑いながら追いかけてくるゾンビが良かった『哭悲/THE SADNESS』とか、あと『コンジアム』も好きで。怖いホラー映画を観ると、とにかくうれしい気持ちになるんですよね」と話すなど、常にアンテナを張っているようだ。

はたして謎の“監視者”の正体とは… [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED
はたして謎の“監視者”の正体とは… [c]2024 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED

自身にとって“名作”といえるオススメの作品について尋ねると、ロブ・シュミット監督のサバイバルホラー『クライモリ』(03)を挙げる。「少し前の作品ですが、スリルがあって大好きです。ちょっとグロテスクなシーンもありますが…。シリーズ作品やリメイク版もあるので、是非チェックしてみてください。また、『THE 4TH KIND フォース・カインド』もSF要素が強いところが特徴的で、オススメの作品です!」と、ホラー愛が止まらない。

普段からSNSや鑑賞記録アプリを駆使してホラー映画の情報を収集したり、友人からオススメの作品を聞いたりと、新しい恐怖との出会いに前のめりなチッチ。多忙を極めるなかでも、期待している作品は映画館で観ることを心掛けているという。「一人で観に行くのもいいんですけど、やっぱり本当に怖かった時の“喜び”は誰かと分かち合いたい。なので、ホラー映画は友だちと観に行くようにしています。実は『ザ・ウォッチャーズ』も友だちと観に行く約束をしていたので、2回目を楽しみたいと思います!」。

そして最後に本作について「怖いシーンもあるけれど、映画として美しいものがたくさんあります。人間としての弱さとか、人間同士の関わり合いの美しさとか。だから『怖いから、ホラーはあまり観たくない』という人にもチャレンジしてほしい。もし怖くなったら目をつむって耳を塞いで、ちょっと逃げてもいいんです。絶対に後悔しないおもしろさがあることを保証します!」とアピールした。

取材・文/久保田和馬

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