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我が子に見つからないようキッチンの床で隠れて食べる朝食。ハプニングまみれの子育てエッセイに共感の嵐!

  • 2024.6.19
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お腹を痛めて出産した我が子。ようやくこの世に誕生! と思いきや、ここからが長く大変な、そして嬉しくも幸せな育児の日々の始まりだった――。

子どもを生み育てた、特に男の子のお母さんであればなおのこと共感ポイントも満載。そんなドタバタな育児の毎日を軽妙なタッチのエッセイとして描いたのが、『こんなはずでは系育児』(chiiko/竹書房)である。

著者であるchiikoさんの妊娠出産、そして子育ては「こんなはずでは」の連続だったそう。結婚式を計画し始めた途端発覚した妊娠、女系家族の中でまさかのレア男児。早産気味の中で結局出産したのは予定日当日、想像より10倍痛かった出産、その出産よりさらに大変だった産後…。

そんなさまざまな「予定外」の中、無事産まれた長男・ぐっちゃん。ある程度の予想はしていたものの、やっぱり子育ては思っていた以上に大変で、ままならないことばかり。

その中でも我が子の可愛さや、ある意味男の子ならではのやんちゃさ故に起こったハプニングなど。子育てをする多くのお母さんが通ってきたであろう道のりが、著者ならではの視点と筆致で描かれている。

本作には、いわゆる子育てを経験したお母さんたちにとっては「あるある」なエピソードがたくさん。子育ての経験をした人は自分と照らし合わせつつ楽しめ、一方で子育ての経験がない人にとっても、子どもを育てる楽しさと理不尽さ、両方がよく伝わる内容となっている。

しかし、ユニークなのは、大勢の子育て経験者が共感できる部分も多い一方で、当然ながら一から十までまったく同じ事件が起こる家はない点だ。本作で描かれているようなぐっちゃんが起こしたようなトラブルが起こらなかったとしても、そのかわり、うちではこんなことがあって…。そう思わず自分の子育て時代の珍事件を話したくなるような、エッセイを読んでいてそんな気持ちになる子育てママもきっと多いに違いない。

中には今まさに、自分の子どものさまざまな成長を嬉しく感じつつも、どうしようもない部分に手を焼いたり、子育てが嫌になる…と日々奮闘しているお母さんもいることだろう。

同じように子育てに奮闘するママ友がいれば悩みを共有できたりもするし、夫や家族が味方になってくれる人もいる。しかし育児の大変さを、なかなか他に共有できないという人もきっといるはずだ。

本エッセイはそんな人にとって、子育ての悩みを共に抱え、支えてくれる存在ともなってくれる。この世に生まれてまだ1~2年しか経っていない我が子。それは同時に、著者も作中で語る通り、母親もまたこの世で1~2年しか親の経験がないということだ。

いろんなことに不慣れで、上手くいかないことがたくさんあるのも当たり前なのである。

自分の子育てではできないこと、大変なことがたくさんで、辛い思いをすることも多いかもしれない。だが、こうして本作のように第三者の目から誰かの子育てを見ると、思わずくすりとするような出来事や、笑い事ではないけれど思わずおかしくて笑ってしまう。そう思えることもたくさんある。それに気付くだけで、きっと多少は子育てへの悩みが楽になるはずだ。

子どもがいない人には、育児の大変さや楽しさ、そして何より子どもの可愛らしさを、そして今まさに育児に励む人には、「頑張りすぎないでいい」と、肩の力を抜くような応援をくれる本エッセイ。

どんな人が読んでも楽しめる独特のユルい空気感から、ぜひ多くの人に”ぐっちゃん”の成長を本作から感じたり、子育ての空気感を味わったりしてみて欲しい。

文=ネゴト/ 曽我美なつめ

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