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【旬のオクラ】なぜ塩でこする?理由と3つのメリット「板ずり」のポイントを栄養士ライターが解説

  • 2024.6.19

なぜオクラは塩でこする必要があるの?

オクラのイメージ
オクラのイメージ

夏が旬の「オクラ」は、断面の星形が愛らしく、子どもにも人気の野菜の一つ。ところで、オクラに塩をまぶして手でこするか、まな板の上で転がす「板ずり」をしてから、調理をするのが良いとされています。オクラを塩でこすることには、どんな意味や理由があるのでしょうか?

理由(1)表皮をなめらかにして口当たりを良くするため

▲オクラのうぶ毛。鮮度の良いものは意外とチクチクします。
▲オクラのうぶ毛。鮮度の良いものは意外とチクチクします。

オクラは表皮をむかずに丸ごと食べられる野菜です。その表皮には無数の「うぶ毛」が生えていて、うぶ毛が多いほど鮮度が高い証しとされています。特に、旬の出始めの時期にあたる6?7月のオクラは生でもおいしく食べられるほど新鮮ですが、うぶ毛の存在感も強め。何も下処理をせず、そのまま口にすると、うぶ毛が唇や口の中に当たってチクチク感じるなど、違和感が残る場合があります。塩をまぶしてこすったり、板ずりをしたりすることで、うぶ毛が取れて食感が良くなります(すべてのうぶ毛が取れない場合もありますが、しんなりとして気にならなくなります)。

理由(2)緑色を鮮やかに発色させるため

▲下処理の塩には、鮮やかな緑色を保つ働きも。
▲下処理の塩には、鮮やかな緑色を保つ働きも。

オクラは緑黄色野菜で、緑色は葉緑素(クロロフィル)と呼ばれる色素によるもの。クロロフィルは熱に弱く退色(色が悪くなる)しやすいのですが、塩にはクロロフィルの色素を安定させて退色を防ぐ働きがあるので、塩を加えてゆでると鮮やかな緑色に仕上がります。オクラの場合は、板ずりの塩がついたまま、沸騰した湯に入れ、ゆでればOK。なお、クロロフィルは高温の状態にしておくと変色しやすいため、鮮やかな緑色になったら引き上げ、手早く水にくぐらせると色止めになり、美しい緑色を保つことができます。ほうれん草やブロッコリーもクロロフィルが豊富な緑黄色野菜なので、ゆでる際に塩を加えると鮮やかな緑色に仕上がります。

理由(3)表面に細かな傷がつき、味がしみこみやすくなる

▲ゆでたオクラをトマトと一緒に出汁しょうゆで一晩浸した「出汁浸し」は、味のしみこみを実感できる料理の一つ。
▲ゆでたオクラをトマトと一緒に出汁しょうゆで一晩浸した「出汁浸し」は、味のしみこみを実感できる料理の一つ。

板ずりや塩でこする最後のメリットは、料理をしたときの味のしみこみやすさ。うぶ毛取れて表面が滑らかになるだけでなく、表皮の組織に目には見えにくい細かな傷がつき、味がなじみやすくなります。細かく刻んで食べる場合はメリットを感じにくいのですが、丸ごと1本使った“出汁(だし)浸し”や豚肉巻き、炒めものなどの料理する場合はご参考に。

オクラを塩でこする「板ずり」と「ゆで方」のポイント

<板ずり>・オクラのヘタの先とガクを包丁で取る。・オクラをまな板の上に並べる。・オクラ1パックに対して小さじ1程度の塩をオクラの上にまぶす。・両手でオクラをまな板に軽くこすりつけるようにゴロゴロ前後に転がす。

<ゆでる場合>・沸騰した湯に、板ずりしたオクラを入れ、1分半程度を目安にゆでる。途中で上下を返すと火の通りが平均的になりやすい。・オクラの緑が鮮やかになったら湯から引き上げ、水にくぐらせて冷まし、ザルにとって水気を切る。

▲筆者の実感として、板ずりに使う塩は少し多めの方が、美しい緑色にゆで上がる気がします。
▲筆者の実感として、板ずりに使う塩は少し多めの方が、美しい緑色にゆで上がる気がします。

オクラの本数が少ない場合は、塩をまぶしたオクラを1本ずつ手に取り、指でこすっても。また、生で食べる場合、ゆでずに炒める場合は板ずり後に塩を水で洗い流して水気をふいてから刻むなどして食べてください。

まとめ

塩をまぶしてこする下処理は面倒に感じるかも知れませんが、このひと手間をかけると、口当たりの良さ・色の鮮やかさ・調味のしやすさが格段にアップします。旬のオクラをおいしくいただくために、手間を惜しまないようにしていただけたら嬉しいです。続編では、オクラの栄養についてクローズアップします。

※参考文献:下村道子・和田淑子編著『新調理学』光生館,2019、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、レジア編『日本の食材図鑑』新星出版社,2018

(野村ゆき)

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