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「大丈夫」というウソ。それでもわたしはそうやって生きていく

  • 2024.6.19
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「全然大丈夫!」なぜそうやってウソをついて強がってしまうのだろう。わたしは明るくて、エネルギーに溢れていて、いつも笑顔の子。自分でもそう振る舞うように意識しているし、きっと周りの人からもそう思われているだろう。

◎ ◎

4月。新年度が始まり、身の回りの環境も変化した。社会人2年目は仕事が去年よりも増え、やりたいこともできることも増えた。先輩からは「去年と同じじゃダメだからね。もちろん仕事も増やすからね」と言われた。それは当たり前だ。現状維持は後退だ。成長したいし、もっと頑張らないと。そう意気込んで2年目がスタートした。

わたしは山村留学関係の仕事をしているので、また4月から新たな留学生がやってきて、暮らしがスタート。去年と雰囲気もガラッと変わった。どんな1年になるのだろうか、とてもワクワクしていた。

しかしなぜだろう。4月も中旬。辛い。全部全部頑張りたいのに、頑張れない。仕事にうなされ夜も寝られなくなり、食欲も失せて3キロほど体重が落ちた。おかげで目の下のクマもすごい、きっと酷い顔だっただろう。そして常に心の奥底には『死にたい』『このまま存在ごと消えてしまいたい』。そんな想いをもったままどんどん内に引きこもっていく。

仕事も楽しくないし、人にも会いたくない、全部がうまくいかない。わたしはどうしてしまったのだろう、なんでこんなに辛いんだろう、どうすればいいのだろう。わたしがわたしでなくなるようで怖い。これからどう世の中を歩んでいけばいいかが全くわからなくなってしまったのである。

しかし職場では、子どもたちの前では、全然大丈夫だし、もっと頑張れる。そして毎日楽しい。そんな様子で過ごしてしまう。なんで「辛い」「どうすればいいかわからない」と表現できないのだろう。

◎ ◎

どうにかしなきゃと思い、YouTubeでうつ病や適応障害のチャンネルを見ているうちに、わたしは適応障害なのでは?と思い始めた。でも自分じゃ判断できない。精神科に行くのはハードルが高すぎる。そうしてまたどうすることもできなくなってしまった。

でもそんなことも言ってられない、どうにかしなければ。そう模索しているうちにオンラインの精神科診断にたどり着いた。オンラインならいけるかもしれない。そう思い受診を申し込んだ。

いざ診察の日。辛いとちゃんと声に出して伝えよう、そう思っていた。しかし実際は無理だった。「死にたい、消えてしまいたいと思うんです」そんなこと言えなかった。「軽度の適応障害ですね。あなたならすぐに立ち直れると思いますよ。またどうしても辛かったらお話しにきてくださいね」そう言われるのを、真っ暗な心で聞いていた。

どうしてわたしはこんなにも「辛い!助けて!」と言えないのだろう、どうして「大丈夫です」と答えてしまうのだろう。そんな自分に絶望した。

◎ ◎

時は過ぎ、もう6月に入る。書ききれないくらいにたくさんのことが起こり、環境もメンタルも大きく変化した。今は本当に「大丈夫」になった。あの暗黒のように辛かった時期から這い上がり、ちゃんと楽しいと心から感じられている。

そしてあの時期を振り返って思う。きっとわたしはこの先もどんなに辛くても「大丈夫」とウソをついてしまうのだろう。今はそんな不器用な自分が、愛おしい。きっとわたしはこれからもこうやって生きていくのだ。

■雲和のプロフィール
人口1000人のまちで田舎暮らし。子どもの「生きる」に寄り添います。好きなことは、日光浴と食べること。

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