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面白すぎて放心状態に…史上最高のスーパーヒーロー映画(3)世界に衝撃…重厚なサスペンスで絶賛されたのは?

  • 2024.6.19
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ローリー・ジュピター / シルク・スペクターII役を演じたマリン・アッカーマン【Getty Images】

マーベル・コミック、DCコミックスをはじめ、長年根強い人気を誇っている「スーパーヒーロー映画」。”勧善懲悪もの”は勝利することが分かっている。なのにハラハラしてのめり込み、観終わった後に「正義とは何だろうか…」と哲学に耽ってしまう。今回はそんなスーパーヒーロー作品をピックアップしてお届けしたい。第3回。(文・ジュウ・ショ)

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『ウォッチメン』(2009)
製作国:アメリカ
監督:ザック・スナイダー
脚本:デヴィッド・ヘイター、アレックス・ツェー
キャスト:マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、マシュー・グッド、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジェフリー・ディーン・モーガン

【作品内容】

1930年代、アメリカには犯罪と闘うマスクヒーロー「ミニッツメン」が現れた。彼らは様々な運命を辿り、多くが姿を消した。数十年後、超能力を持つ第二世代のヒーロー「ウォッチメン」が結成され、アメリカ政府に利用されて歴史的事件に関与する。しかし、政治的な動きにより、ウォッチメンは非合法化され、世界は核戦争の危機に瀕する。コメディアンの死をきっかけに、ウォッチメンは再集結する。

【注目ポイント】

『ウォッチメン』はDCコミックス発のスーパーヒーローものの映画作品だ。他のヒーローものと比べて、とてもシリアスで社会派な内容となっている。

単純な勧善懲悪ものの作品ではない。ヒーローで構成されるチームのなかでも汚職があり、それを誰が見張るのか……いったい誰が正しいのか……という深い意味での「正義とは」に言及した作品だ。

原作コミックは、1986年から1987年にかけて発表された。この評価がとても高い。同じくDCコミックスの『バットマン』とともに、それまでのきらびやかなヒーロー像を一変し、現実主義で暗い雰囲気のものに変化させた重要な作品だ。

当時のアメリカでは成人読者の「コミック離れ」が進んでいたが『ウォッチメン』によりコミックスに帰ってきた……とまで言われる名作である。

そんな『ウォッチメン』の実写映画は2009年に公開された。まず今作の映画化については、1980年代から2000年代に至るまで、議論が交わされてきた。しかし難易度が高く、なかなか実現しなかった。

そんな作品を実現したのが『300』(2006年)で有名なザック・スナイダー監督だ。まずはこの作品の実写化に成功しただけですごい。しかし当時、興行的には振るわない結果となった。

その背景としては先述したように「リアル過ぎた」という点がある。2000年代当時のスーパーヒーローものは、まだ「正義とは何か」というシリアスなテーマではなく「わかりやすい勧善懲悪もの」が求められていた。そんななかで『ウォッチメン』は少し現実主義過ぎたのだ。

しかしその後『アベンジャーズシリーズ』により、こういった深い意味での”正義”を問う作品は人気となった。

自身も『バットマン ビギンズ(2005年)』や『ダークナイト(2006年)』といったスーパーヒーローもの作品を撮ったクリストファー・ノーラン監督は、2023年に「『ウォッチメン』は時代を先取りし過ぎた。『アベンジャーズ』の後に公開されたら、もっと魅力的だったと思う」とこの作品を再評価している。

こうした状況も踏まえて『ウォッチメン』はアメリカのスーパーヒーローもの映画のなかでも、とても重要な作品として掲げたい。

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