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アレッサンドロ・ミケーレによるヴァレンティノの初コレクションが急遽発表──「私は私のままで、服を作り続けていく」

  • 2024.6.18
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。

アレッサンドロ・ミケーレの途方もない創造性がヴァレンティノVALENTINO)で開花した。ローマで誕生したメゾンのクリエイティブ・ディレクターに任命されてわずか2カ月。ごく一部のエディターとの緊急Zoom会議を開き、「Avant les Débuts」と題した初となるリゾートコレクションを発表した。171の全ルックとシューズバッグ、とりどりのアクセサリーの画像93枚を思い出の品が所狭しと並ぶ自宅の一室からリモートで公開したミケーレは、終始リラックスした様子で、いかにして自分が「ヴァレンティノの魔法」にかかったかを熱心に説明した。「素晴らしい宝物が眠るアーカイブ」を出発点に制作を始め、ヴァレンティノという強烈な世界に誘惑され、のめり込んでいるとも。

ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。

ミケーレは当初、特に大々的な発表はせずにリゾートコレクションを店頭に並べることを考えていた。しかし、ここ数日で気が変わった。「就任したとき、ヴァレンティノはオーケストラのようなものだと思い制作を始めました。みんながそれぞれの『楽器』にとても愛情を持って、ひたむきに演奏している。休むことなくコレクション制作に打ち込んでくれた人たちに、感謝の気持ちを表するべきだと思ったのです。私の役目は、ひとつひとつの楽器を調律することです。みんなの愛から生まれたコレクションは日の目を浴び、大勢の人に目にしてもらい、さまざまな人と分かち合うもの。秘密にしておくのはおかしいと感じました」

ヴァレンティノ・ガラヴァーニのエレガンスと呼応する、リアルなワードローブ

ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。

グッチGUCCI)で指揮を執り始めたとき、ミケーレは数週間というわずかな期間で、ファッションにおけるジェンダー議論に一石を投じる、重要なメンズコレクションを作り上げた。今回ヴァレンティノから発表したコレクションは、そのときほど既存の概念を打ち砕くような破壊性はないが、ごく短時間で完成させた点は共通している。「仕事が早い人として記憶されるでしょうね」とミケーレはジョークを飛ばす。そんな彼は今回、ヴァレンティノ・ガラヴァーニのイメージと結び付く、ある種のエレガンスとの繋がりを感じさせる、精密で複雑な「リアルなワードローブ」を目指した。「ガラヴァーニが作った服と彼が歩んできた人生と真摯に向き合っています。彼が隣にいるかのような気がしばしばするのです」

ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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膨大なコレクションには、ミケーレ自身の姿も多く投影されている。「皆さんが目撃しているのは、私とガラヴァーニとの出会いです。私越しに見る、彼のアトリエです」。ガラヴァーニは細部までほとんど執拗なまでにこだわり、緻密な装飾を施し、念入りにルックを作り込む傾向にあった。その姿勢にどこか共感を覚えたミケーレいわく、2人は複雑な構成を前に喜びを感じるところが似ている。グッチ在籍時代にも探究してきた複雑な構造を、ヴァレンティノでミケーレは上品さと落ち着きが漂うルックへと高めた。コレクションを実際に手に取って見ることは叶わなかったものの、彼が得意とする豪勢な表現は風変わりな魅力を失うことなく、洗練とリュクスの中になお息づいていることがわかる。「ヴァレンティノは決してミニマリストではありませんでした。どちらかというとマキシマリストで、一番削ぎ落とされた作品を作っていた70年代でさえ、そうでした。彼の作品にはいつも、美への執着から生み出された、とてもローマ的な豪華さと贅があったのです」

自分が思う「美しさ」を追って

ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。

メゾンのアーカイブの魔法にかかったというミケーレだが、特定の年代のガラヴァーニ作品をインスピレーションにすることはなかった。70年代のヴァレンティノらしい、フェミニンなヒッピースタイルを想起させるルーシングやフリルの軽やかさも、彼はただ、優雅さを演出するためだけにふんだんに取り入れたと説明する。80年代のピースを感じさせる部分も幾分かあるが、ガラヴァーニが究極の柔らかさと洗練さを追求した時代だっただけであり、一回では探究し切れないという。とはいえ、1968年に発表された「Sfilata Bianca」コレクションには魅了されたと認めた。「あの白さ、あの優美さは一部盗み取りました」。そしてルックブックの写真は、長い年月を経て発掘されたかのように、どれも古色蒼然としている。

ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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ヴァレンティノ 2025年リゾートコレクションより。
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グッチでのミケーレは、ファッションの枠を超えるジェンダー議論を世界で巻き起こした。ではヴァレンティノでの彼はどうなのだろう。「作り手の私は変わっていません。自分の目を通して、自分が今立っているこの新たな場所を見つめて、服を作っていきます」と思いを巡らせた。「ルックブックに登場する男性と女性は、私が昔からずっと興味を持っている『男らしさ』と『女らしさ』の考えを体現していて、そこは今まで通りです。私の制作活動は私の手によって行われ、私が自分の目で見たもの、想像するもの、感じるもの、私の底から、内から湧き出る感情などからできています。グッチにいたときも、自分が巻き起こしたジェンダー議論に対して政治的に思うことはただの一度もなかったです。自分が思う美しさをただ追っていただけで、すべて自然の成り行きでした。ことの進み方もわりと穏やかでしたしね。ここヴァレンティノで起きるすべてのことも、すべて自然な流れです。それが、私のやり方なので」

Photos: Ola Rindal / Courtesy of Valentino Text: Tiziana Cardini Adaptation: Anzu Kawano

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