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しみ込んだ旨味がたまらない"鮭の南蛮漬け"

  • 2024.6.18

南蛮漬けは、漬け汁が冷めていくときに味が入るので、粗熱が取れたら一晩冷蔵庫で寝かせるのがお薦めです。胃腸から元気になります!心身が整う和食薬膳レシピを和食薬膳協会代表理事の大東清美さんに教えてもらいました。

しみ込んだ旨味がたまらない"鮭の南蛮漬け"

■身近な食材で心身を整える

今日の味噌汁の具はほうれん草?それとも豆腐?そんな何気ない選択ひとつで日々の体調が整えられるとは!大東清美さんが提唱する「和食薬膳」は、中医学的なイメージの薬膳をわれわれの暮らしにぐっと引き寄せ、健康を育んでくれる料理法だ。

「東洋医学のなかで食のアプローチから体を整えるのが薬膳ですが、漢方薬などを使うのではなく、ふつうに手に入る食材で、今を生きる日本人の体質、体調に合ったものを選び、その食材の力を引き出して食べることで病気をしない体に導いていくのが、和食薬膳です」

そもそも東洋医学では、気・血・水が充実し、日々入れ替わっている状態を健康と捉える。気はエネルギー、血は血液、水は体液を指すが、「気=体の機能そのもの」、「血・水=体の材料」と考えるとわかりやすい。

「たとえば、頻尿の場合、それは体の機能低下です。つまり、気が不足している状態ですから、必要なのは気を補ってくれる食材。逆に尿が出ない、量が少ないなどの場合は、血・水が不足していると判断し、それを補ってくれる食材を摂る。そうして体のバランスをとっていきます」

今回のテーマ「酢」は、和食薬膳でも欠かせない調味料で、健康を保つうえでも、かなり頼りになる食材だという。
「米を発酵させた調味料である酢は、血液をきれいにする働きがあります。クエン酸とアミノ酸が含まれているので、疲労回復にも効果的。特に、黒酢は玄米を長期発酵させているので、ミネラルも多い。黒い食材は、薬膳の世界では血液を浄化する力が非常に高いとされていて、その苦味のなかに体内の不要なものを排出させる働きがあります。ただ、味に多少クセがあるので、気軽に使うには米酢から始めたほうがいい」

梅酢は、梅を漬けるときの副産物で、いわば梅エキス。古来、日本ではおむすびを握るときや塩もみに使われてきた。「お米を炊くときに入れるのもオススメです。ほんの少し入れるだけで米を糖質分解しますから、甘く、おいしくなります。お弁当用にもいいですね。殺菌効果があるので食中毒を防いでくれます」

その殺菌作用は腸内の悪玉菌をも退治してくれる。肌は腸内を映す鏡とも言われ、結果的に美肌効果も期待できるのだ。「また、五行陰陽に基づく五味“酸・苦・甘・辛・鹹(塩)”のうち、酸味は、肝臓の働きを助け、補充したエネルギーをとどめる働きがあります。たとえば、ご飯を食べて気を補い、さらに梅干しを食べれば、ご飯のエネルギーをしっかり定着させることができるということです」

今回紹介してもらった料理は、食材の働きを踏まえて考案された。食卓に一品加えれば、酢の恩恵をしっかり受けられる。 さて、気になる冒頭の答え、味噌汁の具は豆腐?それともほうれん草?

「パソコン仕事で目が疲れた、頭脳労働で脳が疲れたといった場合なら、血液が消耗しているので、血を養ってくれるほうれん草。体がどうも熱っぽい、喉が痛いというときには熱を取ってくれる豆腐を選びましょう」

うーん、和食薬膳は奥が深すぎる!

■“鮭の南蛮漬け”のつくり方

南蛮酢に入っているはちみつは気を補ってくれ、のせる唐辛子は巡りをよくしてくれる働きがあります。そして、鮭は胃腸の働きを高めてくれる食材とされています。


◇材料 (5人分)

鮭:5切れ
玉ねぎ:100g
にんじん:30g
片栗粉:適量
サラダ油:適量
唐辛子:1本
スプラウト:適量
★ 南蛮酢:
・ 米酢:200ml
・ 醤油:大さじ3
・ だし汁:200ml(鰹かアゴ)
・ はちみつ:大さじ3
・ 酒:大さじ2
・ 塩:少々


(1)野菜類をカットする
玉ねぎは薄切りにして塩少々を加えた水にさらし、にんじんはせん切りにする。唐辛子は種を取って小口切りにしておく。

(2)南蛮酢をつくる
南蛮酢の材料を小鍋に合わせ、ひと煮立ちさせる。

(3)鮭を焼く
鮭に塩、胡椒(分量外)して、片栗粉を全体にまぶし、フライパンで油を多めにして香ばしく焼く。

(4)南蛮酢に漬ける
③が熱いうちに②の南蛮酢に漬け込み、①の野菜、唐辛子も一緒に漬ける。

(5)仕上げ
④を野菜とともに皿に盛りつけ、スプラウトをあしらう。

仕上げ
仕上げ
完成
完成

――教える人

「大東清美 和食薬膳協会代表理事 「寺子屋*花」主宰」

自身が体調をくずした経験から食養生の大切さを実感。国際薬膳師、望診法指導士としての経験を活かし、日本の日常食で健康を育む「和食薬膳」を伝える「寺子屋*花」を展開。また「おうち薬膳 菜花」では実際の和食薬膳を体験できる。http://teracoyahana.com/


※この記事の内容はプレジデントムック技あり!dancyu「お酢」に掲載したものです。

文:太田佑子 写真:牧田健太郎

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