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「いらなくなった衣類を廃棄物ではなく、資源として考えてほしい」──フィービー・イングリッシュが突き進む、サーキュラーファッションへの道【若手デザイナー連載】

  • 2024.6.17
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フィービー・イングリッシュは、ほかのデザイナーのスタジオに眠っているデッドストックの生地や、ブライダルブランドのウエディングドレスの端切れなど、ロンドン中の余ったテキスタイルを活用することでその名を馳せてきた。そして彼女は今、サステナブランドのトースト(TOAST)との新しいコラボレーションを通じて、消費者の手に渡った“後”の衣服に目を向けている。

イングリッシュはこの春、販売できなくなった返品商品や修理不可能な衣料品、不良品や売れ残りを使い、パッチワークシャツドレスやワークジャケットパンツなど7点のアイテムを制作した。このカプセルコレクションは、ロンドンのバービカン・センターで「Unravel: The Power and Politics of Textiles in Art」展の一環として展示された。一点ものの作品はオンラインサインレントオークションの一部として販売され、その収益はテキスタイルのリサイクルを行うチャリティ団体、Traidに寄付されるという。

「私たちは、この作品が素材に対するさまざまなアイデアやアプローチのきっかけになればと思っています。人々がいらなくなった衣類を廃棄物ではなく、創造のための資源として考えるようになってくれればと思っています」。南ロンドンはデットフォードにある風通しのいいスタジオから、彼女はこう語る。「決してその量が不足している資源ではないのですから」

トーストは、中古品をオンライン販売するTOAST Rewornや、衣服を無料で修理できるTOAST Repairなど、サーキュラーファッションの実現に向けたイニシアチブを数多く展開している。「服の寿命について考えることは、常に私たちのアプローチにおいて不可欠な部分でしたが、2018年にはその寿命を延ばす方法を模索することで、もう少し推し進めることに決めました」とデザイン責任者であるローラ・シッピーは言う。「私たちは、長く着られる服とその循環性を育むというアプローチと、ファッションデザインにおいて搾取の少ない方法を探求するフィービーのスタイルとの相乗効果を示すために、カプセルコレクションでコラボレートしたいと強く思いました」

イングリッシュによると、その製作過程では予想外の発見もあったという。「衣服を解体していたとき、(生地を仕立ててから染める)後染めがされていたことがわかりました。その衣服がどういったものだったかを示す、美しい線が残っていたのです。そこで私たちはこの線をプリントのような装飾として、プロジェクトの中心的な要素にすることを決めました」

イングリッシュは今後、より多くのブランドと協力し、デッドストックやプレラブドアイテムを活用したいと考えている。「私たちはこれまで、消費される前の繊維廃棄物を多く取り入れてきましたが、一度消費された後のものはあまり扱ってきませんでした」とデザイナーは話す。「ほかの土地へと送るのではなく、この土地で活用することが重要なことなのです」

Text: Emily Chan Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.CO.UK

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