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フィービー・ディネヴァーが纏う、ルイ・ヴィトンの新作ハイジュエリー。19世紀フランスのサヴォアフェールに魅せられて

  • 2024.6.17
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「とってもグラマラスな気分」──俳優のフィービー・ディネヴァーはこうドラマティックに言うと、優しい笑みを浮かべる。「私の母はあまりジュエリーを身に着ける人ではなかったので、私にとってすごく特別なものでした」

私たちは、ルイ・ヴィトンLOUIS VUITTONの新しいハイジュエリーコレクション「Awakened Hands, Awakened Minds(アウェイクンド ハンズ アウェイクンド マインズ)」の発表を祝うため、サントロペのシャトー・サン・モールでのディナーパーティーに来ている。

婚約したばかりのディネヴァーは、ルイ・ヴィトンの2024-25年秋冬コレクションからクリーム色のシアードレスに、ホワイトゴールド、プラチナ、ダイヤモンド、エメラルドのネックレスとピアスを合わせ、婚約者で俳優のキャメロン・フラーの隣に座った。この日披露されたプレゼンテーションには、ウォッチ&ファインジュエリーのアーティスティック・ディレクターであるフランチェスカ・アムフィテアトロフがデザインしたハイジュエリーに合うよう、ニコラ・ジェスキエールが特別に制作したガウンに身に纏ったモデルたちが登場し、ゲストたちはその美しさに息を呑んだ。

シアードレスは、ルイ・ヴィトンの2024-25年秋冬コレクションより。
シアードレスは、ルイ・ヴィトンの2024-25年秋冬コレクションより。
サントロペで行われたショーには、夫となるキャメロン・フラーとともに出席した。
サントロペで行われたショーには、夫となるキャメロン・フラーとともに出席した。

「ニコラが女性をエンパワーし続ける姿に、いつも感銘を受けています」とディネヴァーは熱く語り始める。 「彼は常に女性に力を与える方法を探しています。それに……」と口にすると、適切な言葉を探した。「彼とフランチェスカのデザインは、セクシーであるというよりも、鎧のような強さであったり、キャラクターを体現することに重きを置いています。強いキャラクターです」

強いキャラクターを演じることは、ゆっくりと、しかし確実にディネヴァーの目指すものとなりつつある。ションダ・ライムズ監督によるNetflixドラマ『ブリジャートン家』(2023)のダフネ役で一躍脚光を浴びた彼女だが、シーズン3を前に、男女の愛憎劇を描いた『Fair Play/フェアプレー』に出演するため降板した。しかし彼女は、Netflixの大ヒット作がもたらした「キャリアアップ」を認めつつも、人気絶頂期に降板したことに後悔はないようだ。

「『Fair Play/フェアプレー』でそうだったように、脚本に惹かれるとき、『これが次の仕事だ』と確信する瞬間があると思うんです。そしてそれはすごくエキサイティングなこと。確かに『ブリジャートン家』とは全く違う作品だと感じましたが、脚本もエミリーというキャラクターも、とてもしっくり来ました。というのも、この仕事をするためにこの業界に入ったのだとさえ感じたんです。人々の反応を見たときは……私のキャリアのなかでも特別な瞬間で、心から誇りに思っています」

ルイ・ヴィトンのアンバサダーを務めて数年になるがディネヴァーだが、ハイジュエリーコレクションのお披露目に出席したのは今回が初めてだという。パーティーの前日、彼女は新作を間近で見ることができたそうだ。「大きなピンクのダイヤモンドがあったんです」と、彼女は興奮気味に話す。「あんなに美しいダイヤモンドは今まで見たことがありません。それに、フランチェスカは本当に素晴らしい人。彼女がコレクションについて、そしてそれに込められたすべてについて話すのを聞けるというのは、本当に素晴らしい機会でした」

13の異なるテーマにわたり220点もの作品をフィーチャーした「Awakened Hands, Awakened Minds」について、「ちょっと不可解に聞こえるかもしれません」とアムフィテアトロフは笑顔で説明する。「でも、これは19世紀のフランスで、素晴らしい才能が爆発的に開花した時代にインスパイアされたものです。革命後、アトリエは解放され、ギルドは廃止され、フランスのノウハウ、サヴォアフェールが大きく発展しました。ここから真のラグジュアリーが生まれたのです。誰もがフランスを訪れ、この驚くべき『Awakening Hands』を目の当たりにしたのです」

一方、コレクションの「Awakening Minds」は、発明と発見の19世紀後半にちなんでいる。「科学、工学、建築が盛んになり、パリは光の街となったのです。ヨーロッパで初めてガス灯と電灯の両方が設置され、パリは世界の中心のようでした」

このコレクションにはフランスの魅力があふれており、いくつかのアイテムにはそのインスピレーションがわかりやすく描かれている。例えば、「ヴィクトワール」ネックレスは、エッフェル塔へオマージュを捧げたものだ。「ジュエリーを建築と考えたことはあまりなかったのですが、この作品には建築的な力強さがあって、とても圧倒されました」とディネヴァー。続いて、こんなエピソードも明かしてくれた。

「笑われるかもしれませんが、エッフェル塔が夜になるといつも輝いているなんて知らなかったんです。ルイ・ヴィトンのショーに初めて出席した夜、一人で車に乗っていて、エッフェル塔の前を通ったんです。(コロナの後)世界が再び開けた頃で、私はそれを見て、『ああ、活気が戻ってきた。クレイジーだけど、すごくキラキラしていて、なんてマジカルなんだろう』と思ったのを覚えています」

彼女は光り輝くエッフェル塔を目にしたときの喜びを、今夜身につけているジュエリーからも感じているようだ。「ミニマルなものが大好きで、可憐なものに惹かれます。また、お洋服がヌードトーンやニュートラルカラーだったので、エメラルドグリーンはポップなアクセントを加えてくれると感じました」

時計はもうすぐ夜の12時をまわろうとしている。先ほどまでの穏やかな気温は下がり、少し肌寒さを感じる。ディネヴァーはルイ・ヴィトンのカシミアショールを肩に羽織り、部屋を見渡した。「こんなところにいられるなんて、すてきですよね。サントロペのブドウ畑のなかで、こんなにも美しいコレクションを纏えるなんて……」。ネックレスとピアスに触れながらこう話す彼女は、より一層輝いて見えた。

Text: Funmi Fetto Adaptation: Motoko Fujita

From VOGUE.CO.UK

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