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脳の専門家が教える「人生の変え方」3日坊主、先延ばし…脳神経の使い方で変わる!

  • 2024.6.17
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脳のエキスパート、ニコール・ヴィニョーラの出版を記念して、WHがインタビューを決行!

Ildo Frazao

WH:スマホを見る時間を減らす、新しい趣味を始める、といった小さな変化を起こすことが、こんなに難しいのはなぜですか?

NV:私たちは未知の世界の不快さよりも、既知の世界の快適さを好むからです。朝一番にスマホを手に取るといった行動をとるとき、脳はニューロンを発火させ、お互いにコミュニケーションをとり、その行動が繰り返されるたびにその関係が強固になっていきます。時間が経つにつれ、これらのニューロンのつながりが経路を作るようになりますが、同じ行動が繰り返されるたびに、これらの経路は高速道路のようになるのです。つまり、移動が非常にラクになるんですね。そしてあなたも、その行動を無意識にやっているように感じられてくるでしょう。例えば、歯を磨くのと同じようにです。

その瞬間から、あなたの脳はエネルギー消費が最も少ない「馴染みあるもの」を求め、最も多く移動してきた経路を選ぶようになります。運動をサボって家にいることを選んだり、料理をする代わりにテイクアウトを注文したりするなど、自分にとってよくないことをしていると分かっていながらその行動を繰り返してしまうのは、これが原因なのです。

脳が別のルートを辿るということは、つまりコンフォートゾーンから抜け出し、新しい道を作るということになります。ですがその新しい道は、(初めのうちは)移動が簡単な高速道路ではなく、岩や穴だらけの未舗装道路なわけです。これをゆっくりと滑らかできれいな道に整えていかなければなりません。これが結構難しいことなんです。疲れているときなんかは特に、脳がよく通ってきた馴染みある経路を優先したがるからです。

miya227

WH:ほとんどの人が常に疲れていますが、そのような状態でも変化を作り出すにはどうすればいいのでしょうか?

NV:体と脳には、利用できる資源とエネルギーの量に限界があります。仕事が忙しく慢性的なストレス状態にあったり、心身が疲れ果てているとき、それでも体はなんとか機能し続けるためにエネルギーを利用します。つまり、このような状態ではなんとか生活を送ることにエネルギーが使われ続けるため、新しいことに取り組むためのエネルギーなんて残っていないのです。

状況が許すのであれば、不要な部分に費やされていたエネルギーを取り戻すために、今の生活から取り除ける「余分なもの」を特定してください。例えばそれは、「今手が離せないため、返信が遅くなることをご了承ください」という自動返信の設定することだったり、今仕事や予定で手一杯であることを友達に伝え、グループチャットで返信できないこと、社交の場に参加できないことをあらかじめ伝えておくなどの選択肢があるでしょう。ただしこれは、永久的な選択ではありません。エネルギーを取り戻す期間に限っての選択です。

そうすることで、認知エネルギーが解放され、次のステップを考える余裕が脳に生まれます。友人に返信したり、不要なメールの管理をする代わりに、脳に次のステップを考えさせるのです。

We Are

WH:小さな習慣ではなく、キャリアチェンジのように大きな変化を起こしたい場合はどうですか?

NV:ビジュアライゼーションが効果的なテクニックのひとつです。「自分を百万長者だと想像しなさい」という類のものと関連付けられたことで、長年悪評を得ていたビジュアライゼーションですが、実は科学的な裏付けがあり、アスリート選手たちが今も変わらず多用しているのはこのためです。頭の中で動きをリハーサルして、脳の運動皮質と小脳の間につながりを作っておくと、本番で行動に移しやすくなります。

そのため、キャリアチェンジを望んでいるなら、上司に退職届をメールで送り、その結果を恐れないでいる自分を想像することから始めるといいでしょう。新しいポジションを見つけたり、フリーランスのビジネスを立ち上げようとしているなら、プレッシャーの中でも冷静に振る舞うことができる自分をクリアに想像してみてください。

Nuthawut Somsuk

WH:書籍『Rewire』では、脳の否定的バイアスについて多く書かれていましたが、それはなぜですか?

NV:人間の脳は、中立的、肯定的、否定的な刺激に直面したとき、一番簡単に感じ取りやすいのが否定的な刺激だからです。そして私たちは、ポジティブな感情よりもネガティブな感情を多く抱いています。これは、人間の進化の過程による結果だと考えられています。「茂みの中に蛇が潜んでいるはずだ」と仮定する狩猟採集民は、「すべてがうまくいく」と仮定する者より遺伝子を残しやすい(生き延びやすい)とされていました。でも、現代の私たちが隠れ潜んでいる捕食者について心配する必要はほとんどありません。

つまり何が言いたいのかというと、否定的な見方をするのが人間にとっては非常に簡単だということです。例えば、あなたの服装を10人が褒めても、1人が批判したとしたら、あなたは10人にもらった褒め言葉よりも、後者の言葉を気にしてしまいませんか? でも、これが自分の生命にとって重要でないと気づけば、この傾向から克服するための努力ができるのです。

まずは感謝を実践し、視点を変えていきましょう。日々の小さなよい出来事に目を向けるのです。もらって嬉しかったメッセージや、楽しみにしている予定など、本当によいことに焦点を当ててください。そうすれば、自分に語りかける人生のストーリーが変わり始めます。「よいことなんて何も起こらない」から「よいことが起きている、もっとよいことが起こりそう」というふうに。

AscentXmedia

WH:自分を信じることについても多く書かれていますが、変化を作り出す上でこれが基盤となるのはなぜですか?

NV: 自己信頼とは、自分の能力に自信を持ち、自分で責任を果たせることを意味します。これがあれば、成長と成功のための強固な基盤が得られるのです。自己信頼を高めるためには、まずは自分との小さな約束を守ることから始めてください。「明日6時に起きて、仕事の前にジムに行く」と言ったなら、必ずその通りに実行してください。

ここで注意したいのは、その約束が現実的であることです。「週に5日トレーニングをして、全ての食事を変える」と言ったとしても、それはきっと実現しないでしょう。小さな約束を守り、少しずつ自己信頼を築いていきます。時間が経てば、自分を信頼できることに気づき、それが自分に自信を与えます。自分のことを常に疑ったりせず、意思決定ができるようになるはずです。

※この記事は、アメリカ版ウィメンズヘルスから翻訳されました。

Text: CLAUDIA CANAVAN Translation : Yukie Kawabata

 

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