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丸山桂里奈の“焼肉ランチ”を非難する人たちの正義とは?「育児警察」にやられた35歳の体験談

  • 2024.6.17
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タレントの丸山桂里奈さんが、子どもを預けて焼肉ランチに出かけたことをSNS上で批判されたことについてXに怒りを書き込んだ。束の間の息抜きを「育児放棄」と噂される“信じられない展開”は、悲しいことに子育て世代にとってはよくある話だ。
タレントの丸山桂里奈さんが、子どもを預けて焼肉ランチに出かけたことをSNS上で批判されたことについてXに怒りを書き込んだ。束の間の息抜きを「育児放棄」と噂される“信じられない展開”は、悲しいことに子育て世代にとってはよくある話だ。

元サッカー日本代表でタレントの丸山桂里奈さんが、X(旧Twitter)に怒りを書き込んだ。

子どもを母親に預け、夫やスタッフと焼き肉ランチに行ったことを自身のInstagramに投稿したところ、「やりたいことやりながら育児ってやっぱり芸能人は気楽やわ」と揶揄されたのだ。

母親が「育児半分」で何がいけないのか

彼女自身の「毎日好きなお仕事をして、育児は半分して? とにかく体力抜けるところは抜きながら頼れるとこは頼りながら(原文ママ)」というコメントについて、「育児半分って」と批判する声もある。

だが、親はふたりいるのだ。育児半分で何がいけないのか。しかも子どもを預かってくれる人がいるのだから、何の問題もない。

本来なら子どもを預けて自分も自由な時間がほしいと痛切に願っている人たちから見れば、彼女は「恵まれた人」だから「妬んでしまう」のかもしれない。だが、自分と環境も状況も違う有名人に嫌味や皮肉をぶつけて溜飲が下がるのだろうか。それですっきりするのだろうか。不寛容にして世知辛い時代である。

こういうことは一般的にもあるようだ。

育休中の35歳、生後8カ月の娘を預けて外出したら

「私は育休中なんですが、つい先日、平日に代休を取得した夫が『たまには息抜きしておいでよ』と言ってくれた。生後8カ月の娘を預けて、久しぶりに学生時代の友人とランチからのカラオケで楽しみました。

夕方、自宅最寄り駅近くで近所のママ友にバッタリ。おしゃれしてどうしたのと言われたので、友だちとランチ後にカラオケに行ったことをうっかり喋ってしまったんです。楽しかったから気が緩んでいた」

そう言って笑うのはカヨさん(35歳)だ。よかったわねと言ったママ友の顔が少しひきつっていたことに、カヨさんは後から気づいた。

「翌日、スーパーで別の知人に会うと『あなた、子どもを置いてカラオケに行ってたんだって?』といきなり言われて。びっくりして言葉が出なかった。そうしたら認めたと思われたんでしょうね。なんだかまたたく間に、私は8カ月の子どもを家に置き去りにして外で遊び歩いている女、ということになってしまったみたい。笑うに笑えませんでした」

根も葉もない噂が近所を駆け抜ける事態に

噂はあっという間に近所を駆け抜けていったようだ。カヨさんはその後、すっかりふさぎこんで家にこもりがちになった。夫は「気にするなよ」と言ったが、気にせずにはいられなかった。

「2週間ほど経ったころでしょうか、なんとなくこそこそと買い物に行ったら、顔見知りの年配の女性が『人の口に戸は立てられないの。自分が後ろめたいことをしていないなら、堂々としてなさいね』と笑顔を向けてくれた。

そうだ、私は何も悪いことなどしていない。夫に子どもを預けて母親が出かけて何がいけないんだろうと思いました。いつもそう思っているのに、急に世間が批判してきたことで、すっかりいけないことをしているかのような気分になってしまった。こんなことじゃダメだと自らに気合いを入れました」

それ以来、彼女は周りの目を気にしなくなった。言いがかりをつけられたり、思い込みの噂を流されたりしても、通常は釈明する場がない。近所にいちいち言い訳して歩くわけにもいかない。

「その後、いろいろ考えると、彼女も息抜きが必要なくらい追いつめられているのかもしれないと思いました。私も普段はほぼワンオペですから気持ちはよくわかる。敵対しないで助け合えたらいいのに……」

自分がつらいときに楽しそうな人を見ると、人は自然と妬みそねみの感情がわいてしまうのかもしれない。だが、そんなときこそ自制心が必要だ。他人に妬みをぶつけたところで、決して気持ちは上向きにはならないのだから。

いちいち他人を批判する人の心理とは?

他人を批判しても自分の状況が変わるわけではない。批判する人たちもそんなことはわかっているはず。

それでも、自分と無関係の他人を批判するのは、「母親は子どもを置いて出かけてはならない」というのが、その人たちにとっての正義なのか、あるいは自分が我慢して頑張っているのに、気楽そうに日々を過ごしている人を許せないということなのか。

いずれにしても、建設的ではない。

42歳、続くワンオペ育児の「救世主」との関係

「2歳違いの妹とは、それぞれ結婚した時期も子育ての時期も重なっていたんです。私はワンオペで頑張っていたけど、妹はしっかり実家の母に来てもらってけっこうラクしていた。これはちょっとむかつきましたよ(笑)。

だからといって、母親にうちにも来てとは言えないし、逆に面倒なことになるような気もした。妹は母と仲がよかったけど、私はあまり折り合いがよくなかったので。結果、大変だったけどあれでよかったと思っています」

ヤスコさん(42歳)は、30歳で長女を、32歳で次女を出産した。次女を出産してからの1年間は、魔の2歳児と新生児の世話で本当に大変だったという。

「早く仕事に復帰したいけどできない。このまま時が止まるのではないかという恐怖感がありました。意味なく涙が止まらなくなったりもした。つらいとき助けてくれたのは、同じマンションに住む年配の女性でした。

彼女に子どもふたりを預かってもらって1時間くらいひとりでカフェに行って息抜きしたこともあります。そのとき、ひとりでお茶しているのを別の近所の人に見られて、やはり妙な噂を流されたけど、気にしない態度を貫きました。関わりのない人に何がわかる、気にするものかと。

その年配女性は、いつでも適度な距離で見守り続けてくれた。そういう人がひとりでもいれば、なんとか頑張っていけるのかもしれません」

ヤスコさんにとって、その年配女性は「救世主」だった。今も彼女とはいい距離で付き合いが続いている。批判する人もいれば、さらりと助けてくれる人もいる。それが「世間」というものかもしれない。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。

文:亀山 早苗(フリーライター)

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