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息子は「ピンクのランドセルが欲しい」どうする? 最新のラン活事情

  • 2024.6.16
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「ピンクのランドセルが欲しい」そう息子に言われたら、どうするだろう? 近年叫ばれる「多様性」や「ジェンダーレス」という言葉にも紐づけられそうなSNSの投稿を目にし、令和のリアルなランドセル事情について今一度探ってみた。

息子の「ピンクのランドセルが欲しい!」と言う意見、親はどうするべき?

「男の子でランドセルがピンク色希望、現在、小学生になってもピンクのランドセル背負ってます!!ってママさんいますか?いらしたらお話し聞きたいです」(一部抜粋)

投稿主は叙々苑ちゃんさん。この投稿は1.4万の「いいね」のほか、約3500件のリポスト、約600件ものコメントがついた。いかに多くの人が関心を持ったのかが伺えるとともに、さまざまなランドセルが増える昨今ならではの「悩み」でもある。

「想像以上に同じ思いの人がいることに驚きもありましたが、さまざまな意見を聞くことができてうれしかった」と叙々苑ちゃんさん。また、「子どもの『好き』という気持ちに寄り添っていないという意見をいただいた一方、子どもを思うからこそ生まれた投稿ではないかという意見もいただき、どちらの意見もとても参考になりました」と、Xでの反響を受けた思いを語ってくれた。

◆「一気に涙出た」とある動画CMに共感の声

同ツイートは、いち買い手側の意見。売り手側から見た「ランドセル選びの現状」はどうなっているのだろうか? 新CMで話題となった大手ランドセルメーカー「セイバン」(本社:兵庫県たつの市)の広報・船越さんに話を伺った。

「キミが好きなの、キミが選ぼう」という同社が掲げるコンセプトのもと、制作されたYouTube CM『ランドセルランドセル選びドキュメンタリー篇』は、親が別部屋で見守るなか、子どもがランドセル売り場で「親が選んで欲しそうだと思うランドセル」「自分が使いたいランドセル」を選ぶドキュメンタリー映像だ。

動画内では親子のリアルなやり取りが記録されており、コメント欄には「一気に涙出た」「めちゃくちゃ考えさせられる」「ピンクを選んだ男の子が自分らしく生きていける世のなかであってほしい」「ジェンダーレスが注目されている今、特に意識しないといけないと思う」など約600件に及ぶコメントも寄せられ、再生回数は120万回を突破するなど、大きな反響を呼ぶこととなった。

セイバン公式「天使のはね」ブランドサイトより(画像提供:セイバン)

CMを作った経緯を船越さんに訊くと、ランドセル選びの現場では、まさに前述のツイートにあったような、親子の意見が異なる場面を多く目にしてきたという。商品のバラエティ化が進むにつれ、本来は家族でコミュニケーションをとりながら楽しくあるべきランドセル選びに、不安や焦りを感じている親がいたり、子どもの意を介さないランドセル選びになっていたりすることもあったという。「そんなラン活の理想と現実のギャップを埋める手助けは出来ないか?」と、生まれたのが同CMだったと話す。

◆ いつから赤&黒オンリーでは無くなった?

かつては赤と黒がほとんどだったランドセル業界、そもそもいつからカラフルに彩られるようになったのだろう?調べてみると・・・

新風を巻き起こしたのは、2001年に大手スーパー「イオン」が打ち出した「24色のランドセル」だったよう。「セイバン」のランドセルも年を追うごとに新モデル・デザインが増えていき、商品カタログを見ても自由なコーディネートでランドセルを背負う子どもたちが印象的だ。

「セイバン」の商品カタログより、ブラックのランドセルを身にまとう男女(画像提供:セイバン)
性別問わずに人気が高いというスポーツブランド「PUMA」とのコラボランドセル(画像提供:セイバン)

「今はカラーやデザインなど、ランドセルの種類が豊富になり、性別に関わらずお子さまが好きなカラーのランドセルを選ばれています。セイバンとしては、子どもたちには、親御さんとコミュニケーションを取りながらランドセル選びを楽しんでほしいという思いが強いので、店舗にはランドセル選びを相談・サポートできる店舗スタッフ『ランドセルコンシェルジュ』も在中しています(直営店のみ)。また、最近ではランドセルに取り付けるアクセサリーも充実してきているんですよ」と、船越さん。

「セイバン 心斎橋店」で販売されている、ランドセルに装飾する「ランドセルカバー」や「サイドケース」などのアクセサリー

親子がランドセルの「カラー」で意見が衝突した際には、カバーやサイドケースなどで好きな色・柄を選ぶというのを折衷案とすることもあるのだとか。

選択肢が増え、子どもが好きなものを「好き」と言いやすくなった分、20年前とはガラリと変わったランドセル選び。だが根底にある「子どもの楽しい未来を作りたい」という親の気持ちは変わっておらず、今後はそんな子どもの「好き」にどう応えていくかが鍵となりそうだ。

バラエティ化するランドセル選び、今後はどう変わってゆくのか

取材・文/緑川翠
イラスト/よしださきこ

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