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人に親切にすると? 誤った意味で使われがちな「情けは人のためならず」/ことわざびっくり事典④

  • 2024.6.16
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『わらえる!? つかえる!! ことわざびっくり事典』(こざきゆう:文、伊藤ハムスター:絵、金田一秀穂:監修/ポプラ社)第4回【全5回】 勇気をくれることわざ、笑えることわざ、ちょっぴりこわいことわざ…人生の知恵や教訓がつまったことわざを、イラストともにわかりやすく学べる一冊です。私たちが日常でよく使うことわざのいわれや使い方などの解説はもちろん、世界のことわざを紹介するコラムも楽しい『わらえる!? つかえる!! ことわざびっくり事典』。その一部をお届けします!

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『わらえる!? つかえる!! ことわざびっくり事典』(こざきゆう:文、伊藤ハムスター:絵、金田一秀穂:監修/ポプラ社)

「情け」は「思いやり」のこと。問題は「人のためならず」のところだ。なんとなく「人のためにならない」と思っちゃうよね。

だから、思いやりは、あまやかすことになるから、その人のためにならない、って意味と思われがち。

じつは、このことわざには「めぐりめぐっておのがため」とか、「必ず身にも報うなり」という続きがあるのだ。

つまり、人を思いやっての行動は、やがてめぐりめぐって、よいこととなって自分にもどってくる、ということ。人には親切にしようよってことばなのだ。

「あいつは気が置けないからなぁ」、なんて友だちが言った「あいつ」ってどんなやつ?

それはもう、気心も知れていて、えんりょもせず自然につき合えるようなやつのことだ。

ところが、ある調査結果によれば、「気が置けない」の意味を、気を使ったり、えんりょしたりしないといけない、だと思っている人のほうが多いという。

そもそも、「気が置ける」ということばが、気づかい、えんりょが必要という意味で、それに「ない」という否定する語がつくと考えれば、わかるよね。

きみは学校で「生徒会副会長は役不足かもしれないけど、やってほしい」なんていわれたとしよう。さて、その人は次のどっちの意味で、この慣用句を使ったと思う?

①きみには生徒会副会長はかんたんすぎるけどお願いしたい。

②きみには生徒会副会長は難しすぎるけどお願いしたい。

正解は①。役不足は、その人の能力に対し、あたえられた役目があっていない、軽い、という意味なんだ。

でも、②のように「能力に対して役目が重い」と逆の意味だと思っている人も多い。この場合は「力不足」を使うのが正しいよ。

「破天荒」というと、暴れんぼうや、常識外れとか、そんなハチャメチャなイメージはないかな?

でも、意味はぜんぜんちがう。ことばの元になった故事をみてみよう。

1200年ほど前の中国で、役人になる難しい試験があった。この試験に合格者が出ていない土地は、耕されていない荒れ地の意味で「天荒」とよばれ、ばかにされていた。

ところが、そんな土地から、やっと合格者が出た。大快挙! 人々は「ついに天荒が破られた」と大よろこび! そこで、今までだれもやれなかったすごいことをやる、という意味のことばになったんだ。

「心頭」とは、心の中のことだ。そこで発した怒りの気持ちがわき上がっていることを表す。

つまり、めちゃめちゃ怒っているって意味のことわざだ。

これ、「怒り心頭に達する」とまちがえがち。

「心頭」を、頭の上を表す語だと思っちゃったのかも? それなら、わき上がった怒りが、頭のてっぺんに〝達した〟って気がしちゃうもんね。

ほかにも、怒りが心や頭のすみずみまでしみこんでいくようなイメージから、「怒り浸透」と字をまちがえちゃうことも。

「どんな人でも、身なりを整えればそれなりに立派に見える」という意味のことわざ。

じゃあ、「どんな人」ってどんな人かといえば、それは「馬子」。昔、馬に荷物や人を乗せて運ぶ仕事をしていた人のこと。身分が低かったので、服は粗末なものを着ていた。

そんな人でも、羽織はかまを着れば、見栄えよくなるという意味で、このことばが生まれたんだよ。

なお、「馬子」とまちがえやすいのが「孫」。祖父母は孫がどんな服を着ていてもかわいくてたまらないだろうから、こんな意味のことばにはならないんじゃないかな。

「郷」とは、土地のこと。「郷に入っては郷に従え」は「くらしや習慣、しきたりは、その土地ごとにちがうから、そこのやり方にしたがおう」って意味のことわざだ。

そんな意味を知れば、「郷」に「行く」でなくて「入る」とわかるよね。

また、このことばの「郷」は土地という意味以外にも、「学校」とか「部活」「会社」なんて、いろんな集団にも当てはめて使われるよ。

つまり、知らない土地、知らない集まりなどに新たに入ることになったら、これまでのルールをやり通すのではなく、そこのルールにしたがうのがいいよってことだ。

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