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年齢を理由に「仕事を回されない」…働くシニアが感じた“偏見や差別”の実態浮き彫りに LIFULL調査

  • 2024.6.15
シニアの就業の実態とは…
シニアの就業の実態とは…

LIFULL(ライフル、東京都千代田区)が、65歳以上の働く人と、企業の採用担当者を対象とした「シニアの就業に関する意識調査」を実施。その結果を発表しました。

経済損失は「1兆390億8200万円」

調査は2024年3月25日から同月27日、全国の65歳以上の働く人300人と、企業の採用担当者300人を対象に、インターネットリサーチで実施されたものです。

まず、65歳以上の働く人に対し、「現在、希望通りの仕事に就いていると思うか」について聞いたところ、「はい」と回答したのは79.3%でした。ただし、「5年以内に仕事探しをした人」に絞ると、約3人に1人(29.5%)が「いいえ」と回答。希望通りの仕事に就けていない理由としては、「自身の年齢が高いため」(80.6%)、「応募できる企業が少ないから」(30.6%)が上位となり、再雇用ではなく再就職となると、希望通りの仕事に就けないケースがあることがうかがえます。

職場において「年齢を理由にした偏見や差別を感じた経験があるか」を聞くと、「ある」と答えた人は3人に1人以上(34.7%)に上る結果に。「年齢を理由に希望の職種に就けなかった」(9.3%)、「年齢を理由に仕事を回されないことがあった」(7.3%)といったネガティブな経験もあるようです。

一方、企業の採用担当者に「会社は人手が不足しているか」を聞いたところ、「はい」が83.0%と8割を超えていながら、「現在65歳以上の人材の採用を積極的に行っているか」に対しては、「積極的に行っている」と答えた人はわずか21.0%であることが明らかに。

「65歳以上の人材を採用している理由」も聞くと、最多となったのは「人手が不足しているから」(56.6%)。次いで「スキルが高ければ年齢は関係ないから」が32.8%を占めたものの、人材補填の意味合いが強いことがうかがえる結果となっています。

また、「シニア層の経験・知識が豊富だから」と回答した人は、65歳以上の採用を行っている企業の採用担当者でも2割(20.2%)の回答にとどまり、採用担当者全体でみると約9割(86.7%)が、シニアの経験・知識を重視していないことがうかがえます。シニアの8割(83.0%)がスキルを活かして働きたいと思っている中、双方で大きなギャップがあることが分かる結果となりました。

「65歳以上の人材を採用しない(できない)理由」についても聞くと、「体力・健康面に不安」(42.2%)、「任せられる仕事がない、分からない」(34.3%)、「即戦力として活躍が期待できないから」(24.5%)が上位に。さらに、「選考時に応募者の年齢(高齢であること)を不採用の理由として考慮したことがあるか」どうかについては、採用担当者の63.0%が「考慮したことがある」と回答しました。

こうした双方のギャップにより、就業を希望するシニアが職を得られない場合の経済損失について、同社が試算したところ、およそ1兆390億8200万円であることが分かったということです。

この結果を受けて、シニア研究者の三嶋浩子さんは「看過できない数字」とした上で、背景について「少子高齢化による生産年齢人口の減少、内閣府が2024年2月に発表した2023年の国内総生産(GDP)がドイツに抜かれ世界4位に転落したこと」「労働人口の減少が、経済低迷につながったといえる」と分析。

また、「世界屈指の長寿国となった日本で、働く意欲が旺盛なシニア129万人は社会的資源です。少子高齢化により、生産年齢人口は今後減り続ける中、『高齢であることを不採用の理由に考慮する』、このスタンスを維持できるでしょうか」「働く意欲を持ち、経験やスキルを持つシニアを活かしていくような取り組みが広がっていくことに期待したいです」とコメントを寄せています。

オトナンサー編集部

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