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“生”を感じるものを持ち帰っては並べる。写真家・柏田テツヲの小さなアートとの暮らし方

  • 2024.6.23
写真家・柏田テツヲの所有するアート
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写真家として活躍の場を広げる柏田テツヲさんは、壁一面に設(しつら)えた棚にその目で選んできたアートを置く。そこに並ぶのは木彫りの山や植物など、好みの自然物にまつわるものが数多い。

「旅に行けば、街のショップやギャラリーで持ち帰れるものがないかよく探しています。特に海外は街中でカジュアルにアートが売られていることが多くて、生活と地続きで心地いいんですよね」

額賀章夫の作品
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高野夕輝(たかの・ゆうき)
北海道生まれ。現代美術作品のファブリケーターなどを経て、十勝で木彫りを軸に活動するアーティスト。代表作に《雪の日高山脈》や《木彫り熊》など。10月に個展予定。詳細はInstagram(@precog_gallery)で。

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Dorien Garryの作品
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Dorien Garry(ドリアン・ゲイリー)
ロサンゼルスを拠点に活動する陶芸家。ハンドサインが代表作で、ポップで厚みのある陶磁器を得意とする。花器やボウルなどの日用品も展開。音楽業界でツアーマネージャーとしてキャリアを積み、現在に至る。

Godeleine de Rosamelの作品
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Godeleine de Rosamel(ゴドゥレンヌ・ドゥ・ロザメル)
ロサンゼルスを拠点に、陶芸を主とするアーティスト。ローテクを好み、シンプルな素材から創作する。自然と進化の歴史への関心が強く、植物モチーフのほか、架空の動物を焼き上げた作品も多い。

Julie Cockburnの作品
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Julie Cockburn(ジュリー・コックバーン)
1966年英・ロンドン生まれ。主に写真に刺繍やコラージュを施すアーティスト。変色した蔵書票や古いドローイングも素材として扱い、ユーモアと物語のある作品に仕上げる。芸術大学では彫刻科を卒業。

山崎悠人の作品
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山崎悠人(やまさき・ゆうと)
1983年福岡県生まれ。植物や身の回りの日用品を題材とする木彫りアーティスト。武蔵野美術大学大学院彫刻科を修了し、現在は福岡県うきは市拠点。富山〈cargo〉などで取り扱い。
Instagram:@yamasakiyuto

 

昨秋にはロンドンで、ジュリー・コックバーンによる、写真が加工された作品を手に入れた。

「ファウンドフォトと呼ばれる、既存の写真に刺繍を施す作家さんです。いわば価値を失ったものに再び息を吹き込むような作業で、繊細で美しいんです。鳥が写った作品は額装も作家が手がけたもの。そのプロセスまで読み解くと嬉しくて、連れて帰ってきてしまいました。鮮やかな色使いしかり、しっかり刺激を受けていますね」

ジュリー・コックバーンによる、写真が加工された作品
古びた写真に刺繍が繊細なジュリー・コックバーンの作品。平面化した羽に注目。

下の写真、中段右のサボテン形のアートは、柏田さんが撮影で定期的に通っているアメリカで出会ったもの。

「森山大道さんや川内倫子さんも所属しているロサンゼルスの〈ROSEGALLERY〉にふと入ったら、陶器の作品に目が留まって。ゴドゥレンヌ・ドゥ・ロザメルというアーティストを知ったのはその時です。可愛らしい作品も多いですが、僕はこの焼き物を選びました。狙ったのか、ハプニングなのか、釉薬の色味とドリップの具合がたまらなくて……。きっと、武骨だけど洗練された“生”を感じるものに目がなくて、そばに置いておきたいのだと思います」

アトリエ兼自宅のマンションを改装し、リビングに設置したローズウッドの棚。自身の作品や写真集を背に、アートを持ち帰っては置き、並べ替える。余白を取りながら石や植物も程よく差し込む。

profile

柏田テツヲ(写真家)

1988年大阪府生まれ。旅先での出会いや自然と人間の関係性を軸に作品を制作する。今春の『KYOTOGRAPHIE』にて、フランスに滞在し、ブドウ畑を収めた写真作品を発表。

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