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【思考をキレイにする旅の仕方(422)】歳を経ると苦い想い出もいいものです

  • 2024.6.15

夕方の新幹線移動。

ハイボールを購入し、

スマホのアプリを開き、イヤホンからラジオ番組を流し、

車窓に映る夕暮れをぼーっと眺めながらちびちび飲み始めます。

選んだのは80年代のアメリカの音楽番組で87年のランキングでした。

車窓が暗くなり、窓に映る白髪頭の自分を見ながら、

1986年、18歳だった頃の自分と重ね合わせます。

大学生になり、静岡で一人暮らしを始めたばかり。

当時、名古屋在住の女子大生と遠距離交際していました。

もちろんスマホなどなく、連絡は固定電話。

まだ、留守番電話もありません。

ある晚、部屋に戻った際、電話が鳴り、取ると彼女からでした。

泣いていました。

大学生になったばかりの私は開放感に浸り、

同じアパートに住む幼馴染と毎晩のように遊びまわっていたのです。

なだめて電話を切った後、時計を見て、財布を確認します。

家庭教師の仕事を始め、初めてアルバイト代をもらったばかり。

名古屋行きの最終の新幹線に乗り込むことができました。

彼女が住むアパートに突然、行って驚かせようと思ったのです。

新幹線の車窓に映る姿を見ながら、

自分の行動に酔いしれていたのですから、今、思い出しても恥ずかしい。

名古屋駅に到着し、地下鉄に乗り換えました。

既に地下鉄も最終に近く、彼女が住む駅の一つ前までしか行きません。

一駅くらい歩けばなんとかなるだろうと思い、降り立ったのですが、そこは広大な霊園でした。

霊園の中を彷徨っているうちに、だんだん怖くなってきます。

ポツンと建つ公衆電話を見つけ、彼女に電話しました。

半べそかきながら。

自転車で迎えに来てもらいました。

彼女は喜ぶどころか複雑な表情をしていたなぁ。

その後、フラれました。

甘酸っぱい、いや、苦い想い出ですが、歳を経るといいものですね。<text:イシコ>

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