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Lemino「ミラーライアーフィルムズ」チャンネルにて短編映画が無料配信中! 山下敦弘、紀里谷和明監督作品などの紹介コメント到着

  • 2024.6.14
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『MIRRORLIAR FILMS Season2』 (C)2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT width=
『MIRRORLIAR FILMS Season2』 (C)2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

クリエイターの発掘・育成を行う短編映画制作プロジェクト「ミラーライアーフィルムズ」の最新シーズン公開にあわせ、ドコモの映像配信サービスLemino(旧dTV)内に「ミラーライアーフィルムズ」チャンネルが開設。“毎週金曜は、ミラーライアーフィルムズ短編映画の日。”として、Season1~Season4のオリジナル作品・関連作品などが配信中だ。また絶賛劇場公開中となるSeason5が、劇場公開日から約1カ月後という異例のスピードで、7月5日から順次配信開始することも決定。竹中直人監督作『たてこもり』や、漫画家・大橋裕之の初監督作『変哲の竜』など、過去シリーズ同様に注目すべき監督の短編が並び、出演者にはお笑い芸人・小説家の又吉直樹や、山田孝之、横浜流星、伊藤沙莉、山下幸輝など超豪華布陣が集結したシリーズ最新作となっている。

【写真】主演・山田孝之! 紀里谷和明監督『The Little Star』ポスタービジュアル

今回、Leminoですでに配信開始されているSeason1とSeason2より、山下敦弘監督『無事なる三匹プラスワンコロナ死闘篇』、紀里谷和明監督『The Little Star』ほかの4つの作品について、映画ライターによる見どころ紹介コメントが届いた。いずれの作品も全て無料で視聴することができるので、ライターコメントを読んだ後に本編をチェックしてみてほしい。

■配信作品(9)『無事なる三匹プラスワン コロナ死闘篇』(「MIRRORLIAR FILMS Season1」収録作品)

山下敦弘監督の真骨頂 『無事なる三匹プラスワンコロナ死闘篇』はどっこい生きる人間賛歌

エモい、エモすぎる。登場する男たちはほとんどがダルダルの中年なのに、この瑞々しい青春感は何だろう。『無事なる三匹プラスワンコロナ死闘篇』は『カラオケ行こ!』『告白 コンフェッション』などで知られる山下敦弘監督による、上映時間たった10分間の物語。しかしこのきわめて短い時間の中に、男たちの変わらぬ10年がクスッとした笑いとノスタルジーを交えてしっかりと刻まれている。

時は東日本大震災直後の2011年。誰もいない黄昏時の浜辺で男たちがだべっている。ナンパに失敗したらしく、人生を憂いている。どうやらナンパ失敗の常連らしい。それから10年後のコロナ禍中の2020年。男たちは中年を煮詰めたような年齢になりながらも、誰もいない黄昏時の浜辺でだべり、「俺本気でこういうのやめるわ」と10年前と同じように人生を憂いている。だがその憂いも10年前と変わらず、自己陶酔から生まれた言葉のようだ。そんな男たちの前に、暇を持て余した3人のビキニギャルが現れる…。

社会状況は変わっても、男たちの思考回路、性欲、友情は一切変わらず。励まし合いながらビキニギャルとの合コンに嬉々として臨む様には“どっこい生きる”人間のふてぶてしくも力強い生命の光が宿る。

そんな姿を夕暮れの浜辺を舞台に、定点観察するかのように粒子の荒い16ミリフィルムでリリカルに映し出す。友情、ロケーション、ノスタルジックなルックという三位一体が青春感を醸成し、ダルッダルの中年男たちをキラッキラにしてくれる。この感動を覚える妙なリアリズムと脱力感は山下監督の初期作『どんてん生活』『ばかのハコ船』に通ずる世界線。男たちの人生と共に、山下監督のブレない真骨頂も刻み込まれた傑作だ。(文:石井隼人)

・作品情報&配信情報

震災から10年。あの男たちが帰ってきた。彼らに待ち受ける新たな敵は、「新型コロナウイルス」。新しい出会いのない4人の前にやってきたのは…。
監督:山下敦弘 脚本:向井康介 出演:山本浩司、山本剛史、宇野祥平、水澤紳吾、益子寺かおり(ベッド・イン)、中尊寺まい(ベッド・イン)、山本ロザ / 時間:12分

■配信作品(10)『The Little Star』(「MIRRORLIAR FILMS Season2」収録作品)

激しい怒りと贖罪がスタイリッシュな映像により放出される『The Little Star』

どこまでもスタイリッシュに。どこまでもエモーショナルに。どこまでも鼓動の速さを感じて。それが本作『The Little Star』だ。躍動感あるカメラは、『リップヴァンウィンクルの花嫁』(2016)など、今まで岩井俊二監督作品に多く関わってきた神戸千木。さまざまな角度からその瞬間を捉えたカメラをスピーディな編集で魅せる映像は、流石、宇多田ヒカルのMVなどでその意表をつく世界観で名を轟かせた紀里谷和明監督のセンスだけある。

約15分間のショートフィルムには、セリフも少なく、声として発するのは、その時、咄嗟に出た感情からの叫びや、その場の状況で発した声のみ。カラコレやグレーディングによりモノクロームの世界に真っ赤な血の色をポイントで際立たせ、その色彩の世界に映えるパンダの着ぐるみで銃撃戦を繰り広げる山田孝之の狙撃手のような動きに目が離せない。

しかも説明なく挿入される回想シーンでは、松本まりか演じる女性は彼の妻で二人の間に娘がいたことを記憶の断片のようなカットの連打で繋いでいく。そこからの列車内の再びのアクションバトル、姿を現す武田梨奈は、ジャッキー・チェンに憧れる空手の黒帯を持つアクションスター。吹き替えなしの本物のアクションにも惚れ惚れする映像美のドラマだった。(文:伊藤さとり 映画パーソナリティ)

・作品情報&配信情報

愛する者を失った男の物語。電車の中、パンダの着ぐるみを着た血まみれの男。悲しみ、後悔、怒り、贖罪の感情が複雑に絡み合う主人公を山田孝之、その妻を松本まりかが演じる。
監督・脚本:紀里谷和明 出演:山田孝之、松本まりか、武田梨奈(特別出演)、高橋努 / 時間:22分

■配信作品(11)『point』(「MIRRORLIAR FILMS Season2」収録作品)

分断が深刻な今だからこそ 阿部進之介が『point』に込めた祈り

人種・国籍・言語・宗教・生い立ち。そのすべてが違えども、人はいつか必ず分かり合える。山田孝之と共に短編映画プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』を立ち上げた阿部進之介が初監督した『point』はそんな祈りに似た希望が込められている。

祖父の遺志を“神様がいる岬”で果たすため、日本を訪れた外国人青年のジョシュア。目的地へ向かうバスを逃した失意の中、初老の男性が運転する車に乗せてもらう。ジョシュアは日本語がわからず、初老男性もジョシュアの言葉がわからない。だが言葉が通じ合えないこの二人の出会いは“神様”が導いた必然だった。

生まれも育ちも、世代も、国籍も違う二人の間には言葉という壁が立ちはだかり、初老の男性はコミュニケーションを拒絶している節さえある。それにもかかわらず、狭い車中でジョシュアは自らの生い立ちを涙ながらに語る。初老の男性に自分の言葉は理解されないと知りながらも。しかし二人には一つだけ共通点があった。それは愛すべき家族の喪失。ジョシュアは初老男性の無骨さの奥に隠された哀切を感じ取った。それは初老男性も同じだった。

心が言葉を超える。傷を抱える者同士の魂の共鳴。二人の間に横たわっていた分断はいつの間にか消えた。阿部監督は、匿名の言葉たちが横溢するSNS社会に対して「言葉が邪魔をして本当に大切な事を見失ってしまっている」という警鐘を込めて本作を生み出したというが、裏を返せば血の通った対話への希望は捨てていないということ。分断が日々深刻になってきている今こそ『point』という祈りの響は一層大きくなっている気がする。(文:石井隼人)

・作品情報&配信情報

日本を旅する外国人青年“ジョシュア”。車に乗った老年の男“山岸”。2人は、それぞれの目的地を目指していた。言葉が通じない2人が出逢った時、心が動き出す。年齢や国籍の垣根を超え、言葉がなくても通じ合えることの大切さを問う一作。
監督・脚本:阿部進之介 出演:サンディー海、中本賢、内田朝陽 / 時間:16分

■配信作品(12)『Denture Adventure』(「MIRRORLIAR FILMS Season2」収録作品)

ファンタジーの作り方を心得たキュートな世界観『Denture Adventure』

ファンタジー映画を作る際、悩ましいのが別世界への扉だ。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)ではタイプトラベル出来る改造車デロリアンの発明が必要だし、『ネバー・エンディング・ストーリー』(1984)なら読んではいけない古い本を開いたことから物語の世界への扉が開かれる。今までやり尽くしたこの方法ではなく、ビーチで見つけた金歯をはめた事から目覚めると若かりしあの頃の自分が鏡の中にいるのだから、ウィットに富んでいる。

しかも部屋にはアジア系の装飾があり、お茶を嗜み、朝は太極拳をするという言葉だけで、彼女が中国系の移民だろうと想像出来てしまう。目を惹くのは部屋の内装だ。陽が差し込んだ部屋には花柄の花瓶や壁紙で、レトロさが逆に可愛らしい。彼女のファッションもチャイナワンピースにブーツという出立で、髪型も斬新。全体のファッションセンスは真似したくなるほどお洒落だった。

これもひとえにニューヨーク在住のAzumi Hasegawa監督が、主演のJoyce Keokhamの魅力をどう表現すれば際立つのか研究し尽くした結果といえよう。アメリカ的アジアンビューティのルックがキュートで、映像の色合いも全体的にくすませて懐かしさが心地良い。そしてラストの演出にハートを見事射抜かれ、また最初から観たくなる感覚に襲われるのだ。(文:伊藤さとり 映画パーソナリティ)

・作品情報&配信情報

ニューヨーク在住のAzumi Hasegawa監督が、誰もがもつ“変身願望”をポップに描くファンタジー。夫を亡くし孤独な日々を送るミセス・ワン。ある日、ビーチで不思議な金歯に魅せられたワンは自分の歯にはめてみる。すると翌朝、彼女は25歳に若返っていた!
監督・脚本:Azumi Hasegawa 出演:Min-wen Huang、Joyce Keokham、Sean Shannon、Sid Ross / 時間:15分

【配信概要】
『毎週金曜は、ミラーライアーフィルムズ短編映画の日。』として、ドコモの映像配信サービスLemino 「ミラーライアーフィルムズ」チャンネルから、Season1~Season4、Season5 以降の新作・オリジナル作品・関連作品などが順次配信される予定。


【「ミラーライアーフィルムズ」概要】
ミラーライアーフィルムズは、映画プロデューサーの伊藤主税、俳優の阿部進之介、山田孝之らがプロデュースする、クリエイターの発掘・育成を行う短編映画制作プロジェクト。2021~22年公開のSeason1~4では公募作品を含む、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなどが監督した36本の短編映画を発表した。短編映画だから、短編映画ならば挑戦してみたいと、映画未経験者や普段映画に関わらない異なるバックグラウンドのクリエイターが集まり、新しい視点やアイデアが生まれる場となっている。

Season1~4 参加監督(五十音順)
Azumi Hasegawa/阿部進之介/安藤政信/井樫彩/池田エライザ/枝優花/GAZEBO/紀里谷和明/Ken Shinozaki/駒谷揚/齊藤工/志尊淳/柴咲コウ/柴田有麿/武正晴/西遼太郎/野﨑浩貴/花田陵/林隆行/針生悠伺/福永壮志/藤井道人/藤原知之/真壁勇樹/松居大悟/三島有紀子/水川あさみ/三吉彩花/村岡哲至/村上リ子/ムロツヨシ/山下敦弘/山田佳奈/山田孝之/李闘士男/渡辺大知

7月5日(金)配信開始となるSeason5には、竹中直人、大橋裕之、榊原有佑、ピウス・マチュルスキス、巖川虎太郎、十川雅司、Season6には小栗旬、浅野忠信、Season7には加藤浩次、加藤シゲアキの参加が決定した。

【『MIRRORLIAR FILMS Seaosn5』配信スケジュール】
7月5日(金) 『変哲の竜』
7月12日(金) 『たてこもり』
7月19日(金) 『NAIKU』
7月26日(金) 『さようなら、あおいの赤いメガネンティティ』
8月2日(金) 『駆け抜けたら、海。』
8月16日(金) 『MIMI』
8月9日(金) 『参画屋の仔羊たち』(MLF秋田 地域特別制作作品)

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